地平線:一般相対論/ブラックホール

今回は"ブラックホール"の話.ブラックホールとは何を持ってそう言うのか,例えばどんなものかと言う話をしよう.

ブラックホールとは

ブラックホールとは光すら出られないの重力的な物体である.もっと物理の言葉で言えば(自分の理解では)事象の地平線をもつ時空の構造がブラックホールである.

よくイメージするのは宇宙にある,とてつもなく重い天体だろうが,実はブラックホールには重さの制限はない.ものすごく軽い数グラムのブラックホールも存在は否定されていない(が,観測はされていない).重要なのはどれだけの"密度"かと言うのが重要なのだ.これもあとで話す(と思う).

脱出速度

光が出られないと言うのは話はよく聞くが,よくわからない.まずはその話をしよう.

地上でボールを持って上に投げる.どうなるかと言えば,すぐに落ちてくる.一番離れた高さは投げ始めた瞬間の速度で決まる.ではもっと速くするとどうなるか,高さが上がる.ではもっと...もっととやって行くとどうなるか.あるところで地球の重力を振り切ってどこまででも飛んでいけるようになる.これを第二宇宙速度と言う.

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第二宇宙速度は,地球の半径と地球の質量から決めることができる.運動エネルギーと地球の作る重力エネルギーの合計が無限に遠いところで正なら地球から脱出できるのだ.

事象の地平線

特殊相対論によれば,この世で光より速いものはない.だから仮に光速(に近い速度)で飛べる物体があったとしても,あまりにも深い重力ポテンシャルに囚われれば二度と出てこられない.この出てこられない場所が事象の地平線だ.

地球の地平線の向こうは,何があるかわからない.事象の地平線の向こうは何が起こっているか一切わからない.光(の速度で)さえ出られないので中身をみる方法がないのだ.

Einstein方程式のSchwarzschild(シュワルツシュルト)解

せっかくアインシュタイン方程式を知ったのだから,ブラックホールの一つを見てみよう.ただ,計算はただただ面倒なのでやらない.皆もやりたくないだろう.

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アインシュタイン方程式は時空の計量(長さ)を決める方程式だ.では,ある質量が原点にあって,どの方向から見ても同じで,いつ見ても同じで,無限に遠くで影響がなくなる解を考えてみよう.実はこれがブラックホールになるのだ.

グダグダ計算すると次のような線素(長さ)の決め方を持つような計量が解になる.

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tは時間,rは動径方向,θとφは角度だ.イメージとしては地球儀の半径がr,緯度経度がθとφだ.r_sは中に置いた質量(と重力定数)から決まる長さだ.

dr^2のところを見ると分母が"1-r_s/r"となっている.と言うことはr=r_sのところで1/0になってしまう.計量が使い物にならなくなるのだ.

動径方向"r"はものすごく遠くで使えるように決めたのだから,どんどん近づいて行った時に,"r_s"のところでこれ以上内側を表す方法がなくなってしまう.つまり,無限遠からここより内側を見る方法がない.これが事象の地平線になる.(ちなみに地球の重さでブラックホールを作ろうと思ったら,数センチ以内にそれを納めなければならない.それほど高密度でなければ,事象の地平線を気にしなければならない状況はこない.)


次回はブラックホールに飛び込むとどうなるかの話をしようと思う.


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