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『海のはじまり』〜夏ドラのはじまり〜

生方美久さんの連ドラ三作目。
第一作目に続いて、主演は目黒くん。
目黒くんはわかりやすいイケメンだから、朝ドラのツンケンしたエリート彼氏役も上手かったけれど、イケメンなのに弱気な『Silent』の時のような役も上手い。
今回の、とっても優しいのだけど、自分の言葉が出てくるまで時間がかかり、素直で不器用で曖昧で・・という役柄も、よくはまっている。

オープニングは、大学生同士のカップルが意図せず妊娠してしまい、一度は中絶を決意した彼女が、彼氏に黙って姿を消して産んでいたという設定。

あるなあ。ドラマにはありがちだなあ。
よくある筋書きに思えるけれど、そこは生方さん。
セリフの流れも、二人の関係性も、とても自然で、そうなるのもわかると納得してしまう。

彼女役は琴音ちゃん。
琴音ちゃんは、何をやっても、どこにどんなふうに出てきても、例え登場時間が短くても、強烈な印象を残していく女優さん。
琴音ちゃんに、あんなふうに好きになられて、あんなふうに言われたら、No!とは言えないよね。
待ってよ、産んでよ、もう少しで卒業して就職するんだから、一緒に育てようよとは言えなかったよね。夏くん(目黒くん)はそう言いたかったのだろうけれど。
琴音ちゃんの嘘によって、こっぴどくフラれ、その後は彼女を忘れるという選択肢しかなかったのだろう。最後の最後まで彼女の体を慮りつつ。

八年後、琴音ちゃんが亡くなり、葬儀に足を運ぶ夏くん。
そこで琴音ちゃんの娘、海ちゃんと出会う。
海ちゃんは六歳。
年月からして、自分と別れた後にできた子だろうと夏は思う。
けれど、そうではなかった。海ちゃんはもうすぐ七歳。人工妊娠中絶手術の同意書は遺族の手元にあり、彼女は夏に黙って海ちゃんを産んでいた。

そのことがわかる場面に出てくるのが大竹しのぶさん。強烈。

そして、「え?!今半助いなかった?!」と思ったら、本当に池松くんだった。
池松壮亮が琴音ちゃんの元同僚として、そしてどうやら琴音ちゃんに片思いをしていた人として、夏に敵意を抱いて登場する。

そんな夏の現在の彼女は有村架純ちゃん。
キャストを並べただけでもとっても豪華。

『季節のない街』に出ていた私のお気に入り三人衆のうち、一人は『海のはじまり』に、二人は『新宿野戦病院』に出る。
彼らを追うだけでも楽しい夏になりそう。

生方さんの脚本は、また何か心の奥底を揺さぶるような、大切な宝物に気付かせてくれるのだろうか。
期待している。


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