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ついに日本勢もEVに本気を出し始めた、電気自動車関連の投資信託

ホンダは4月26日、台湾の半導体製造大手TSMCとの協業について基本合意したと発表しました。今後のEV化に向けて、半導体の安定供給を狙ったものとみられます。また同日、26年までにEVを4車種投入すると発表しました。トヨタも26年までにEV10車種を投入する目標を掲げており、米中勢に遅ればせながら日本勢も本格的に加わることになります。EV化が加速する自動車業界を、もちろん金融業界も注目しており、既に様々なEV関連の投資信託・ETFが提供されています。投資家としてはEV化の波に乗っておきたいところです。

先端メーカーはテスラだけじゃない

EV専業メーカーといえば誰もがアメリカのテスラ(Tesla)を思い浮かべることでしょう。テスラは2003年に設立され、翌年には投資したイーロン・マスク氏が会長に就任しました。2008年から商用生産を開始し、販売台数は2013年に約2万2,400台、2017年に約10万3,100台となりました。17年以降の伸びが著しく、2022年には130万台を突破しています。性能だけでなくスタイリッシュなデザイン、そして高級感が人気の秘訣といえます。ただ、世界的に見るとEVで先端を行くのはテスラだけではなく、中国勢もかなりの地位を確保しています。2022年度の各社販売台数は次の通りです。

1位→テスラ(米国)、約131.4万台
2位→BYD(中国)、約91.3万台
3位→上海汽車集団(中国)、約67.2万台
4位→フォルクスワーゲン(ドイツ)、約57.1万台
5位→吉利ボルボ(中国/スウェーデン)、約38.4万台
 
2位と3位につけている中国勢の両者はテスラに並ぶ世界的EVメーカーと言ってよいでしょう。2位のBYDはBtoB向けで存在感を表しており、特にEVバスのメーカーとして知られています。BYDのEVバスは欧米の公共交通機関で使用されているほか、なんと日本国内で販売されているEVバスの7割がBYD製です。ただし、バスだけでなく乗用車EVも生産しています。3位の上海汽車集団(SAIC)は子会社が中国国内で大衆向けEVを生産しています。特に2020年に販売された最低価格約50万円のコンパクトEV「宏光MINI EV」が話題となりました。2023年4月にはインドで約1万ドルのEVを発売するなど圧倒的な価格力がうりの自動車メーカーです。EV関連の投資信託を選ぶうえでは構成銘柄が重要と思われますが、その際は中国メーカーについても注目しておくとよいでしょう。

テスラと電子部品メーカーに投資できる「グローバルEV関連株ファンド」

「グローバルEV関連株ファンド」は三井住友DSアセットマネジメントが運用するEV関連の投資信託です。為替ヘッジ有りと無しの両タイプが提供されており、為替ヘッジありでは円高による損失を避けることができます。上位を占める構成銘柄(2023/2時点)は以下の通りで、EVメーカーだけでなく、EVには欠かせない電子部品銘柄も含まれていることが分かります。
 
Infineon Technologies(4.4%)→ドイツ。パワー半導体、センサー。
Analog Devices(4.1%)→アメリカ。集積回路(IC)のメーカー。
テスラ(4.0%)→アメリカ。電気自動車メーカー。
NXP Semiconductors(3.8%)→アメリカ。半導体の設計/製造企業。
 
銘柄の構成比率を国別でみるとアメリカが43%、フランスが11%、韓国が9%を占めます。中国は7%程度しかないため、中国のEVメーカーに期待したい方は別の商品を検討すると良いでしょう。業種別の構成比率では情報技術が56%と半分以上を占めます。この点、EV化だけでなく自動車の電装化にも期待できそうな商品です。

EV大国・中国の比率が高い「iFreeActive EV」

冒頭で紹介した通り、EV分野では中国も先端を走っています。そんな中国銘柄の比率が高い投資信託が「iFreeActive EV」です。EVマザーファンドを通じて各国の個別銘柄に分散投資されています。2023年1月時点での組入銘柄の上位4位は次の通りです。
 
テスラ(7.9%)→アメリカ。電気自動車メーカー。
Analog Devices(7.8%)→アメリカ。集積回路(IC)のメーカー。
CATL(7.6%)→中国。大手リチウムイオン電池メーカー。
ON Semiconductor(7.4%)→アメリカ。半導体、センサー類のメーカー。
 
2位のアナログ・デバイセズは「グローバルEV関連株ファンド」でも上位を占めていた企業です。こうしてみると米国勢が上位を占めますが、構成比率を国別でみると中国40%、アメリカ35%、その他24%となっており、中国比率の高い商品となっています。特に3位のCATLはEVに欠かせないリチウムイオン電池の大手企業として注目されています。こうした点から「iFreeActive EV」はEV分野で中国に投資したいという方向けの商品といえます。業種別では情報技術が32%、資本財・サービスが25%、素材が22%、一般消費財・サービスが21%です。情報技術の比率がそこまで大きくなく、業種間のバランスが良い商品となっています。

株投資家ならすぐ買えるEV関連のETF「グローバルX 自動運転&EV ETF」

「グローバルX 自動運転&EV ETF」は東証に上場するEV関連のETFです。株式投資をしている方は個別銘柄と同じように売買することができます。この商品はEVメーカー、部品メーカーで構成される株式指数「Solactive Autonomous & Electric Vehicles
Index」との連動を目指す商品で、組入銘柄も同じくEVメーカーやEV関連部品メーカーで構成されています。資産の8.6%は米国市場に上場するEV関連のETFですが、2位以下は次のような構成比率となっています(2023/3時点)。
 
NVIDIA(4.3%)→アメリカ。汎用計算に欠かせないGPUのメーカー。
テスラ(4.1%)→アメリカ。電気自動車メーカー。
Apple(3.1%)→アメリカ。iPhone、ソフトウェア開発企業。
Alphabet(2.9%)→アメリカ。Googleを傘下に置く持ち株企業。
 
8位にはトヨタ自動車(2.5%)が含まれています。国別ではアメリカ57%、日本10%となっており、業種別ではソフトウェア、半導体関連企業が目立ちます。米国の情報技術に関するETFとして捉えることもできるでしょう。電気自動車の制御にはソフトウェア・半導体が欠かせません。また、自動運転の普及でもこうした企業の活躍が期待できるため、「グローバルX 自動運転&EV ETF」はEVだけでなく自動車全体の技術向上に期待するような商品といえそうです。

まとめ

国内で買えるEV関連の投資信託・ETFを3つ紹介しました。海外向けを含めればEV関連のETFはまだ多数存在しますが、それらについては次回以降に取り上げたいと思います。なお、現状ではガソリン車の比率が依然高く、EV普及に対して懐疑的な意見も聞かれます。しかし仮に普及し始めた場合、スマホが普及した時のように、あっという間にEVへの代替が進むことになります。未来を予想することはできませんが、普及に備え資産の一部をこうしたEV関連商品に振り分けておくことも選択肢の一つです。一部だけであれば、仮にEVの普及が伸び悩んだとしても損失を抑えることができるでしょう。


※免責事項
本記事は特定の金融商品の売買を勧めるものではなく、また、控えるよう促すものでもありません。本記事に記載した情報や意見によって読者に発生した損害や損失については、筆者、発行媒体は一切責任を負いません。投資における最終決定はご自身の判断のもと実施してください。

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