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アフターコロナにタイ人のお客様を迎えるために大切なこと。

「タイ人を知りたいなら、一緒に旅をしてみるといい。」

訪日タイ人から絶大な人気を集める日本人インフルエンサーの方がそう語った言葉に共感しています。

たしかに、タイ人がどんな速度で歩き、どんなところで足を止めてカメラを向けるのか。それらはタイ人と旅する時間を共有しながら実感できる。                   

旅行業界とは無縁だった私が、夫の仕事の都合でタイ・バンコクに約5年滞在した後、2014年からタイ語通訳ガイドとして活動を始め、多くの訪日タイ人ツアーの実践経験を積むことができたのは、ビザ免除によるタイ人観光客の増加と、インバウンド関係者の皆様に多くのチャンスを与えていただいたからに他なりません。

ときに、タイ人の当たり前が必ずしも日本人の当たり前ではないことから生じるトラブルに頭を悩ませることはあっても、とにかくお客様には限られた日本での時間をめいいっぱい楽しんでいただきたい。その思いと、最後に空港にお送りした時にかけていただける「ありがとう!また来るね!」の言葉。それが次の仕事への原動力となり、ここまで通訳ガイドの仕事を続けてこられたように思います。

もちろんコロナ禍の直近1年は、そんな現場から遠ざかっていることは確かですが、ひとつのツアーが終わった後、きちんと頭の中を整理しないまま次のツアーに臨んでいた時期を振りかえり、一旦立ち止まって、自分を俯瞰するいい機会となりました。

また、縁あって以前仕事でご一緒した英語ガイドの冨山さんが続けるインバウンドファクトリーの活動に賛同し、これまでの訪日タイ人ツアーの経験をフィードバックしながら、インバウンドの現場におけるタイ人とのコミュニケーション支援など、講師としての活動にも取り組んでいます。

アフターコロナで、タイ人は必ず日本に戻ってきます。

タイ人の日本好きは、今回のウイルスによって消滅してしまうようなものではありません。子供の頃から「ドラエもん」や「忍者ハットリくん」、「クレヨンしんちゃん」を観て育ち、また、ラーメンや寿司などの日本食を楽しんでは、日常的に日本文化のシャワーを浴びているタイ人には、私たちの想像以上に深いところまで日本が染み付いています。

そして、そのアニメやドラマの中で見た「日本人の生活に触れたい」という欲求はごくごく自然に生まれ、コロナ禍の現在、SNS上には「キットゥン・イープン(日本が恋しい)」「ヤークパイ・イープン・レーオ(もう日本に行きたい!)」の声で溢れています。

ただ、アフターコロナにおける訪日タイ人の旅のスタイルは、これまで以上にプライベートなものになっていくと思われます。特に、コロナ以前から若者を中心に見られ始めたレンタカーを利用した地方への旅行。一度、レンタカーの快適さを知ったタイ人は、次もレンタカーで旅行したくなるのは必然で、さらに口コミ効果でこの流れは主流になっていくでしょう。

ただ、ここで想像されるのが、様々な便利なツールによって本当は「日本人の生活に触れたい」はずのタイ人が、ますます日本人に関わらなくても旅が完結する傾向にあるのではないかということです。

タイ人は基本的にシャイなので、受け身で待っていてもやって来ません。
日本人の声を聞きたくても、どう聞いていいか分からないので、ネットの情報だよりになってしまう。
そこで、日本人の私たちから、タイ人に歩み寄っていく必要があります。

例えば、レンタカーで旅行中のお客様に、チェックアウトの際、

「次はどちらへ向かわれますか?…あっ、○○でしたら30分くらいですね。途中に美味しい豚骨ラーメンのお店がありますよ。目印は赤い看板です。」

こんな風に道案内+アルファで地元の情報を与えてあげられたら、きっとそのお客様は少し照れながらも「アリガト!」の声を返してくれるはずです。

タイ人が知りたいのは、そこに住んでいる日本人の声です。

もちろん必ずしもタイ語である必要はありません。伝えたいことがはっきりしていれば、それを伝えようという気持ちがあれば、どんな方法でもきっとタイ人にその思いが伝わります。

アフターコロナに向けて、タイ人が知りたがっていること、日本の様々な地域に暮らす方々が伝えたいこと、それらを擦り合わせて双方が笑顔になれるようなコミュニケーションのサポート支援ができれば幸いです。

こうしている間もタイ人は、「コロナの後、日本旅行はどこに行こうか?」と、あれこれ想像を巡らせていますよ。

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