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報いなければならない。殺した僕達に。

僕の人生は贖罪だ。
僕が殺したあの日の僕に報いるために、僕は今を生きているのです。どこまでも辛く真っ当な社会に噛み合わずに虐められていた僕も、社会を徹底的に刃向かってすべてが敵だった僕も、自分の才能を信じて夢を見ていた僕も、みーんな死んでしまった。みんなみんな僕が殺した。僕がどうしたって償うしか無い。泣いていたあの子を慰める為に、全てを睨んでいた彼の復讐をやり遂げるために、無能でどうしょうもなくても僕がやり遂げなければいけないのです。僕が、社会を認めさせるしか方法は無い。僕はここに居ると、居ても良いんだと示してやる。

首に掛かった麻縄にぶら下がった沢山の僕の死体が、立ち止まる度にグイグイと食い込むのです。振り返らなくても分かるのです、こちらをじっと見ているのです。まだ許されない。彼らは僕がやり遂げるかどうかを注視している。僕はまだ、何も取り返していないのだとあの子達が僕を苛むのです。だから僕は示さなければいけない。あの日誓った恨みは見せかけじゃないんだと、絶対に社会を認めさせるんだと、僕を見下していた奴らの思い通りなんかになってやらないと。


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