見出し画像

最愛のあなたへ~Another Story

あなたの体温に包まれる心地よさに
重たいまぶたは開かないでいる

眠すぎて何も考えられないまま
顔中にキスの雨を受ける
小さなリップ音を奏でる
あなたの優しくてやわらかい唇が気持ちいいの

この時間がとても好き

サイドボードのロックグラス
溶けてなくなった氷と
スコッチの苦くて癖のある味
ハチミツのようで少し潮(しお)のようなふしぎな香り
サラミソーセージのスパイシーな香り
わたしと同じボディーソープの香りの中に
やわらかく包み込んでくれる大好きなあなたの香り

バレないようにこっそりとあなたに体を寄せて
この幸せなひとときにひたる

キスをしながら流し込まれたバーボンと
あなたの余裕のない表情と吐息に酔って
舌を絡ませて笑うわたしと
ギラギラとした瞳のあなたと目が合い
深く深く繋がり合う快楽とあふれる愛情に
幸せがあふれてくる

ふいに、あなたの腕に抱き寄せられ
ぴったりと体を寄せられる
あなたの暖かさと力強さと優しさを全身で感じる心地よさ

「愛してるよ。」
大好きな低い声で囁かれる
そういう不意打ちはズルいよ

「大好きだよ。」
さらに囁かれた声は低く腰に響いて
思わず出てしまった声が掠れていたことに
ゆうべの記憶と重なって恥ずかしくなる

「愛してるよ。」

このドキドキが伝わってしまいそうで
寝返りをうつフリをして顔を隠したけれど
思わずにやけてしまったのは見られたのかもしれなくて…

熱いため息と力強い腕に
当たり前のように熱くなる体の奥

寝たふりをして言葉にならないことを言ってみる
さんざん声をあげて掠れてしまった声に
恥ずかしさがこみ上げてくる

「愛しています。心から。」
もう…やめて…
耳元で囁かないで…

力強く抱きしめられて
「世界中の誰よりも愛してます。」

もう起きているのはバレてるんだろうなぁ
こういうときのあなたはイジワルで、とても楽しそう

「愛しています。あなただけを。」

ほっぺに
おでこに
まぶたに
首すじに

柔らかいキスの雨がたくさん降ってくる

小さなリップ音と一緒に
あなたが刻み込まれる

胸の谷間に刻まれたキスマークを指がなぞり
体の芯が熱くなる

「あなたには、敵わないな。」
聞こえてきたひとりごと
それから小さな寝息
少しホッとしたような…残念なような…

かなわないのはわたしの方だよ

「ねぇ、大好きだよ。」
恥ずかしくてあまり自分から言えないから
眠っているあなたにそっと話しかける
 
あなたはいつも優しく愛をささやいてくれる
それがどんなに幸せなのか、あなたは知っているかしら?

あと少しでまた会えない日々が始まる
さみしさがこみ上げてくる
ねぇ、次はいつ会えるの?
イヤだよ。離れたくないよ…
泣きたくないのに涙があふれてくる

「ずっとそばにいてよ。」
眠ってしまったあなたに聞こえないようにつぶやく

プレゼントされたネックレスにそっと触れ願い事をする
あなたと、ずっとずっといっしょにいられますように…


★────────────────────────────────────★

写真はCanvaから。

『最愛のあなたへ』のもう一人の視点。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?