メルマガ『東医宝鑑(東醫寶鑑)とういほうかん─古典から東洋医学を学ぶ』第200号 ─「よもぎ」のテーマ読み ─ 30「鍼灸法」(雜病篇・虚勞・鍼灸法)
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◇ 東医宝鑑(東醫寶鑑)とういほうかん─古典から東洋医学を学ぶ─ ◆
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第200号
○ 新企画 ─「よもぎ」のテーマ読み ─ 30
「鍼灸法」(雜病篇・虚勞・鍼灸法)
◆ 原文
◆ 断句
◆ 読み下し
◆ 現代語訳
◆ 解説
◆ 編集後記
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こんにちは。前号同様「虚労」の「鍼灸法」の部分です。
◆原文◆(原本の文字組みのままを再現・ただし原本は縦組み
・ページ数は底本の影印本のページ数)
(「鍼灸法」 p456 上段・雜病篇・虚勞・鍼灸法)
此等灸法皆陽虚所宜華
佗云風虚冷熱惟有虚者不宜灸但方書云虚損
勞〓只宜早灸膏肓四穴云乃虚損未成之際如(〓やまいだれ祭)
痩弱兼火雖灸亦只宜灸内關三里以散其痰火
早年欲作陰火不宜灸入門
▼断句▼(原文に句読点を挿入、改行は任意)
此等灸法、皆陽虚所宜。華佗云、風虚冷熱、
惟有虚者不宜灸。但方書云、虚損勞〓(やまいだれ祭)、
只宜早灸膏肓、四穴云。乃虚損未成之際。
如痩弱兼火、雖灸、亦只宜灸内關、三里、以散其痰火、
早年欲作陰火、不宜灸。『入門』
●語法・語(字)釈●(主要な、または難解な語(字)句の用法・意味)
特になし
▲訓読▲(読み下し)
此(こ)れ等(ら)の灸法(きゅうほう)、
皆(みな)陽虚(ようきょ)に宜(よろし)き所(ところ)なり。
華佗(かだ)云(いは)く、風虚冷熱(ふうきょれいねつ)、
惟(た)だ虚(きょ)有(あ)る者(もの)は
宜(よろし)く灸(きゅう)すべからず。
但(た)だ方書(ほうしょ)に云(いは)く、
虚損勞〓(やまいだれ祭)(きょそんろうさい)、
只(た)だ宜(よろし)く早(はや)く膏肓(こうこう)、
四穴(しけつ)に灸(きゅう)すべしと云(い)ふ。
乃(すなは)ち虚損(きょそん)未(いま)だ
成(な)らざるの際(あひ)だなり。
痩弱(そうじゃく)火(ひ)を兼(か)ねるが如(ごと)きは、
灸(きゅう)すと雖(いへど)も、
亦(ま)た只(た)だ宜(よろし)く内關(ないかん)、
三里(さんり)に灸(きゅう)して、
以(もっ)て其(そ)の痰火(たんか)を散(さん)ずべし。
早年(そうねん)陰火(いんか)を作(な)さんと
欲(ほっ)せば、宜(よろし)く灸(きゅう)すべからず。『入門』
■現代語訳■
以上の灸法は全て陽虚に適当な方法である。
華佗が言うには、風・虚・冷・熱のうち、
ただ虚の者には灸をするべきではない、と。
しかし方書が説くには、虚損勞〓(やまいだれ祭)には、
ひとえに急ぎ膏肓、四穴に灸するべしとも言う。
これは灸するといえども、
虚損が未だ形成されないうちを述べたものである。
痩弱兼火の者には内関、三里に灸し、
痰火を散ずる。
若年で陰火が形成されようとする者には
灸するべきではない『入門』
★ 解説★
前号に続いて「虚労」の鍼灸法の灸部分です。
7つ項目があるうちの6番目です。虚労に灸する際の注意点が説かれています。同じ虚労でもタイプや段階を見分けて、それによって灸をしてはいけない者、よい者の違いを述べています。
東洋医学の治療の特徴のひとつに、同じ病気でも人によって違った治療法を選択し、またまた違う病気でも同じ治療法を選択したり、また同じ人でも段階によって治療や処方を変えるというものがありますが、この記述はそれを端的に述べたような内容になっているように思います。
◆ 編集後記
新年第二号、おかげさまで週一配信を続けられています。毎週同じことを淡々と続けることがいかに大変か、また貴重であるか、改めて実感します。
次号は同じ虚労の鍼灸部分の最後、短い記述ですが区切りがよいですので項目ひとつでお届けしたく考えています。
(2017.01.14.第200号)
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