見出し画像

観光淘汰

今回のテーマ「観光淘汰」は、観光自体が淘汰されていくか否かではなく、観光地や観光コンテンツで淘汰されるモノコトについて考えていきたいと思います。

コロナパンデミックによって、生活が脅かされています。これは生活だけにとどまらず、人類の危機と言っても過言ではないと思います。飛躍しすぎかもしれませんが、歴史上滅んでしまった古代都市を連想してしまいます。
そして現実的にはワクチンではなく、早く治療薬ができることを期待します。

コロナ禍によって政府からは外出制限を言われ、飲食業界やいろいろなモノコトを包括する観光業も大ダメージです。あまり表立ってはいない業界であっても大ダメージを被っていることでしょう。
そして個人も、人生、この世界は本当に何が起こるかわからない、ウィルスは本当に怖いと生命の危機を実感している人も大勢いるのではないでしょうか?

このようなパンデミックの後は、「変革」が訪れるとも言われており、もしそれが本当だとしたら、私たちはその過渡期にいると言えます。

私達の生活(歴史)を振り返るといろいろなものが淘汰されてきています。もちろん不要なものが取り除かれ、良いものだけが残っているとは言いませんが、進歩の過程では当然起こりうることだと思います。
歴史の中で緩やかに淘汰されてきたモノコトが、個人的にはこのコロナ禍で、急変(加速)していく気がしてなりません。
世界中でコロナによって人が亡くなっていくニュースが流れ、現在の生活の不自由さへの不満等から、これまでの生活を振り返らずにはいられなくなってきているようにも感じます。
何が必要で何が不要か?、今までの生活や人生は本当に幸せだったのか?、これまでの暮らしで本当に大切なのは何だったのか?等々。
するとこれまで以上に、いろいろなものに意味を求めたり、価値観が見直され、一時は審美眼的な目で、各々がモノコトを見るようになっていくように思います。それが観光についても起こるのではないかということです。

ハッキリ言えば、「観光」がなくても「生きて」はいけます。
また生命を脅かされず、豊かな時代に好まれるのも「観光」で、そこには「余裕」というワードが眠っていると思います。金銭的余裕、時間的余裕、生活的余裕、精神的余裕等。
しかし観光は、例え豊かな時代ではなかったとしても「豊かさを享受」する(していく)のになくてはならないものの1つだと考えています。

では、人にとって観光の役割とはいったい何でしょうか?
観光に求めるのは何でしょうか?
私は、大きく分けて2つの事柄だと思っています。

①好奇心等の欲求充足
好奇心、刺激、楽しみ、食欲、物欲、体験や経験欲等の欲求充足。

②異世界へのエスケープ・ヒーリング等
今暮らしている環境ではない場所に行って、窮屈に思えた現生活から解放されたい、心身の回復の為のリラックス、リフレッシュ等。

観光というのは、これらを比較的簡単に叶えてくれる可能性が高く、そこには期待があります。もちろん行った地によって満足や満喫が得られるか否かが決まります。また1人でないのならば、同行した人による影響もあるでしょう。

今後この時代を経て、観光において何が淘汰されていくのでしょう?
思いつくままいくつか挙げ、考えてみたいと思います。

<淘汰されていく観光・観光地>
①「見る・眺めるだけ」の観光
これまで景勝地等は見る・眺めるだけが主流でした。しかしその魅力を更に引き出すような何かが欲しいと思います。
②「買うだけ・食べるだけ」の観光
せっかく来たのに「どこでも買えるもの・どこでも食べられるもの」では、魅力がないばかりか、来た甲斐が感じられません。すべてというわけではありませんが、「見たことのない新しさやどこにもない珍しさ」が欲しいと思います。商品開発・美味しさやメニュー開発にとどまらず、それを取り巻く全てのモノコトに関わります。
③「経験・体験するだけ」の観光
例えば有名な吊り橋を渡る、温泉に入る等、「経験・体験するだけ」では物足りません。何かを複合させたり、設備、演出などによって「ただの経験・体験」を超え、新たな世界観や(付加)価値が与えられるかもしれません。
④「世界観が感じられない」観光
観光地に来たというのに、観光に来たと感じられないような観光地では、観光者をガッカリさせてしまい、リピートしてもらうのは難しいでしょう。観光のオリジナル世界観で包み込むような何かが必要だと思います。
⑤「安心安全が担保できない」観光
いつかコロナが収束したとして、「ウィルス」の脅威が2度とやってこないとは限りません。
それはコロナが気付かせてくれました。そうすると少なくとも安心安全が担保できない(あるいは対策がされていない)ような観光地は淘汰されていく傾向にあるかもしれません。
時間が経つと忘れてしまう…そんなことがないようにしていきたいです。
また、コロナに変わる猛威が訪れたとしても、現在の教訓から対策準備さえしておけば、少なくとも近年の状況よりはマシなはずです。
「安全」という点では、天災や犯罪も考えられます。
⑥観光地をブランディングとして築いていかない
そこに行けば叶えてくれるという観光地のブランディングは知名度にも繋がります。これを叶えるには観光地のビジョンが大切になってきます。
ここでは「○○商品=○○地」というような一商品、一コンテンツのことだけを言っているのではありません。
もしも一商品のブランディングの成功だけなら、その商品はネットでも買えるでしょうし、一コンテンツで他に魅力がなければ、そこに行って帰るか別コンテンツに向かってしまいそうです。
一商品一コンテンツのブランディングも大変ですが、それだけにとどまってはいけないということです。

重要となるであろうキーワードをいくつか挙げてみたいと思います。

<キーワード>
①新しさ
全く新しいモノコトもあれば、改善されて新しく変わるモノコトもあります。改善されて~のモノコトは、「新しくなった」と気付かないような改善ではいけません。
②特別感
そこでしか、逆の言い方をすれば他にはないモノコトを用意しなければなりません。
③演出・表現・仕掛け
もしかすると今、「実際の観光」を語る上で、最も重要かもしれません。
このことが、他とは違う何かを表しやすいと思います。
④複合・波及
「○○だけ」というような、1つの目的要素しか持たないものに別の何かや意味を複合・波及させるのです。

これらは建築(外観・内装)、設備、演出、内容、システム、人等で表現されるでしょう。そして観光地のオリジナリティに直結するはずです。

確かに「コロナ禍だから」という内容ではありませんが、パンデミック後(コロナ収束後)の世界になる前には、人々の思考の変化に伴って急激な淘汰の可能性も考えられ、これらを改善しなければ「中途半端と感じられるような観光地」が淘汰され、これまで以上に「人気ある観光地」と「閑古鳥の観光地」の二極化が進む危機感、後者は最悪消滅していってしまうかもしれません。そして淘汰される観光地がある一方で、これまで観光地ではなかった新たな観光地の「出現」もあるかもしれません。

よろしければ「サポート」をお願い致します。いただいたサポートはクリエーターとして活動費に使わさせていただきます。