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なかのアセットマネジメント。東京の初回セミナーに行ってきた②

前回の記事の続きです。

週末に、なかのアセットマネジメントの東京セミナーに行ってきました。昨年9月に新会社がスタート、直近、2024年4月末に2本の投資信託ファンドが立ち上がり、今回はそのお披露目とも言える初めての東京セミナーでした。https://nakano-am.co.jp/

中野さんは「日本初の、顧客本意の、理想の運用会社を作りたい」という点を強調され、以下の4つを挙げていました。今日は前回の続きで①と②についてのポイントをまとめてみます。

①特定の外部株主に支配されないこと
②真に独立した経営・ガバナンス
③理念に真に共感できるメンバーを集める
④今後の社会的需要を捉える

①について、前回は業界構造的なことを書きましたが、最終的にどういう形にしたのか。なかのアセットでは創業者などの社員株主、個人の応援株主、3つの金融機関の株主で株主を構成して、社長の中野さんの株式議決権には普通株の25倍の権利を与え過半数以上を持たせるという仕組みにしています。

<真に独立した経営ガバナンス>

次は②について。創業者社長に25倍の議決権の権利を与えるとなると、「おいおい、大丈夫か。社長が暴走したらどうするんだよ」と思うのが普通です。最高決定機関である株主総会では、最終的な全ての決定を中野さんが下せるためです。この偏りへカウンターするために、会社において株主総会の次に大切な会議、取締役会へ以下のような手当がされたことに説明が続きました。

・独立した社外取締役を複数入れる
・取締役会の議長は独立した社外取締役とする
・元金融庁長官を務めた遠藤氏を社外取締役とする

実際に会社の経営方針などが議論されていくのはこの会議ですので、大きな決定は社内ではない人の冷静な声がしっかり入るようにということです。また金融庁は運用会社などを規制・監督する立場にいますが、そのトップの人に入ってもらって法令遵守や顧客本意の運営のDNAを強めたいという意志があるのだと思います。確かに取締役会の陣容を見ると、株主総会を牽制する独立したガバナンスにかなり気を払っていることが伺えます。

運用会社がどういう機関設計(意思決定の構造)でどういうガバナンスが良いのかについて、これが絶対の正解というものはありません。海外の運用会社を見ても、弁護士事務所のようなパートナーシップ制度が良いという意見もあれば、より法律がハッキリしている株式会社が良いとされる意見もあります。株式会社でも、非上場の方が長期視点で好ましいという考えもあれば、上場してガバナンスに厳しい目が向けられるのが良いという考えもある。

特にIT企業が勃興した1990年以降、創業者に多めに議決権を付与するというのは珍しいことではありませんが、構造そのものよりも、創業者や社長が何をやりたいのか、そのための手段としてどのような機関設計を敷くのかが大切になると思います。

さあ、進めましょう。

③理念に真に共感できるメンバーを集める、は新しい会社なのでまあそうですよね。こちらの説明は割愛します。そして最後は、④今後の社会的需要を捉える、です。

<今後の社会需要を捉える>

なかのアセットを検討する投資家としては、ここが1番気になる点でしょう。どういう商品を作るのかに関係するからです。これについては、

・質の高い成長企業を厳選して投資する株式アクティブファンドを提供する
・日本を応援する日本株ファンドと、世界の成長を取り込む世界株ファンドの2本を提供する

とのこと。私の言葉で書いているので、正確にはHPやセミナーなどで確認くださいね。

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90年のソ連崩壊以降のグローバル化で進んだデフレ・ディスインフレの時代、そして15年前のリーマンショック以降の金融緩和の時代が終わり、これからはインフレが当たり前の時代に戻るだろう。

金利が低下し続け、市中のお金がジャブジャブな状態の時には、株式市場には継続してお金が流れ込んでくるので、良い会社であろうと悪い会社であろうと株価は上がる。その時は超低コストでパッシブファンドの方が運用効率が良かった。

ただしインフレが当たり前の時代になると、本当に競争力があり値上げができる優良企業と、平凡な企業との業績の差は大きく開くことになる。株価は長期で企業の業績を反映するので、それらの優良企業を厳選して保有することが大切である。
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中野さんは、こういうビューでアクティブファンド専門の、質の高い成長企業に投資をするファンドを提供したい、ということでした。すいません、僕の言葉で。

前職のセゾン投信をスタートされたときは、時代的にパッシブファンドの投資を推奨していたが、今後の状況はそれとは違うという大局感です(実際、セゾン投信でも数年前からアクティブファンドを立ち上げてました)。この大局感があたるか当たらないかは誰にも分かりませんが、話のロジックとしては一つもおかしくないと私は思います。

ちなみに、パッシブからアクティブに舵を切ったのは大きな変化なので、それについては、また次回に書きたいと思います。

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