区分マンションの投資はしない方がいい

不動産投資に興味がある方はどのくらいいるのでしょうか・・・

日本で不動産投資というと、ワンルーム(≒区分)マンションを買うか1棟ものを買うかに大別されます。REITは、株を買って1つの会社経営に参加するのとあまり変わらないため、不動産投資とは扱わないでおきます。

私は、不動産投資をしています。今までに自宅を除き、16棟購入し、1棟売却したので、現在15棟所有していますが、実は区分マンションは持っていません。「区分マション=買ってはいけない」ではありません。区分マンションより、1棟アパート・マンションの方が良いと思うから買っていないのです。

賃貸住宅フェアというものをご存じでしょうか?毎年1回、全国の主要都市で同時期に開催される不動産オーナー向けのフェアです。私は、基本的に毎年行っています。別にお勧めはしませんが、暇つぶし程度にはなります。無料なので、興味と時間があれば行ってみて下さい。セミナー会場も併設されていて、こっちは割と良いお話が聞けることもあります。

昨年、この賃貸住宅フェアのワンルームマンションを販売している業者に話を聞きに行きました。冷やかしになるかもしれませんが、どういう手法で魅力を伝えているのかを生で知るために。

推してくるポイントは、

①サラリーマンは、節税になる。
②将来、借入が完済となれば、資産を子供に残せる
③弊社の扱う物件は、入居率がほぼ100%

なんてところです。突っ込みたいポイントは他にもいっぱいありますが、3つに絞ります。

では、①サラリーマンの節税になるについて。

所得税は(会社ではなく)個人の方に係る税金です。会社は法人税を納めます。個人の収入を、所得税法では10種類の所得に分類し、それぞれに税金の計算方法が定められています。

給与は給与所得、不動産投資は不動産所得となります。最終的にはこの2つは合算して税金を計算します(総合課税といいます)。

しかし、サラリーマンの方は、給与に係る税金を会社が計算し、給与から天引きすることで、あなたの代わりに納税してくれています。年間あなたの通帳に振り込まれるお給料の合計金額は、税金を納めた後の最終手残りです。

会社があなたに代わって納めた税金は、不動産所得で赤字をつくり、確定申告をすることで、一部返ってくることになります。

難しいのでまとめると、不動産賃貸業の儲けとお給料の稼ぎは合算して税金を計算しなければならない。もし、不動産賃貸業が赤字なら、税金が国から貰えるという話です。

そもそも、個人名義で不動産を買った場合、不動産所得を赤字にする節税効果は薄いのです。

不動産投資は殆どの人が融資を使って購入すると思います。不動産所得の計算の中に、「土地等を取得するために要した負債の利子」という項目があります。これは、不動産投資で赤字になったら、銀行に払っている利息の内、土地代金の借金の利息は経費にできないよ!という規定です。このことを不動産業者はまず伝えていないと思います。

銀行借入で購入した不動産の値段は、土地・建物・建物附属設備が資産として計上され、諸経費の一部は、購入した年に経費となります。

この借入金に係る利息の内、土地部分の借入に係る利息は、(不動産所得ゼロまで)経費として認めない。という規定です。

この制度の趣旨はわかりませんが、この制度があることにより、所得税が大きく還付されるような赤字を作ることは、不動産投資で経常的に発生する大きな経費といえば、ざっくり減価償却費と金利くらいなので、かなり難しいです。

また、区分マンションは、そもそも利回りが低い物件が多く、入居者管理を委託する管理会社に支払う管理費では無く、管理組合に支払う管理費も大きく、この支払いは、入居の有無を問わず支払うので、そもそも実際の表面利回りは都内ですと5%すらままならないでしょう。

1棟マンションを、そこそこ良いエリアの東京23区で、鉄筋コンクリート造で建てても6%は最低でも表面利回りを確保できます。

当たり前ですが、不動産は、節税目的で買う物ではありません。儲かってナンボです。

節税とは、儲かった事業に対して行う手法であり、そもそも給与所得の為の節税など愚かな発想なのです。
融資をしてくれた金融機関にも、経営資質のない経営者と見なされます。

年収1,000万円の人が納めている税金は所得税と住民税を合わせて150万円程度です。いくら不動産で赤字を作ったところで、50万円も返ってこないです。(税務調査覚悟で飲食代などを入れまくれば別ですが)この50万円取得を目的に区分マンションを買いますか?

良い不動産とは、買ったときに、既に儲かっている物件です。

あなたが買おうとしている区分マンションは、買った翌日に転売活動をしたら利益が出そうですか?

もし、そういった物件なら間違いなく買ったほうがいいです。そうで無ければ買ってはいけないのです。

長くなったので、②③は簡単に説明してみます。

②将来、借入が完済となれば、資産を子供に残せるに関しては、将来子供へ残そうとしている、何十年先のオンボロ不動産の売却価額はいくらですか?ということです。

劣化しないと考えられる土地に関しても1棟ものでは無いので、自由に売却はできません。更地にするのも区分マンションでは難しいのです。子供へのゴミの押しつけになってしまうかもしれません。
だったら、現金または換金性の高い資産を残してあげた方が良いと思います。

③弊社の扱う物件は、入居率がほぼ100%

弊社の扱う物件は、入居率99%です!という謳い文句は聞かないで下さい。

100ヶ月運用して1ヶ月しか部屋が空かない物件を売ってくれるということでしょうか?でも、入居率99%とは、区分マンションおいては、そういう意味なのです!!

絶対にそんなことは無いはずです。その不動産業者の入居率の算定方法がおかしいかもしれません。

入居者の引越は必ずあります。それは何年かに1回くらいのペースです。

退去→クリーニング→客付け→入居

この期間はどれくらいでしょうか?

1棟所有であれば、常に全室満室か全室空室の物件ということですが、全室空室という事態は、1棟物においてちゃんと管理していれば、まず起こらないくらいの確率です。

1棟物に比べて安いからという理由で、区分所有物件を買うと、あなたは、常に全室満室か全室空室の不動産を買うとい戦いに参入することになります。
全室空室であっても銀行の返済は原則待ってくれません。管理費・修繕積立金も同じです。

そもそも1棟物で、安くて、良い物件はいっぱいあります。

以上になります。また、長くなってしまいました・・・

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