新時代の通訳ガイド活用のススメ
新型コロナウイルス感染症に翻弄された一年が過ぎ、新しい年を迎えてから、早くもひと月が過ぎました。寒くて長い冬の後には、春が必ずやってきますよね。「冬きたりなば、春遠からじ」の言葉に思いをはせ、季節のうつろいを感じています。
昨年からインバウンド市場は蒸発、そして私のツアーガイドのお仕事にも影響が続いていて、海外旅行者の受入れ再開を静かに待っています。
私が生業としているのは、海外から来日するお客様を英語で観光案内する業務で、「通訳ガイド」と呼ばれます。通訳ガイドはコンシェルジュやバトラーのような役割も時には必要で、状況に応じて臨機応変に対応できるようなスキルも大切になってきます。
この通訳ガイドのスキルと、これまでの業務経験に基づくノウハウを生かして、インバウンドの接客サポートに特化した各種サービスや地域プレーヤー育成のお手伝いを行っています。
これまで現場で実践してきたことを、地域に還元したい、社会貢献につなげたいとの思いで、ガイド業と両立しながら、賛同してくれる仲間と共に少しづつ進めてきました。
そんな中で、インバウンド対応してきたにも関わらず、うまく機能していない事例もいっぱい見てきました。訪日外国人数が過去最高、爆買い、などと景気の良い言葉が賑わっていた頃も、すべての場所ですべてのインバウンド対応が想定通りにうまく行った訳ではなかったように思います。
熱心に取り組んでいるにも関わらず、外国人目線で見ると、なかなか理解しがたいような事例などもいくつも経験しました。
これらの事例は、全てが間違っているわけではなく、専門家が少し手を加えれば完成度の高いものに仕上がり、インバウンド対応の成功確率を上げていくことができるようになるでしょう。
とは言いながら、実は、私には自分の思い違いを痛切に感じた出来事がありました。
全国にインバウンド接客術をお伝えする活動の中で、地域の方々にとって、私は得体の知れない「よそ者」と思われていたことです。活動を始めた頃は、このことに気がつきませんでした。
インバウンド顧客に対して良い印象を持っていない方々は、
”できれば外国人を受け入れたくない。むしろ来てもらいたくない。”
というような気持ちを抱えていたのでしょう。
彼らにとっては、外国人はよそ者、その接客を語る私もまた、よそ者としか映っていなかったのでした。
この出来事から学んだことは、
地域住民には、同じ地域に暮らすプレーヤーを通じて、インバウンド対応をサポートしてもらう方が円滑に進みやすいということでした。
私たちには、全国の地域プレーヤーを育成するためのお手伝いができます。通訳ガイドから地域プレーヤー、地域プレーヤーから地域事業者へと連携して、バトンを繫いでいくように、インバウンド対応力を日本全国の各地域へ広げていくことを目指して、地道な活動を続けています。
インバウンド接客のノウハウや外国人とのコミュニケーションのポイントや事例を共有して、
毛細血管を整えると全身の血流が改善されていくように、それぞれの地域から、インバウンド受入環境を丁寧に整備していくことで、全国のインバウンド対応力が強化されていくでしょう。
今のうちに着手しておけば、海外からの受入れ再開時に、各地域で安心して外国人を迎えることができるはずです。
私たちは地域のプレーヤー育成とサポートを続けながら、地域が誇る美味しい果物や農産物、伝統の技が詰まった工芸品、自然環境の豊かな地域、ありとあらゆる場面で、そこに暮らす日本人と、訪れる外国人とのコミュニケーションが少しでもスムーズになればいいと夢見ています。
今週は島根県隠岐諸島の皆さんと、新しいツアー造成のワークショップをオンラインで開催しました。将来ガイドとして活躍される皆さんから、地域のことを色々と教わりました。
地域スペシャリストならではの情報を教えていただき、隠岐には自然がいっぱい、まるでヨーロッパのような景観が広がり、いつかブレークしそうな予感がしています。
隠岐の素晴らしさを来訪者にスムーズにお伝えすることができれば、旅の思い出もきっとポジティブなものになるような気がします。そんな旅なら、嬉しくて、友達や知り合いにいっぱい話をしたくなりますよね。
このような話をしていると、早くリアルな旅がしたくなってきました。
あなたにとって、次の旅先はどこですか?
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