JPモルガンチェースが2021年度第3四半期決算を発表

JPモルガンチェース(ティッカーシンボル:JPM)が2021年度第3四半期決算を発表しています。

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EPS〇、売上高×

*売上高のコンセンサス予想を296.5億ドルとしていたところもあったが、予想アナリストの数が多いヤフーファイナンスの方を参考にしました。

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投資銀行フィー収益は前年同期比+50%成長でした。

ここまで2020年度Q3から2021年度Q1の前期まで右肩上がりで増えてきていましたが、今期は前期の34.7億ドルを下回る形になりました。

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ROEは投資家目線でどれくらい儲かっているかを図る指標ですが、前年同期と数値が変わりませんでした。

ROAは総資産でどれくらい利益を上げたかを図る指標ですが、前年同期より数値は高くなり、1.24%でした(総資産を使って1.24%儲けたということ)

また、銀行株の決算は様々な消費者の預金状況、クレジットカードの利用率、住宅ローンの市況状況などの情報を与えることもあります。

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平均預金残高は前年同期より19%多くなりました。

平均の融資残高は前年同期より5%多くなりました。

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ネットローン・チャージオフ率は債務不履行となった不良債権の償却率を図る指標ですが、今期は前年同期より改善されました。

クレジットカードローンの償却率も前年同期より改善されました。

JPモルガンチェースもバイナウペイレイターを実施してますが、その上で注視していきたいのがクレジットカードローンのネットローン・チャージオフ率です。バイナウペイレイターは金利なしの割賦払いを提供するサービスですが、その人の「経歴、業種、年齢など」の消費者スコアに合わせてますが、バイナウペイレイターはその商品を購入する消費者のみにフォーカスして信用を決めます。しかし、まだ情報が足りない状態で、誰でも割賦払いを提供する形になっています。アファームやクラーナ、アフターペイなどの新興企業はこのような形になっており、いずれデフォルトが急増するだろうと言われています。そのため、街角景気的にクレジットカードのデフォルト率を見ていく必要があると思います。

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新規オートローンとクレカローン残高は前年同期を上回りました。

クレカローン収入は前年同期より―13.7%となりました。

先ほど説明したバイナウペイレイターのサービスはアファーム、クラーナ、アフターペイなどが猛威を振るっており、JPモルガンチェースの主要ビジネスであるクレジットカードビジネスは淘汰される可能性があります。そもそも何が嬉しくて利子を支払ってまで買うより、金利なしの割賦払いで支払った方がいいに決まっています。
そのため、バイナウペイレイターが活発化すればするほどクレジットカードビジネスは大きな打撃を受けると思います。

その動向を追っていくためにはクレカローン収入を見ていく必要があると思います。

今期の数字を見る限り既に影響を与え始めているという見方もできます。

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新規住宅ローンの融資額、住宅ローン収入は前年同期を下回りました。アメリカの住宅市場は住宅ローン金利が低いときに需要が伸びます。新規、借り換えなどを含め低金利時代にはブームになりますが、2020年の7、8、9月頃の市中金利と今の市中金利を比較すると現在の方が遥かに高くなっています。住宅ローン金利は市中金利に連動するのでじょうしょうしているので、住宅ブームは終わりつつあります。その影響がこの数値に表れていると思います。

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銀行は短期で資金調達して長期で運用するビジネスなので、長短金利差の利ザヤが大きくなるほどポジティブに見られています。

長短金利差を図る指標が純金利マージンです。しかし、今期は前年同期より差が縮まりました。長期金利の上昇が最近激しくなっていますが、その影響は来期に反映されるのではないかと思います。

今期は7月、8月、9月の3か月間の業績で、長期金利が急上昇し始めたのは9月23日のFOMC以降です。その上昇が影響を与え始めるのは来期の10月~12月までの業績になるのではないでしょうか。

結論的には、売上高が予想を下回ったことで悪い決算だったと思います。


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