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ここ数十年で会社員の手取りが減っている件について②

前回の記事はこちら。SNSでよく見かけるサラリーマン手取り下落について、切り取りからの誤解が多いと思っており取り上げています。

後半です。

③そもそも人生の選択肢は会社員だけではないし、サラリーマン個人の減税策も多く導入されている

続いては、会社員であることは、その本人の選択であるということです。時代が変われば状況が変わる、有利や不利はそれなりに訪れます。税制的、制度的に不利なところには居続けるか否かには、個人がきちんと向き合うべきと思います。

ここ20年ぐらいは、会社員の手取り収入には増税や社会保険の増額で手取り的に不利になっているのは事実ですが、40年前の1980年代半ば以前は、個人の最高所得税率が8割や9割の時代であり、これは今の所得・住民税の最高税率55%よりもかなり高い水準です。このような有利不利は時代とともに変わっていくし、不利になった時代だけ切り取ると全体像が見えないと思います。

そして、過去20年で、個人が減税の恩恵を受けられる新しい領域、そして手当もかなり多く出てきています。

個人の減税の新しいところでは新NISAは財産所得に対して元本1800万円まで無税という太っ腹な制度が出ましたし、iDeCo/401kにおいては初めの拠出時、運用益、受け取り時に減税のメリットを受けることができます。(相場は乱高下していますが、こんなのは当たり前なので、国際分散しながら最低10〜20年は続けてください)

医療費控除もその対象が増えています(大きなところでは子供の歯科矯正代など)し、セルフメディケーション減税という制度を新設されました。子供の医療費は多くの自治体で無料、保育料も2歳から6歳までは完全に無料まで来ていますが、こんなことは昔は考えられませんでした。私が小さい頃は医療費は払うのが普通だったし、保育料はつい5年前まで条件に関わらず6歳まで有料でした。各種の子供手当てもずいぶん増えています。

ふるさと納税も実質的に減税の恩恵を受けられます。住宅ローンもペアで借りた場合、ローン控除が過去の2倍取れるようになったりしていますし、中古住宅やリフォームについても拡充されました。親などの祖父母からの教育資金などの贈与についても、減税措置が続いています。

こうやって並べてみると、これらのような減税分を入れずに、20年前の基準を今ままで引っ張って「手取りが減っている」というのは、ちょっとおかしいなと思います。ト

ただし、ここ20年で減税を受けれられる制度は、自分で何らかの行動しないと恩恵が受けられない項目が多いことには注意が必要でしょう。

そして、サラリーマン以外での働き方、副業を認める動きもどんどん増えています。メルカリでも、SNSでも、ブログでも、今ではプチ副業もより簡単になりましたね。

個人での企業設立も、一昔前は資本金1000万円(株式会社の場合)が必要であったのに対して、今では極論1円で会社を設立できます。合同会社など、より設立コストや、ランニングコストが少ない形態も整いました。政策金融公庫などの創業者融資は手厚いものです。

やはり、増税のエリアからは離れるように知恵を絞る、そして減税をしっかり使うという発想になることが大事だと思います。ちょっと極端な例ですが、タバコ税が上げられたことをきっかけにタバコをやめる方向で考えると思考的には同じです。


<まとめ>


現役世代の手取りが減っている!について。ある時代の一部だけを切り取れば事実なのですが、SNSで見られるこのメッセージから私が感じる違和感は、以下のように思います。

・人間の脳が数字の比較に強く反応する(比較が苦手)、もしくはネガティブなニュースや損失に反応しやすいことを利用して、ビューを稼ごうとしている違和感

人は、一般にネガティブなニュースにより反応します。株価が暴落したとき、芸能人がスキャンダルを起こしたことはニュースになります。株価が順調に上がっています、芸能人が幸せに暮らしています、はニュースにはなりにくい。

また数字にApple to Appleで表しにくい項目が除かれて比較している情報にも、気をつけなくてはならないと改めて思います。過去に書いた公的年金の議論とも似ていると思いますが、時代によって数字に表れない前提が大きく違うのに、数字だけを切り出して比べても意味がないんです。

いずれにせよ、数十万円ぐらいで人生の幸福・不幸が決まるということはまずありませんので、未来志向でそれぞれがやるべき事を考えるのが大事かなと思います。

今日は以上です!

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