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【第48話】超危険!! 津軽半島でホワイトアウト!!

みなさんこんにちは。
7月下旬に有給を取得し、5日間かけて津軽半島・下北半島を巡る青森ツーリングがスタートしました!
前回は東京から新幹線で新青森駅へ、自転車で北上し津軽半島の小さな漁港・小泊へやって来ました。2日目となる今回は、半島最北端の竜飛崎へと向かいます。そして、そこへ至るまでの道路が国内屈指の絶景ロードなのだとか。ここを走るために、はるばるやって来たといっても過言ではありません。どんな景色が待っているのでしょうか。

▼前回のお話▼

旅立ちの前のチャージング!

7月22日、青森を走り始めて二日目の朝を迎えた。宿から5㎞進んだ位置に道の駅があるらしく、開店に合わせて少し遅めに出発した。1日目の疲れも何処かへ消え、気分爽快な走りだし…という訳にはいかなかった。空は鉛色をした雲に覆われ、今にも雨がこぼれ落ちそうな様子だった。道の駅も何がしたいという事でもなく、補給食を手に入れたいくらいだった。そう、今から走る場所は補給食なしでは越えられない道だ。津軽半島の最北端・竜飛崎へと至る国道339号。小泊と竜飛崎を結ぶことから、竜泊ラインと呼ばれる。この先20㎞ほど、調べた限りでは商店や飲食店は全くない。標高差は530mアップ440mダウン。海岸沿いの道かと思いきや、ちょっとした峠越えくらいの難易度はある。ある程度は覚悟が必要だ。

道の駅こどまり。売店には円柱形の生簀があり、地魚たちが悠々と泳いでいる
俺はコイツと旅に出る

雲行き怪しい津軽半島

しばらくは海岸線に沿うように曲がりくねった道が続いた。これでも地味にアップダウンはある。白く霞んだ海の風景は、本当につまらなかった。道の駅から4㎞程進んだところで、立派な滝が右手に見えた。七ツ滝といい、その名の通り7段の岩肌を水が伝い流れる姿が特徴的だ。この先のことを考えると貴重な見どころということで、何枚も丁寧に写真を撮った。再びペダルを漕ぎ出すと、まもなくして恐ろしい景色が視界に飛び込んだ。うねうねとカーブを繰り返しながら、道が岸壁を伝って遙か上方へと延びている。普段だったら喜びを感じるところだが、今回はこの天候のため全くそれはなかった。絶景道路は期待できないだろう。そして、容赦ない斜度12%の標識。覚悟を決めた。

晴れていれば最高であろう海岸の道路
七ツ滝にはベンチが設置され、ちょっとした休憩どころになっている。自転車でも近づけるのがうれしい
思わず言葉を失う登り坂
つい先ほどまで走っていた沿岸の道路が、靄の向こうに薄らと見える

ホワイトアウト and シャウト!!

標高が増すことに海は遠ざかり、山の中へと進んでいった。山とはいえど日本海の潮風の影響だろうか、樹高は低く見晴らしは良い。しかし標高に比例するように霧は濃くなり、視界は徐々に曇ってきた。雲の中を進んでいる感覚になってきた。そして、ついに濃霧がピークを迎えた。視界5m先までしか見えない。もはや何処を走っているのかもわからない。白い霧に包まれた静寂の山道は、恐怖以外に何も感じなかった。もし前方から対向車が現れたら? あるいは熊や猪が出現したら?? おそらく対応できないだろう。上り坂が少しでも早く終わることを願いつつ、全神経を研ぎ澄ませながらペダルを漕ぎ進めていくと、頭上に看板のような物が見えた。どうやらここが頂上らしい。展望台もあるようだ。だが当然、何も見えなかった。この後は落差440m、一気にダウンヒル。あっという間に山を降り切り、道の駅へと到着した。本日の見どころ、道の駅 みんまやだ。

登れば登るほど、霧は濃くなる一方だ
道路脇に等間隔にポールが並んでいるが、次のポールが見えないレベル
石碑が立つ眺瞰台からの眺めは素晴らしく、幾重にも折れ重なった道路の向こうには雄大な海が広がる……はずだった。ぜひGoogle検索で楽しんでください
道の駅みんまやでは青函トンネル 竜飛斜坑線に乗ることができ、ケーブルカーで海面下140mの地底へ降りることができる
24年という途方も無い歳月をかけ、殉職者を出しながらも完成した青函トンネル。その壮大なスケールを体感できる空間だ

階段国道からの竜飛崎

さあ、いよいよ突端・竜飛崎へ! とその前に、もう一つ見どころがある。国内でもここが唯一、なんとも奇妙な階段国道がある。その名の通り、国道339号の一部が階段になっていて、国道にも関らず車両は走れず歩行者のみが通行できるのだ。総延長388.2m標高差約70m、こんな険しい地形では道路の整備を諦めるのも納得ができる。階段国道の降り口のすぐそばに、一軒お店が建っていた。「お食事処たっぴ」。いい名前だ。気が付けば13時20分、お昼にはちょうどいい時間だ。海の幸たっぷりの三食丼をいただいた。食後は竜飛崎へと向かった。案の定、霧のせいで景色はイマイチだった。さて、階段国道はどうやって降りるのだろう。地図を見ると、ちょうど階段国道を避けるように車両通行用の迂回路が用意されていた。しかし遠回りになるので、何を思ったかこのまま自転車を担いて階段を降ることにしたのだった。これは頭が悪かった。20kg弱のマウンテンバイクで、肩が引きちぎれるところだった

階段なのに国道のおにぎり標識が立つ奇妙な光景が楽しめるのも、国内ではこの場所が唯一だ
「津軽海峡冬景色歌謡碑」が目印の高台から、竜飛崎を見下ろすことができる
プレハブのような外壁に潮風で錆びついた雨樋が旅人の心をくすぐる
ウニやマツカワガレイが贅沢に盛り付けられている

その後は海岸線に沿うように国道339号、280号を進んでいった。日本海側とは異なり、津軽海峡側・陸奥湾側は起伏はほとんどなく、50㎞の距離をハイペースに漕ぎ進んだ。途中休憩を挟みつつ、下北半島行きの連絡船が出る蟹田港へ無事に到着した。ここは昨日の昼に焼きそばを食べた場所だ。半島の北部をぐるりと一周したことになる。時刻は18時前、ちょうどこの場所に宿をとっていた。港のすぐそばの民宿で一泊することにした。

単調な道が続く
津軽海峡に面した高野崎。崖の向こうには二つのアーチ橋が海に架かる景色が見られるのだが、そのことを完全に忘れていて去ってしまった
道の駅 たいらだてを境に津軽海峡から陸奥湾へ入る。天候は変わり、湾内は青空が広がっていた
蟹田川の河口に建つ佐々木旅館。だいぶ年季は感じるが要所要所には設計にこだわりを感じる建物だった

津軽半島は、これまで10数年のチャリライフでも一番の濃霧に襲われ、その危険度はトップクラスであった。明日はいよいよ下北半島へ! 乗船場へのアクセスもバッチリだ。出航の時刻に合わせて出発しよう。
おやすみなさい…。


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