【じっちゃま】今、米国株を買うべきでない5つの不確定要素【広瀬隆雄】

アメリカ株は、たくさんの不確定要素が解決していない。
具体的に5つの不確定要素を上げると
①企業業績が下がり始めている。
②長期金利が上昇し始めている。
③いよいよテーパリングが始まる。
④連邦債務上限引き上げ問題が解決していない。
⑤中国恒大集団(Evergrande Group)のデフォルト懸念。
となる。
これらを、広瀬隆雄氏が解説する!

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以下、動画内容の書き起こしです。
チャンスを逃すリスクと
スコーンとやられるリスク

どっちが大きいかというと
後者のほうがはるかに大きいと思ってますよ。

だからリスクリワード的に今は見合わない。

今マーケットで起こってることについて

喋りたいんだけども

米国株をめぐる環境を考えた場合

懸案、問題、そういったものは

何一つ解決してないと思うんですね

具体的には

何が今その問題になってるかというと

1.企業業績が下がり始めてるということ
かなり、下がり始めています。

2.長期金利が上昇し始めてるということ
これもかなり上がりはじめてます。

3.さっき言ったように、いよいよテーパーが来る。
11月頃だと思うけどね。ということ。

4.連邦債務上限引き上げ問題が解決してない。
ということですよね。

下手すれば11月くらいに
米国債がデフォルトするかもしれない

5.最後のポイントで、
中国恒大集団それがデフォルトしそうなこと

ということですね

これだけたくさんの不確実性
不透明要因があるんで

投資に際しては、十分気をつけながら進めていく
必要があるんじゃないかな、と思います。

まず最初のポイントなんだけれども

SP500のコンセンサスEPS(1株当たりの純利益)
つまり企業業績ですよね。

それが下がり始めてる問題なんですけれども

実は年初来、つまり、1月以来ね
一回も下がったことないんですよ。

S&P500のコンセンサスEPS予想は。

10日ほど前から、それがズルッズルッと
下がり始めました。

だからこれは新しい現象ですよね。

それに加えて

そもそも前年比較で見たSP500のEPS成長ね

それがこの前の決算

つまり2021年度第2四半期決算では
前年同期比プラス87%ということで

ポーンと、ものすごく業績が跳ねてたのね。

つまり、米国企業は絶好調だったわけですよ。
だから株が高かったんだけれども。

で、今は、つまり第3四半期の予想は

それがプラス24%に落ちてくる、
ということですよね。

だからその業績予想を下方修正されるとか

なんとかっていう以前の問題として

既にコンセンサス予想は

減速を織り込んでいたんだと

それがさらに下がり始めてる

ということを問題にしてるわけですよね。

じゃあ何故、コンセンサス予想が下がっている
のかというと、

それは新型コロナのデルタ変異株が蔓延して

経済の再開がちょっともたもたしたということ。

中国でもデルタ変異株が蔓延しました。

それで一部の都市ではロックダウンみたいな
こともあった。

そんなこんなで

クリスマス商戦期間に向けての
色んな商品の出荷ですよね

中国の港で積み込んで

アメリカの例えばロサンゼルスの郊外に
ロングビーチというコンテナ港があるんですけど

そういったところで陸揚げされる
わけですけども

そういう海運ですよね

そのロジスティクスサプライチェーン

それが乱れを生じてる

だからひょっとしたら

クリスマスの商品が間に合わないかもしれない

というような懸念も出てます。

そんなこんなで

コンセンサス予想が下がって来ていると
思うんですよね。

もう一つ、半導体不足ですよね。

それによってフォードとか
ゼネラルモーターズとか

そういうアメリカの自動車メーカーが
手待ちになって

自動車を完成できない、ということで

一部生産ラインを止めたりなんかしてます。

だからそういうサプライチェーンの問題が
まだくすぶっている、と

それなんかもコンセンサス予想が少し
下がってきている

もう一つの理由だと思うんですね。

それから長期金利も上昇し始めてます。

FOMCの後で

株式の方は全然凪ぎのような状態で

特に異変は起きてないんだけれども

債券は明らかに売られてるということですよね。

債券市場の参加者は

先週後半のマーケットの動きを見て

これは「Delayed Taper Tantrum」だと
"Temper tantrum(癇癪)"を捩った造語

ような言い方をする人もいました。

「Delayed」っていうのは
「遅れた」っていうことですよね

つまり、遅れてきたテーパータントラムが
債券市場に起こっている

債券が売られている。

債券利回りは価格の逆になりますので

利回りは上昇するということですね。

そして利回りが上昇すると

なぜそれが良くないかというと

債券利回りと株式バリュエーションというのは

シーソーの関係にあります。

だから債券の利回りが上昇すると

株式は自ずと下がる

そういう関係になってるんですよね。

逆に債券利回りが下がってくると、
株式は上がる。

そういう関係があります。

だから今、債券がどんどん売られてて

利回りがどんどん上昇してるわけだから

これは株にとって株の理論価格は
妥当バリエーションは

下がってこなきゃいけないはずでしょ。

そういう理由で懸念がある、ということですよね。

でさっきちょっとFOMCとテーパーのことに関して
説明したんだけれども

そうすると毎月毎月100億ドル

米国財務省証券100億ドル

住宅抵当証券で50億ドル

都合150億ドルのテーパーをやるということは
何を意味するかというと

それだけ、これまで中央銀行が買ってた買い圧力
BIDですよね。買いの手。

それがなくなっちゃうことを意味するわけだから

その債券の需給関係で言えば

少し悪くなるわけですよね。
それなんかも、懸念材料だと思います。

それから連邦債務上限問題っていうのは
何かと言うことも一言説明しておきます。

そもそも連邦債務上限というのは、
国が出せる国債ですよね。

それをある一定数以上はじゃぶじゃぶに
出さないでおこう。と。

そういう財政規律を守る見地というか、目的で
始められたことなんですよ。

で、いつ始められたかというと

1917年かな

だから第一時世界対戦が始まって

アメリカは最初、戦争には参加しない
という風に言ってたんだけれども

ルシタニア号という客船が
ドイツのUボートによって撃沈されて

それでアメリカ人の乗客が死んだんで

それでこれはアメリカに対する敵対行為だ
ということで世論が激昂して

それでアメリカが第一次世界大戦に参加を
決めたんですよね。

その時にウィルソン大統領だったんだけど

その時に泥沼に入り込んでいってしまうと
良くないんで

財政面から、派兵、兵隊さんを送ることを
自動的に制限しようということで

この一定額以上の国債をアメリカ政府は
出してはいけません。

シーリング、上限を設定したんですね。

それは何回もそれ以降拡大されています。

なぜかと言うと

経済の規模が大きくなればなるほど

政府の予算も大きくなるわけで

政府の予算が大きくなれば

それをやりくりするための国債の発行も
当然増えなきゃいけない

そういうナチュラルなその経済規模の拡大に
合わせた債務上限の設定しなおし

それが今までに80回くらい行われてきました。

だから財政規律云々とかいいながら

実はなし崩しじゃないかという風に

その意地悪な見方をすれば
そういう見方もできるわけですけども

でも現実として、そういう上限があって

それが一定の財政規律の維持に
貢献してることは間違いないわけですね。

で去年新型コロナが発生した時に

アメリカ政府はこれはいけない

経済が心臓発作を起こしてしまう

だから今緊急にお金を
経済にぶち込もういうことで

その特別措置として連邦債務上限を
使うことを辞めて

そして1年間だけね

債務上限を停止してました。

それが7月に、もう1年経ったんで

もはや非常事態ではないということで
債務上限がもう一回設定されなおした。

でそれを
その上限を今、引き上げなきゃいけないよね

っていうのは
オーバーシュートしちゃってるからさ、発行額が。

で、それを引き上げなきゃいけないんでけれども

まだ引き上げられてない

それで今はいろんな財政的なやりくりでもって
騙し騙し政府機能が停止しないように

誤魔化しながら、遣り繰りしてます。

しかしそのやりくりが10月ぐらいに
にっちもさっちもいかなくなって、

そうなれば公務員がお給料が出なくなるとかね

退役軍人さんへの年金が出せなくなるとかね

あるいは社会保障費が払えなくなるとかね

そういう色々な問題が

10月以降出てくると思うんですね

それに加えて

例えば米国債の利払いができないとかね

それはテクニカルデフォルトの状態になることを
意味すると思うんですけれども

そういうことも起こるかもしれない

だから早く連邦債務上限を引き上げる
ことしなければいけないことですね。

しかし、ここが大事なとこなんだけども

実は今年の1月にね

1.9兆ドルだっけ?のその追加予算を
成立させるために

民主党はすでにReconciliation
リコンシエーションと呼ばれる

単純過半数で無理やり予算を通してしまう
という手法を

1月に使ってしまってるんですよ。

それでReconciliationというのは

そのアメリカ政府、議会が紛糾した時に

アメリカ政府の予算が決まらなくなって
政府の機能が

機能不全に陥るとよくないよね

そういうことを避けるために

特別の特例として許されてる

その予算成立のさせ方
ウルトラCのテク

それがリコンシリエーションと呼ばれる
例外条項なんですよね。

それをもう1月に使っちゃってるんで

今回連邦債務上限の引き上げにもう1回

それを使うっていう風に民主党は
言ってんだけども

それに対する反発は非常に強いわけですね

そして民主党の議員の中にも

こんなことでいいのかなっていう風に

わだかまりを持ってる議員さんっていうのは
いると思うんですよね。

それに加えて

今はインフラストラクチャー法案というのが
別に動いてるんですけれども

それもリコンシリエーションを使って

つまりスーパーマジョリティー、60%の賛成
ではなくって、上院でね。

51%の賛成だけで法案を通してしまう

それがまあリコンシリエーションと呼ばれるもの
なんだけれども

そういうウルトラCを1年に3回も連発する

それが常態化しちゃうと

そもそも、なぜ上院で、
Super Majority(スーパーマジョリティ)

つまり51%という低いハードルじゃなくて

60%以上の高いハードルでもって賛成された
法案じゃないと通しません、ということが

その政府の財政に関する

財政にインパクトを与える法案は

全てそういうスーパーマジョリティに
ならないといけない

という原則があるんですよね

なぜそういうものが設定されてるかと言うと

それを設定しなければ

国の財政規律がむちゃくちゃになるから

という懸念があるんでね

それでスーパーマジョリティという一つのけじめ、
ディシプリンそれが設けられたんだけども

そのけじめが今、民主党によって
なし崩しにされてるということですよね

だから連邦債務上限引き上げ問題が
10月までに解決するか解決しないかということも

非常に大事なんですけども

それよか、それ以前の問題としてね

ちょっと態度が横着すぎない?
なんでもありなわけ?っていうね

そういうことがあるわけですよ。

それは債券の投資家の目線から言えばさ

これ例えて言えば

株、みんな、株買ってさ、IPOしたばかりの
会社の株買って

それでせっかく株価が上がってたのにさ

その後にロックアップが切れたとかっていう理由で

株がどーっと新しい新株がどーっとでてきて

それで株価が下がることよくあるよね

あれによく似てるわけですよ、
連邦債務上限引き上げ問題ってのは。

つまり、財政規律がなくなると

政府はどんどんどんどん債券だせるわけだから

そうすると債券の投資家からすればさ
「立つ瀬がないよね」っていうさ。

「ちょっと何とかしてくれよ!」
っていう気分になるわけでしょ。

だから、今、すでに、債券が売られてるわけですよ

それで債券利回りが上昇してるわけですよ。

それは株式にとって

株式バリュエーション低くするリスクがあるという
そういう説明をしています。

最後のポイントとして、中国恒大集団、
Evergrande、

それのデフォルト問題なんだけど

先週の木曜日かな?が、ドル建て債の
利払いの期限だったんだけれども

蓋を開けてみたら、誰も、利子を受け取っていない

つまり、利子は払われなかった、と。
デフォルトだった、ということですよね。

しかし中国の社債のルールでは、1か月間の
猶予があるんで、

正式にデフォルト認定されるまでには

まだあと一か月間の期間があります。

しかしありていに言えばね

もうその1か月間になんとか駆け回って
利払いがされる可能性っていうのは

絶望的だと思うんですよ。

なぜかというと色々債権者
つまり中国恒大集団に対して

貸しを作ってるそのステークホルダーね

例えば建設会社がマンション立てて

その工事代金をまだ払ってくれてない

早く払ってください

じゃないと、職人さんたちにお給料が払えない

というような問題が起きてるわけでしょ

あるいは中国恒大集団の造成した団地ですよね

その団地を買ったマイホームの購入者は

もうマイホームが建たなければ

その投資したお金が全損になるわけでしょ。

だから今、中国恒大集団の本社の前に行ってさ

座り込んだりさ、寝そべって、ワーーッっと

その癇癪を起こしたりなんかりしてる

そういう人もいるわけですよ。

だからそういう人たちに対する弁済と言うか

支払いと言うか保証と言うか

それを最初にやるべきであって

海外の機関投資家なんて、
べつにどうでもいいわけですよね。

そういう順位から言えばね

だからある意味、ドル建て債の利払い、
海外の機関投資家に対して

その支払いがなされるかどうかということに

フォーカスするということ自体が

非常に何て言うか自体を甘く見てるというか

そんなの、もう駄目に決まってるじゃん?
という風に俺なんかは思うんだけどね

まあ、そういう状況になっておる、
ということですよね。

だからここまでの話をまとめると

1.業績予想がどんどん下がってきてるとかさ

2.金利がどんどん上がってるとかさ

3.連邦債務上限問題が解決していない

あるいは、
4.中国恒大集団の問題とかね

という風に、不透明要因というのはいくらでも
あるわけでしょ?

だから、なぜ、値ごろ感からそろそろ買いかな?
っていう風に、みんなは出ていけるわけ?

僕は、出ていけないよ?

全部を勘案すれば

チャンスを逃すリスクと、
スコーンとやられるリスク

どっちが大きいかというと、後者のほうが
はるかに大きいと思ってますよ。

だから、リスク、リワード的に、今は見合わない

リスクをとることが見合わない、という風に
僕は考えています。

だからしばらくは、cautious(慎重)なスタンスを
維持する、そういうつもりでいます。

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