シティグループが2021年度第3四半期決算発表。EPS、売上高ともにコンセンサス予想を上回った。

10月14日にシティグループ(ティッカーシンボル:C)が2021年度第3四半期決算を発表しています。

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EPS、売上高ともにコンセンサス予想を上回り、最低限の合格ラインは突破しました。

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投資銀行フィー(投資銀行業務から得た手数料収益)は前年同期から+39%成長しました。

しかし、JPモルガンチェースは32.8億ドル(前年同期比:+50%成長)、モルガンスタンレーは28.5億ドル(+66.9%成長)、バンクオブアメリカは22億ドル(+23%成長)と既に第3四半期決算を発表している投資銀行の中では一番低い数値でした。

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投資銀行フィーの内訳を見てみると、2021年度Q1に8.8億ドルと非常に強い数字を出した株式引き受け部門は5.07億ドルでした。当時はSPACによる裏口上場ブームだったので、中身の殆どがSPACによる株式引き受けだったシティグループは一過性の恩恵を受けただけでした。現在はSPACブームは終焉しており、前期(2021年度Q2)は5.44億ドル、今期は5.07億ドルと元の姿に戻っています。

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トレーディング部門では債権部門が前年同期比―16%という結果でした。これは債券市場が2013年のテーパータントラム以来のベアマーケットになっていることが原因です。またインフレ率が5%付近で3か月ほど高止まりしており、今なおインフレが収まる気配がないことを受け、長期債は売られており、強気に儲けられる状況ではありません。

他の投資銀行も同様に、債権部門のパフォーマンスは前年同期比ベースでマイナスだったので致し方ないことです。

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ROE(投資家目線でどれくらい利益をあげられたのか?)は前年同期より改善されましたが、先に決算発表を終えている銀行株の同数値を見てみると、JPMモルガンチェース18%、モルガンスタンレー15%、ウェルスファーゴ11.1%、バンクオブアメリカ15.85%と一番低い数値となっています。

ROA(総資産を使ってどれだけ利益をあげられたのか?)も前年同期より改善されましたが、JPモルガンチェース1.24%、ウェルスファーゴ1.04%、バンクオブアメリカ1.12%と総量規制で成長することを禁止されているウェルスファーゴにも負けています。

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リテールバンキング平均預金は前年同期よりも増えましたが、平均ローンは減少しています。

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損金は前年同期の19.2億ドルから9.61億ドルと減少させました。

最後に、今期のシティグループの四半期決算はEPS、売上高がコンセンサス予想を上回り、最低限の合格ラインは突破しました。しかし、ROEやROAは各銀行株よりしょぼい数字でした。2021年度Q1で強い数字を見せた株式引き受け部門も前期から元通りの姿に戻っています。


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