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リチウムイオン電池は需要増加で争奪戦 ~蓄電池に投資できるETF~

CO2削減に貢献する技術としてEVや再生可能エネルギー発電が注目されていますが、こうした技術に欠かせないのが「蓄電池」です。EVのエネルギー源となるほか、供給が不安定な風力・太陽光発電では蓄電池を併用することで安定した発電システムを構築できます。自動車メーカーが中国のリチウムイオン電池メーカーと提携するなど、蓄電池の争奪戦が始まっています。実は蓄電池関連技術に投資できるETFがあり、うまく活用することで蓄電池普及の波に乗ることができるかもしれません。

蓄電池の争奪戦が起きている

EVが普及すれば蓄電池の需要は必ず伸びていくでしょう。ガソリン車において、下請け企業は自動車メーカーの言いなりになる構造が一般的ですが、EV、特に蓄電池分野では異なります。リチウムイオン電池の大手企業はCATLやBYDなどの中国企業であり(BYDはEVメーカーでもある)、中国勢がシェアの約45%をも握っています。日本勢はパナソニックが主力ですが、シェアの13%程度しか握っていません。つまりEVメーカーが蓄電池を確保する場合、中国企業に売ってもらわなくてはならないのです。CATLなどの蓄電池メーカーは条件の良いEVメーカーに対して優先的に蓄電池を供給するため、自動車メーカーの方が下に見られる構造になっています。
 
今後国内から大手電池メーカーが育つ見込みはないためか、既にトヨタやホンダなどの自動車メーカーはCATLと包括的パートナーシップ契約等を結んでいます。そして蓄電池を必要とするのはEVだけではありません。再生可能エネルギー発電でも蓄電池の争奪戦が起きています。太陽光発電の場合、もちろん夜間に電力を供給することはできません。しかし、昼間に余剰電力を蓄電池に貯めておけば夜間でも電力を供給できるようになり、安定した発電システムの構築が可能となります。EVそして発電技術でも蓄電池は求められているのです。

争奪戦は人材面でも

リチウムイオン電池における争奪戦は電池そのものだけではなく、人材面でも起きています。蓄電池が今より普及すれば、それを生産するための人材や検査するための人材が求められます。国内では不足が予想される”蓄電池人材”を確保するため、近畿経済産業局が主導となり産学官の「関西蓄電池人材育成等コンソーシアム」が設立されました。国内複数の電池メーカーと協力しながら、今後5年間で1万人の蓄電池人材確保を目指すそうです。国そしてメーカーも蓄電池の普及が必ず起きるものと予想していることが分かります。

蓄電池を対象とした「グローバルX リチウム&バッテリーテック ETF」

実は蓄電池分野に投資できるETFがあります。「グローバルX リチウム&バッテリーテック ETF」は投資家に個別のリスクを分散しながら世界のリチウム・電池市場に投資する機会を提供するために作られた商品であり、米・NYSE Arca市場で購入することができます。構成資産を見ていきましょう。国別では中国39%、米国22%、オーストラリア12%、日本11%となっており、業種別では素材44%、一般消費財21%、IT18%、工業17%となっています。幅広い国、分野に分散されているため安定性が期待できるでしょう。銘柄別では以下のような企業で構成されています。
 
Albemarle Corporation(8.6%)…米国、リチウムイオン電池の必須材料、リチウムの供給企業
パナソニックHD(5.3%)…日本、国内ではリチウムイオン電池最大手
BYD(5.2%)…中国、大手EV&蓄電池メーカー
Tesla(4.4%)…米国、EVメーカー
 
EV、蓄電池そのものだけでなく、蓄電池に必要な材料やシステム、電子部品を提供する企業も含まれており、蓄電池分野全体に分散投資されている商品といえます。米国市場に上場しているため国内から購入できる証券会社は限られますが、既に米国株投資をしている方は資産に組み入れてみるのも良いでしょう。

まとめ

以上、蓄電池業界で起きている争奪戦、そして蓄電池関連技術に投資できるETFを紹介しました。特定の商品、業種を対象としたETFは値動きが大きく、長期投資には向いていないという意見もありますが、蓄電池の今後に期待したい方や比較的短期で運用したい方は「グローバルX リチウム&バッテリーテック ETF」を考えてみてはいかがでしょうか。


※免責事項
本記事は特定の金融商品の売買を勧めるものではなく、また、控えるよう促すものでもありません。本記事に記載した情報や意見によって読者に発生した損害や損失については、筆者、発行媒体は一切責任を負いません。投資における最終決定はご自身の判断のもと実施してください。

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