銀行株、2021年度第3四半期決算の総括

今週から第3四半期決算シーズンが始まりました。トップバッターの銀行株の決算が大体出揃ったので総括していきます。

投資銀行フィー

まずは投資銀行フィーからです。これは投資銀行として、主に債権引き受け部門、株式引き受け部門などの業務によって得た収益です。

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これは大手銀行の過去の四半期データを含めたグラフです。今期はゴールドマンサックスがトップになり、前期から首位を奪取しました。前期の内容はあまり良くありませんでしたが、今期は各銀行株の中で一番良かったです。またJPモルガンチェースは4期ぶりに前期比で投資銀行フィーがマイナス成長となりました。

債権、株式引き受け部門

債権引き受け部門、株式引き受け部門の内訳を見ていきます。

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債権引き受け部門は今期もJPモルガンチェースがトップでした。バンクオブアメリカ、シティグループは他の3行が前期比でマイナスとなる中でプラスになりました。

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次に株式引き受け部門では前期に続き、ゴールドマンサックスがトップでした。シティグループはQ1`21が一時的に強かったですが、前期、今期と共に以前の水準まで戻ってきてます。これは当時の株式の引き受け内容の殆どがSPAC(特別買収目的会社)だったため、一時的な恩恵に過ぎなかったからです。SPACブームが終わった今は普段のシティグループの姿に戻っています。

トレーディング部門

次にトレーディング部門に移ります。

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債券トレーディング部門はJPモルガンチェースが最も強いです。次いでシティグループが挙げられますが、今期もその構図は変わらずJPモルガンチェースがトップでした。現在、債券市場はテーパータントラムによるベアマーケットが続いているので、強気に儲けに行くにはリスクが高い状態です。なので、来期はこの影響を受ける為、各行パフォーマンスは悪化するのではないかと予想しています。

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次に株式トレーディング部門です。この部門はゴールドマンサックス、JPモルガンチェース、モルガンスタンレーの3強で争っています。今期はゴールドマンサックスがトップで、JPモルガンチェースは他の2行が前期よりパフォーマンスがプラスだった中でマイナスとなりました。

ROE(Return on equity)

次にROE(Return on equity)です。これは「投資家目線でどれだけ儲けられることができたか?」を図る指標です

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今期のROEはゴールドマンサックスが前期に続いてトップパフォーマンスでした。次いでJPモルガンチェース、モルガンスタンレーという構図にも変更ありませんでした。ゴールドマンサックのトレーディング能力の強さを示す形となりました。

ネットチャージオフ率

次にネットチャージオフ率です。これは貸出内容の健全性を図る指数で、低ければ低いほど良いです。大雑把な説明をすると、「貸し出した人のうち何%が支払いをせず、不良債権となったか」です。

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JPモルガンチェースのクレジットカードや、ウェルスファーゴ、バンクオブアメリカのグラフです。Q1`21から全体的に綺麗に右肩下がりで改善されています。ウェルスファーゴに関しては驚異の0.12%でした。しかし、少し気がかりなのはバイナウペイレイターによる金利なしの割賦払いを利用している人が急増しているからだと思います。この手のサービスを利用する人はクレジットカードの消費者信用スコアの基準を満たせない質の悪い利用者がバイナウペイレイターに流れた結果、クレジットカードの全体の不良債権化する人が減ったのでは?という声が上がっています。

総括

今期の決算はゴールドマンサックスが最も良い内容でした。投資銀行フィーが前年同期比+88%成長に加えて、株式引き受け部門、株式トレーディング部門、ROEでトップパフォーマンスを見せました。その影響が決算発表後の取引にもあり、+3.8%と動悸づいており、銀行セクター全体として上がっている印象を受けました。来期はどうなるか分かりませんが、今期は全体として決算内容は良かったと思います。




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