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Denmark 2 ~学校編~

前回はこちら

あたらしいルームメイトと朝ごはんのこと

ここに来て3日目の朝。
わたしはシャイな日本人から
おしゃべりな日本人になった。

昨日の午後から
まやちゃんがルームメイトになったからだ。

「プラムをみがき続けるとさぁ
つるつるになってきもちがいいって知ってる...?」

窓の向こうを眺めつつ
シリアルをくちに運んでいたまやちゃんが言う。

どれどれ...
と試しに手にしていたプラムをみがくと
食品サンプルみたいに輝くではないか。

これがたまらなくおかしくなって
私はまたひとつ、ふたつ、と
プラムを丁寧に磨き上げては
むしゃむしゃと食べるのだった。

さて、朝ごはんは日によって
バリエーションが違うのだけど
だいたいはライ麦パンと
オートミールとフルーツ。

そこにヨーグルトやアーモンドミルクや牛乳、
それぞれが自分の好みに合わせて
選べるようになっているのだ。

もちろん今日はパス、
ぎりぎりまでおふとんにいてお茶だけ
もらいにいくわって人もいる。

ちなみにわたしのお気に入りは
ビーガンバター!
豆乳の他にココナッツオイルや菜種油など
いくつかの油でできているみたいなのだけど
これが本物のバターよりも
美味しいんじゃないかってくらいに
味わい深いものがある。あぁたべたい。

結果的に滞在中は
バターのためのパンを食べ過ぎていたので
お腹には全然やさしくなかった...

スーパーへの道のり

街にでるには車で20分ほど
(歩いたら3時間くらいかな...)

ここにいるみんなのささやかな楽しみは
Wi-Fiをのぞけば隣町にある
スーパーへと行くことに違いない、と思う。

まずはこの並木道をぬけて
途中小脇にある道を左におれる、
この道はきのこがたくさん生えていて
ときどきどこからきたのか犬の散歩を
しているひとに出会ったりもする。

そうすると馬たちのいる原っぱにつく。
ここまで来たら中間地点。
あとは湿地をずんずん進んでいけば
そのうち隣町の道路へと出られる。

馬たちに挨拶をする。
それからわたしたちは好き勝手に
歌ったり、落ち葉拾いをして歩いた。

この国のひとも木々もほんとうに
のっぽなのでいやでも背すじがのびるよう。
木々の沈黙だけがわたしたちを
つつむのがほんとうに心地よかった。

その晩、
スーパーで手に入れたいかにもらしい
お菓子をお供にわたしたちは
ガールズトークを繰り広げたのである。
(それでも10時を過ぎると眠くなって
解散するのはここならでは。)

教育という認識の違い

日本を離れてもうすぐ1週間。

その間にわたしは
食べて散歩して寝るだけという
あたりまえの人間生活を繰り返していて、
実のところここに来たらやろうと思っていた
製作にはなかなか取りかかれずにいた。

それでも毎日いろんな事や人に触れ
それについてまやちゃんやさゆりちゃんと
話をするのが楽しかったし
実際、わたしたちの口はとまらなかった。
(このときのおしゃべりはこちら)

わたしがおもうこと。

ここに来て改めて
わたしからみる日本の教育は
自分をわかりやすく数値化するためであり
自分を守ったり、信じたりするための
ものではないように思える
というのが正直な感想だった。

その点、この国の教育は
じぶんを信じるためのものだ。
そして学校という場は
常にベストを目指すところではなく
失敗を学ぶためにある場所だと感じる。

小学校へ留学生がデンマーク語で
自己紹介をするという授業について行った時、
"生徒たちにはじぶんを信じさせてあげたい"
といった先生が印象的だった。
このクラスのこどもたちはほぼ全員が
常に疑問と好奇心をもって手をあげていた。

そして週末にフェイクウェディングという
イベントがあったのだけれど、
これは現代で、結婚する意味ってなに?
もっと深く考えれば愛ってなに?
ということをそれぞれが考え、話し、
そのうえで役になりきって感じてみよう
というイベントだった。
つかの間の晴れ間が講堂に差し込んで
愛についての言葉たちをてらしたけれど
やりたくないひとはわたしの
部屋にきていいよ、という教員の一言は
おひさまの暖かさとおんなじくらい
優しいものを感じた。

そういうちがい、をうけとめる器が
必ずあるということは安心して発言や行動を
自由にすることができるということ。
そして絶えずじぶんを壊し再構築すること
でもある。

このことからわかるけれどこの国では
教育と暮らし、いや生きるがすごく密接だ。
もちろんどの国においてもそうだと思うけど
特別この国の教育は人間らしくある気がした。

そして家柄や年齢に関係なく
学びたいという意欲に対等にやさしい。

ここ数日でみたものや知ったこと
出会った人たちすべてがわたしの中に
たくさんの種をまいていった。
それがきちんと育って
芽を出すといいのだけれど...
いまはじっくりじぶんのなかでろ過して
これからどう生きるかになっていくといいな。
そう思う。

そしてここで出会ったひとたちのことは
まやちゃんがOil magazineにて
かいているのでそちらを読んでみてほしいな。
みんなそれぞれがとても素敵な人たちで、
そしてことばがわからなくても
すごく優しくしてもらった。

追記.
この国の冬はながくてくらいけれど
時々さす雨あがりの光がそれはそれは
うつくしいこと。


#百花の旅のはなし #旅とわたし






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