見出し画像

男装の麗人、ジョルジュ・サンドの愛したうつわ

19世紀フランスを代表する女性作家ジョルジュ・サンド(George SAND,1804-1876)をご存知でしょうか?誰もが知る音楽家、フレデリック・ショパン(Frédéric François Chopin,1810-1849)との恋愛でも有名な女性です。

画像2

当店でお取り扱いをしていたこちらの器。フランスで最も有名なcreil et montereau(クレイユ エ モントロー)窯のコンポティエです。

2色に色分けされた葉に小さな花が付き、つるや根まで描かれているのは実の生る前のいちごの姿。Fraise(=いちご)パターンと呼ばれるシリーズ。

ダウンロード

パリのブルジョワを顧客に陶器製造を続けていたクレイユエモントローの器は、当時のフランス古陶ならではの空気感を纏った作陶品が多く、19世紀フランスアンティーク陶器の王道の1つとして、愛好家も多いです。

このシリーズは、19世紀の女流作家であり作曲家・ショパンの愛した女性ジョルジュ・サンドが愛用し、その後このいちごシリーズはジョルジュ・サンドモデルとして知られるようになりました。彼女のパリ9区の邸宅跡は“ヴィ・ロマンティック(ロマンティックな生活)美術館として解放されていて、今でもこのシリーズがダイニングに飾られています。

画像4

さてこのジョルジュ・サンド、女性作家としてはもちろん有名なのですが別の名を「社交界の華」「男装の麗人」。男装をして社交界に出入りをし、数知れない男性遍歴で知られる人です。

画像4

目鼻立ちがはっきりとした美人で、堂々とした性格から男は引く手あまた。"社交界の華"であると同時にサンドは男女関係や社会のあり方に対して、当時としては非常に革新的な考え方を持っており、今でいうフェミニストの先駆けでした。その思想を体現するかのようにサンドは男装をして葉巻を吸うスタイルで知られた流行作家となりました。

画像5

男性のような振る舞いをしていますが、心はとってもロマンチストで繊細だった様子が著作からも見て取れるサンド。そして好んでいたFraiseのうつわもどちらかといえば女性的で可愛らしいパターンです。

画像3

真っ白な地に淡いピンクのいちごの花や蕾、鮮やかなグリーンの葉。 いちごが根まで描かれており、これが甘くなり過ぎず独特の表情を醸し出しています。 "甘すぎない"独自の表情は、自分のことを"女性でも男性でもない1つの存在だ"と言い切ったサンドらしいパターンと言えますね。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?