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極上のホスピタリティ

去る四月の結婚記念日。娘が「旅行をプレゼントするから、好きなところにいっておいでよ」と言う。コロナ禍以降、横浜(ホテル・ニューグランド)と鎌倉に行ったぐらいで遠出はしていない。特に一昨年、夫が膵頭十二指腸切除術を受けて以降は体力的な問題もあり、旅行はしていなかった。
久しぶりに長野に行きたいねということになり、娘たちの厚意に甘えることにした。コロナ禍前は、三年連続で長野・小布施に行っていたのだ。リピートしているのは、日本一好きなレストランが長野にあるから。
せっかくなら娘たちにも知って欲しい。休みが取れそうなら四人で行かない?と持ちかけ、家族そろって出かけることになった。家族旅行は15年ぶりぐらいじゃないだろうか?娘たちが大学生になってからはバラバラに行動していたので。

長野は初めてな娘たちは、まず定番の善光寺参り。
そして、私たちも初めて行く長野県立美術館へ。
2021年に全面改築されたとのこと。
建築士の娘は、建物自体を見たかったらしい。

広々として、緑と水の調和が美しい美術館

美術館を出たときには夕方四時を回っており、善光寺近くのカフェは軒並みクローズしている。は、早いな・・、観光地なのに。仕方ないので駅まで戻り、駅ビルで一休み。その後、ホテルにチェックインし、レストランへGo!

ウェルカムラウンジでのんびりするのが好きなので、あえて少し早めに着くようにした。相変わらずの落ち着き。いい香り。薄明かりの中、ゆったり待つ。

そろそろ予約時間・・という頃に、大好きなZさんが迎えにきてくださった。初めてのディナーでお世話になって以降、必ず指名しているホールスタッフさん。最上級のおもてなしをしてくださる素晴らしい女性なのだ。懐かしい再会にしばし沸く。そして、ここでとびきりのサプライズ。なんと個室を用意してくださっていたのだ。なんて粋な!本当にびっくり。嬉しくて事態を把握するのに時間がかかったぐらい。

日本建築のよさを余すところなく生かした造り

案内されたお部屋は、「もうここに泊まりたいんですけど!」というぐらい広く落ち着いた空間。古くは加賀百万石のお殿様の常宿として、近代においては伊藤博文、福沢諭吉などにも愛されていたというホテル。食事の前に、もう満足してしまって、「寝てもいいですか?」と言いそうになる。

その個室から続く素晴らしい日本庭園、そして結婚式場を見せていただく。

手入れの行き届いた日本庭園
結婚式場

なんだか全てがキラキラふわふわ輝いていて、既に訪問の目的を果たした気分。まだ食事してないよ!それぐらい初っ端から大感激。

食事はいつもコースではなく、アラカルトで、スタッフのおすすめを参考に、一皿をシェアして頂いているので、今回もそのスタイルで。
Zさんと娘たちが同い年ということがわかり、Zさんに、「誰かいい人いませんか?紹介してください」なんて軽口をたたいたせいか、サーブする際のサポートに見目麗しい若い青年二人を連れてきてくださって、内心ほくほくで目の保養もさせていただいた。いや、ほっんと、可愛くてかっこよくて、性格もめちゃくちゃよさそうだった!(目線がおかしい)

私たち四人はアルコールに弱い上に、お腹も小さいので、ガンガン頼むということができなくて申し訳ない気がしてくる。パスタも一皿を綺麗に四人分にシェアしてくださってありがたい。美味しいものを、少しずつ、できるだけ種類多く頂きたいので、本当に嬉しい。言うまでもなく、何を食べても美味しいのだ。

余は満足じゃ

食事の後は、ふだん利用しているメインダイニングホールに案内して頂いた。個室と聞いて、「メインダイニングも素敵なので後で見せて頂くといいわ」なんて、私が口にしたものだから。すみません、お手間取らせて。

メインダイニング

ところが、それだけでは終わらなかった。ここから始まる館内ツアー。何せ国の登録有形文化財になっている素晴らしい建物なのだ。既に明かりが消えている二階、三階の宴会場まで、全て見せてくださった。なんて素敵、Zさん!
内部は木造建築なので、立派な柱や梁の見事なこと。維持するのは相当大変だろう。建築学科出身の娘たちは目を輝かせて見入っていた。ため息。

見事な梁
照明も階段も素敵

本当に、本当に、心から癒され、優美な時間を過ごすことができた。
こんなにくつろいだのは、夫の手術以降はもちろんのこと、ここ何年も味わっていないかも。

私たちを連れてきてくれた娘たち、ありがとう。心から感謝しています。
そして、いつもいつもZさん、厨房のみなさん、スタッフのみなさん、本当に本当にありがとうございます。

藤屋さんには、足腰が動く限り通いたいし、絶対にそうします。
これほどまでに見事なホスピタリティを提供する藤屋さん、どんな教育をしているのか、ぜひ一度、社員教育に潜入してみたいものです。一流というのは、恐らくこういうことを言うのだろう。

もう四十年も前に、伯父にホテルオークラのメインダイニングに連れて行ってもらったことがあるが、その時にも同じようなもてなしを受けた。あの時のあたたかさは忘れられない。それがいつもある、それが藤屋さん。

また行きます。
つらいとき、悲しいとき、寂しいとき。
そして幸せなとき、嬉しいときも。

つくづくよい旅でした。

追伸
宿泊は毎度ドーミーイン長野。おしゃれなアメニティなどがない代わりに、旅の疲れをさっぱり流すのに最適な大浴場。アイスキャンデー付き。朝は乳酸菌飲料サービスも。珈琲はいつでも飲める。朝食は種類豊富なバイキング。
ぐっすり眠れました。
二日目は小布施へ。私たちはもう四度目だし、夫に疲れが見えたので、竹風堂であんみつを頂きながら休憩。娘たちは散策。
いつものお蕎麦屋さんでお蕎麦を食べ、駅でエリンギと青梅を買い(駅員さんにお代を払うあたりが長野電鉄の好きなところ)早めの新幹線で帰途につく。

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