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13回目の北海道ツーリングを終え回想

みなさま いつも見て頂き感謝でございます。
オートバイで旅をする写真家 立澤重良です。

35年のバイクキャリアで、こうして大きな怪我もせず
今、楽しく幸せに生きているのは
よっぽど運がいいのだな!自分は!
と、しみじみ感じております。

加えて遠くから私の写真展に来ていただいたり
応援のメッセージをたくさんいただいたり
ファンだ!と言ってくれる方がいたり
多くの人に支えられていることに心から感謝です。

さて、今日はそんな運がいいだけの自分がせめてもの恩返しで、誰かのお役に立てれば良いな…ということで記事を書いてみたいと思います。

今回は北海道ツーリングのお話です。

美瑛町 2018年撮影

私がはじめて北海道をツーリングしたのは2004年。
私の年代からすると北海道ツーリングのデビューとしは遅咲きです。

90年代のライダー文化は夏は鈴鹿8時間耐久の観戦、または北海道ツーリングでミツバチ族という時代でした。

しかし、その頃の私は峠走り、サーキット、オフロード走行といった「走り」に夢中になっていて、ツーリングは自宅から日帰りで済む千葉県内に留まっていました。

最初の大型バイク BMW F650GS Dakar

2003年に愛車を長距離移動を得意とするBMWに乗り換え、遠くまで行くのがとにかく楽しくて自宅の千葉から離れた福島や長野などを夢中で走り回っていたときでした。

「今年の夏は北海道にいってみるか」

ふと、そう思いキャンプの道具も揃えて一週間の休暇でフェリーに乗って旅だったのです。

北海道は雄大

茨城県大洗港発のフェリー「さんふらわあ号」が北海道の苫小牧港に着岸し、車両甲板のハッチが開いた瞬間の空氣感を今でも鮮明に覚えています。

【空氣が違う!】

まだ港の近くで特段に景色が良いワケではないのに、ワクワクそしてドキドキするのです。それは長い時間、船に揺られてたどり着いたから…では説明しきれない高揚感でした。

街中からはずれて国道を走っていると、空の青さ・・・いや広さ、自然の豊かさ、延々と続く牧草地や原野といった見慣れない風景に驚きと感動を覚えました。

キタキツネ、エゾリス、シカ、タンチョウ鶴などが普通に見れるのも驚きました。

しかし、今になって回想すると景色や動植物に圧倒されたと言うよりも、雄大な自然から感じとるエネルギーの違いに胸が高まっていたのだと思います。

紋別町 2016年撮影

【北海道、この特別感の正体は何だ?】

ただただ圧倒され、感動の連続だった北海道の旅。

見慣れない草花、美しい野鳥や珍しい虫、紺碧の海、放牧の香り。
素晴らしい食文化に舌鼓をうち、温泉に癒される。
そして同じような旅人との出会いや地元の人との暖かい会話。
自分のそれまでの人生では経験のないことばかりでした。

最初はツーリングマップルに記載されている見どころをトレースするだけのツーリングでしたが、しだいに「この先に何があるのだろう」という好奇心の向くままに走ってみたり、険しいと分かっている林道に挑戦してみたり、それはもう私にとっては「冒険の旅」と呼んでいい体験でした。

稚内市 北防波堤ドーム 2017年撮影

「旅」の定義は主観的でいいのだけど、個人的に思うのは次の通り。
計画されたもの、誰かが示してくれた場所、快適や贅沢さ、予定調和で出かけるレジャー的「お出かけ」ではないこと。

つまり旅とは自分の意志で向かう地を決め、自分の直感で出会うべき景色に出会い、自分だけの世界に没入できるかどうか?

旅をしている間、自分の中のもう一人の自分と対峙する静けさがあるかどうか?
これ、レジャー的な旅行との大きな違いだと思います。

そして強く思うのは自分を成長させてくれる体験となるか?であります。

時に惨めな思いをするほど過酷な環境に遭遇したり、予期せぬハプニングやトラブルも乗り越えて旅をやり遂げる感覚。
これがあれば間違いなく自分の「旅」だと思います。

黄金道路 2005年撮影

2004年の北海道ツーリングデビューから20年。

その間、数えること13回の北海道ツーリングを経験しました。
ツーリングマップル北海道を監修するホッカイダーこと小原信好さんには及びませんが北海道をバイクで旅するのが本当に好きです。

もちろん東北や信州、伊豆や四国も大好きです。九州も沖縄もバイクで走りました。
でも北海道は本州とは明らかに違う特別なものを感じます。それは先ほども書きましたが自然が発するエネルギー感です。

天塩町 オロロンライン 2024年撮影

もともと北海道は日本ではなく蝦夷地、アイヌの地だったわけで古事記や日本書紀といった神話でも北海道は登場しません。
私たち日本人(アイヌ人からみれば和人)のDNAに脈々と流れる神々の分霊も、北海道の地に行くと別の自然エネルギーを感受してそれに高揚するのでしょう。

ちょっとうまく説明できないのですが、北海道から帰ると地元の神社を参拝したときに「ただいま」と言いたくなる安心感を覚えるのです。

それほど北海道は私たち和人にとって特別なアウェーなのです。

自分の旅の世界に没入できる静けさ、それを感じるのが焚火の時間だ

レジャー的な旅行ツーリングとバイク旅の違い。
それを私に教えてくれた2004年夏の北海道。
少々大げさですが私の人生を変えてくれたターニングポイントとなる出来事でした。

話は飛躍しますが人生とはその中に幾つかの節目となるポイントが存在していて、そこに出来事や出会いなどターニングポイントとよべる「きっかけ」があります。
それは神さまが与えてくれるものだと私は信じます。

その時は単に「北海道も走ってみるか」という単純な動機ではじめるのですが、後になって回想するとそれは自分の人生にとってかけがえのない尊いものになるのです。

私はこの「旅の世界を知る」という体験をきっかけに写真家として生きる道を見つけましたし、末永くオートバイと付き合える生き方も見つけました。

宗谷丘陵 2024年

これを見ている皆様で、まだ本当の旅の世界を知らない、自分の中の本当の自分と対峙する静けさ、自分の旅の世界に没入する真のバイク旅・・・はまだ未体験だ・・・という方。

ぜひ北海道をバイクに乗って一人旅してみては如何でしょうか?

読んでいただき感謝でございます。
ありがとうございました。


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