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代替

1人の友人に彼氏を紹介した。
2人の友人にと写真と動画を見せた。

みんな前の彼氏を知っていて、前の彼氏に何度も会ったことがある私のごく親しい友人たち。

その友人たちが口をそろえて、今の彼氏は前の彼氏に見た目が似てるという。


自分ではそう思ったことはない。


そもそも前の彼氏の見た目が好みだと思ったことはないし、実際に好みではない。どうして付き合ったのかも忘れるくらいに昔のことだし、どちらかというと強引に押し切られて始まった関係だったと思う。


でも今の彼氏の第一印象は見た目が好みだった。

もちろん付き合った理由は見た目だけではなくて、何回か会って接して人柄がいいと思ったからだけど。



無意識に幻影を追ってるのかと考えると、自分がこわくなる。
そもそも今なんでこんな文章を打っているかもわからなくなる。

人を好きになるとはどういう感覚なんだっけ。今の彼氏を無理やり好きだと思うようにしているのだろうか。そんなことはない。今の彼氏の方がよっぽど優しくて誠実でイケメンでいい人だ。

では前の彼氏の全てが悪であったか。それはない。許せないことはあったけど全てが悪ではなかった。そもそも完璧な人間なんていやしないんだから。

そこそこに面倒くさい私の一番の理解者で味方だった。

不器用だけど、優しいとこもあった。毎年何も言わないけど、記念日にいいお店を予約してくれているのを私は知っていた。覚えてない、無頓着なふりをしていても、必ずその日は特別な日だった。言ったら照れてもうしてくれなくなりそうだったから、今日はどうしたの?って毎年とぼけてた。何回とぼけたかわからないけど。

前の彼氏に対してはいろんな思いが日々反芻する。
自分では儀式と位置付けた復讐も必要なかったのではないかと思う自分と、やっぱり許せない自分とが交互にやってくる。


物はすべて処分したけど、この部屋には思い出が詰まりすぎている。
こういう時間がすごく嫌いだ。


代替品を求めているうちは、私の中身はやっぱりまだ空っぽかもしれない。
はやくなにかでいっぱいにしたい。



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