ウェルスファーゴ、2021年度第3四半期決算は売上高とEPSがコンセンサス予想を上回った。

10月14日にウェルスファーゴ(ティッカーシンボル:WFC)が2021年度第3四半期決算を発表しています。

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EPS、売上高ともにコンセンサス予想を上回りました。

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「長短金利差拡大しているか?」を図る純金利マージンは2.03となりました。この数値は長期金利が9月末から上昇し続けているので来期は拡大する可能性があります。

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水色の線の間が今期(7/1~9/30)の米国10年債利回りの推移です。9月23日のFOMC以降、11月からテーパリング開始の可能性が濃厚になったことで長期金利が急騰しましたが、この影響は来期に反映されると見ています。

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次に債務不履行となった不良債権の多さを図る指標としてネット・ローンチャージオフ率を見ます。

今期は前年同期よりさらに改善した0.12%と超極めて低く、貸付内容は健全であることが分かります。

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平均預金残高は前年同期より増えているにも関わらず平均融資残高が減少しているのは総量規制の影響です。

ウェルスファーゴの社員がノルマ達成のために架空口座を開けまくったスキャンダルに対し、FRB(アメリカの中央銀行)は「会社の体質に問題がある」として「会社が成長することを禁止する!」という総量規制を与えています。

総量規制の問題が解決されるのは時間の問題ですが、解除されると再び成長することを許されているので平均融資残高は増えてきます。

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ROAは総資産利益率と呼ばれる「総資産を使ってどれだけ儲けることが出来たか?」を図る指標です。総量規制の影響により、前年同期は0.66%という極めて不本意な数値を出しましたが、今期は少し改善されました。総量規制が解除された後にはこの数値も改善される可能性が高いので、今後の動向に期待です。

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クレジットカードビジネスはJPモルガンチェースが最高峰なので劣りますが、銀行株の決算は消費者の動向情報を得ることが出来ます。

クレジットカード収益は前年同期よりやや上回りましたが、住宅ローン収益は前年同期より約20%も減少しています。
アメリカの住宅ローン金利は長期金利の動きに連動する為、金利が低いときに住宅ローンを借り換えたり、新規での住宅ローンの需要が増加します。去年、コロナショックの緩和政策としてゼロ金利政策に加え、量的緩和政策をしたことで超低金利になりました。その時は空前の住宅ブームが起こりましたが、現在は長期金利も当時の水準より上がっており、住宅ブームは収束しつつあることが分かります。

最後に、今期のウェルスファーゴの決算はEPS、売上高ともにコンセンサス予想を上回ったので最低限の合格ラインは満たしました。

現在は総量規制中で本来の力を発揮できていません。というかさせてもらえてません。しかし、投資家は総量規制解除を心待ちにしているので大きなポジティブ要素を抱えているのは間違いないです。

総量規制解除後の姿に期待しましょう。


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