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9カ月で映画を100本みたら、B級映画への扉を開いてしまった話

① なぜ映画を100本みることにしたのか?

昨年の12月のことだった。
2023年はいろいろと吸収する年にしようと思い、「行ったことのない50店を開拓する」とか「ビジネス書を毎月1冊読む」とか決めたなかで、「映画を100本みる」という目標を立てた

昔就活で映像制作の小さな会社に面接に行ったとき、「毎日1本なんでもいいから映画を見なさい」と言われたことを思い出していた。1年で365本まではいかずとも、100本みればなにか自分に変化があるのでは…と期待していた(ちなみにその会社の内定はもらったけれど、結局映像とは無縁の職業で社畜している)。

映画館は好きだ。作品に没頭できる環境、優れた音響設備、大きなスクリーン。同じ映画を何度も観に行くこともある。利用するのはもっぱらシネコンで、ハリウッド超大作!大迫力!みたいなのが好みだ。ちなみに私は30代前半ハリポタ世代であり、映画館には1作品1回とカウントしても平均して年に15~20回通っている。比較的ライトな映画鑑賞者だろう。

だが、今回は目指せ100作品。ネット配信で見ることのできる映画作品も含めることとした。特にU-NEXTには大変お世話になった。ありがとう、U-NEXT。解約しちゃったけどまたいつか契約する、約束だ。


② はじめは友人宅でホラー映画から

それでは昨年12月から今年の8月まで、
9カ月にわたる謎のセレクトをぜひ見てほしい。
全部書くのはしんどいので、ピックアップしてみる。
(ネタバレは極力回避。 あくまでも個人の感想)

1作目~4作目は、ホラー好きな友人宅での映画観賞会だった。
「呪われの橋」(台湾/2020)
「DOLL」(インドネシア/2016)
「みんな死んだ」(ポーランド/2020)
「リトルモンスターズ」(オーストラリア、アメリカ/2019)

タイトルを見ただけで、すでに幸先が不安である。

ちなみに簡単に作品を説明すると
呪われの橋:心霊スポットに行った学生が云々。
DOLL:インドネシア版アナベル(悪霊がとりついた人形)。
みんな死んだ:陽キャな若者たちのクリスマスパーティーが殺戮現場に。
リトルモンスターズ:子供たちの遠足先がゾンビだらけに!歌おう!

当時の私はFilmarksに2~3の評価をつけていたけれど、100本のノルマを果たしたLv.100の私から見れば、呪われの橋は結構ちゃんと話があって手が込んでいたし、DOLLも続編が気になる程度にはほどよくホラーだったし、みんな死んだはあまりにベッドシーンがはっちゃけていて誰にも勧められない上眠くなるけど「なぜそうなった!?」っていう意味では尖ってたし、リトルモンスターズは愉快なゾンビ遠足だったので、なかなか面白いものを見たんじゃないかと思う。

③ 興味本位でB級っぽい作品を選んでみた

そんなスタートを切ってすぐ、X(ツイッター)で見かけた「チェーンソーを持った人間大の日本人形に追いかけまわされる映画」。それが「恐怖人形(日本/2019)」だった。

いかにも中に人が入って撮影してそうな日本人形が殺しに来るので逃げる。それ以上でもそれ以下でもないのだが、これがひとつ、この先の映画セレクトの方向性を決める転機になったように思う。

「恐怖人形」のもつ魅力、それはなんといっても「インパクト」だった。

「チェーンソー持った日本人形に追いかけられる映画を見た」と友人に話すと100%、「なにそれwwwww」という反応が返ってくる。
その言葉に草が生えていようが(死語?)大して面白い話題も持たない一般人Aこと私、場が盛り上がったことにちょっと嬉しい気持ちになってしまった。ちなみにこの作品、絵面が面白いので一見の価値あり。

④ B級怪物パニック映画と遭遇

さて、ミュージカルゾンビ映画(アナと世界の終わり/アメリカ・イギリス/2017)や呪いの箱からモンスター映画(グレムリン2017/アメリカ/2017)を見たあと、映画館に「Dr.コトー診療所(日本)」を見に行ったり「RRR(インド)」でナートゥダンスを踊ったり「レジェンド&バタフライ(日本)」で信長さま強火担の明智光秀に首を傾げたりしながらカウントが30作品を数えるあたりは、「B級じゃないやつ見なきゃ…」という意識が少し働いていたように感じる。

そんななか、夜のちょっとした時間に見てしまったのが「トレーマーズ(アメリカ/1990)」。私は知らなかった、こんな特撮的な怪物映画があったとは…。

でかい怪物「グラボイズ」が砂漠に潜んでいるので逃げるぞ!というパニック映画。王道のハラハラドキドキ。映像も、古き良き、という感じ。

鑑賞後にWikiで調べてみたら、カルト映画として人気を集めてシリーズ化したB級映画、というようなことが書いてあった。これもB級映画なんだーとも思ったし、なにより「シリーズあるんかい!」という衝撃。なんだよ「ライジング」って。絶対に全部見ようと思いながら、それでカウント数を伸ばすのもなあと思ってまだ1作目しか見ていない。

そしてこのとき私は思うのである。

何も考えずにハラハラドキドキして、
ときどきケラケラ笑いながら楽しめる映画は良いな
と…。

⑤ そして出会ってしまったキラーカブトガニ

サメの時代は終わった——カブトガニの時代がきた!!
といういかにもなB級臭(アメリカ/2023)。

意外と評価が高いので気になって見てみたところ、
これがとんでもない「迷作」だった

〇ックスしているカップルは即刻退場、の公式から始まり、それこそ王道のパニック映画が始まるのかと思いきや、次から次へとジェットコースターのようなスピードで作品の色が変わる。「どういうことwwww」のオンパレード。作り手は相当面白がって作っているに違いない。

ひとつだけ言うと、グレムリン(2017じゃない本家本元のほう)を見たことがある人は余計楽しめるはず。私は爆笑した。

これ、今まで周りに是非見てほしいと思って話しても、誰も見てくれない。
この頃から私は「なぜそれを見ようと思ったの?」と周囲に言われるようになる。心外である。

※2023.9.10追記
なんと見てくれた友人がひとり現れた!
最初から最後まで酒片手に飽きずに見てくれたようだ。「これはB級じゃない、Z」と言われた。そうなの?

⑥ 多分タガが外れた

とてつもなくつまらない映画、ということでタイトルだけ記憶していた「死霊の盆踊り(アメリカ/1965)」を見ようと思ったのは、「どんだけつまらないのか見ようじゃないか」という好奇心からだった。

100作品みたなかで、本当に寝おちたのはこの一作だけだった。

1.4倍速にしてもだめだった。学芸会かな?というような墓場のセットで、裸のお姉さま方がひとり、またひとりと入れ替わりで踊っては帰っていく…。その数なんと10人。倍速にしたせいでものすごいスピードでぶるんぶるんと胸が揺れているのに、まったくエロティックな感じがしない。なぜだ。

だが、「死霊の盆踊り」を私は見たのだ、という謎の満足感?を得た。

この頃にはもう、私はB級映画を積極的に見始めていた。
「キラー・ジーンズ(カナダ/2020)」というタイトルを見たときには、これは見なければと思ったくらい、B級の沼に片足を突っ込んでいる

人食いジーンズ? どういうこと?
と思った方はなかなかの絵面なので見てみてほしい。アイデアの勝利。

※2023.9.10追記
⑤の追記を書いていて気づいた。死霊の盆踊りこそZ級…。

⑦ クリストファー・ノーラン作品と…

気づけばスタートから9カ月経っていて、
100作品まで残すところ約20にまで迫っていた、この夏。

酒やつまみ、ポップコーンを買い込み、A4サイズのチラシを作って部屋に飾り、「ひとり映画祭」を開催した。プロジェクターなんてないが、要は気分の問題だ。

ひたすら映画作品を見るぞ、というわけである。

長尺の映画をみようと、クリストファー・ノーラン作品をいくつか、そしてトム・クルーズ作品や「ラーゲリより愛をこめて(日本)」をラインナップ。

B級を見るつもりはなかった。

ただ、時間が微妙に余ったとき、だいたい90分くらいで終わるB級はちょうどよいのである。

特に秀逸だったのが「タッカーとデイル(カナダ/2012)」。冴えないおじさん2人を殺人鬼だと勘違いして攻撃しようとした若者たちが、恐るべき不運の連続で勝手に死んでしまう、大変不謹慎なスプラッタコメディ。88分。

そして「スイス・アーミー・マン(アメリカ/2016)」はハリーポッターシリーズのダニエル・ラドクリフがゾンビ役を務めた作品。めちゃくちゃ便利なゾンビで、無人島に漂着していた主人公のサバイバルを助けてくれる。97分。

そしてついに8/27深夜、私は100作品みるという目標を達成した。100本目は「SCREAM6」だった(Filmarksでは投稿の順番間違えた)。このシリーズいつまで続くの?

⑧ 100作品クリア!で開いてしまった扉

映画を100本見れば、なにかしら自分を肥やすことができると思っていた。

私の場合は、こうだ。
「映画を100本みたら、B級映画沼に足を突っ込んでしまった」。

低予算でつくられる映画の楽しみ方は、人それぞれなのだと思う。
私は考えもしない設定インパクトで魅せてくれるところを面白いと感じる。「どういうことなのwww」とツッコまざるをえないシーンが良い

仕事で疲れた頭でもみられる手軽さ
酒を飲みながらB級映画をみる時間はなかなか良いものに思える。

くだらない、と思われる作品でさえ、魅かれる。
この感情は、収集癖にも近い気がする

たかが100作品。
されど100作品。
年月が経ってから振り返って、「あのときなんかいろいろ見たよなあ」と思える、いい体験だったことは間違いない。

ちなみに新たな門出の101本目は「ザ・デッド・インディア(イギリス/2013)」。ゾンビものはもうネタ切れじゃないかと思うのだが、そんなことはないらしい。アメリカ人とインド人少年のロードムービー×ゾンビ映画だった。





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