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読書の日々「桜風堂夢物語」

こんばんは、藤里です。

今年も藤里の一番好きな藤の花が咲き誇り、あちこちの藤棚の下でうっとりしております。いつもはGWに満開なのに、今年は皆早咲きが過ぎますね(;^_^A

以前読んだ『桜風堂ものがたり』と『星をつなぐ手』のサイドストーリーです。



会いたかった人に会える奇跡があるのならあなたは誰に会いたいですか?




そんな質問に応えるような夢物語が4編収録されています。

第一話
桜風堂書店に身を寄せる、透少年の冒険物語「秋の怪談」

第二話
銀河堂書店の店長・柳田が、一整を訪ねた帰りに遭難する「夏の迷子」

第三話
同じく銀河堂書店の店員・渚砂が過ごした、父との最後のひと時を描く「子狐の手紙」

第四話
最後に一整や桜風堂を見守る、家族の物語「灯台守」

”叶える夢”というより”儚く消える夢”を描いたそんな一抹の寂しさが、涙腺を崩壊させてくれます。

なかでも、一つ一つ、散りばめられた愛情を拾うたびに胸が苦しくなっていく「子狐の手紙」。これが一番寂しくて、温かくて私は好きです。


病床にいるはずの父と峠の山で出会った渚砂。一緒に峠を歩いて桜風堂に向かっていたはずなのに、峠を抜けた先で彼女のもとに届いた父の訃報。

現実なのに、夢のようで。夢なのにどこか現実的で。
心に寄り添うように進んでいく物語が、桜の花びらのように散り積もります。

「もしかしたら、もう、この部屋には帰れない予感があったのかもしれない。まるで、自分の亡き後に部屋を片付けるだろう、誰かのために、少しでも負担にならないようにしようとした。そんな気配りが感じられるのだった」

こんな形の不器用な優しさもあるんですね。



今回の画像はhina.a様からお借りしました。


いつも最後まで読んで下さりありがとうございます。
またお会い出来たら嬉しいです。

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