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【投機の流儀 セレクション】円安局面の終焉

【投機の流儀 セレクション】円安局面の終焉
円の先高観が強まっている。今の円ドル相場は一国の経常収支とか貿易収支とか金利差などのファンダメンタルな条件ではなく、投機筋の動きに左右されていると思う。海外ヘッジファンドなどの投機筋が円売りの持ち高を解消している動きであろう。日銀の金融緩和の修正後に強まった円高の流れがここで一服し、政策決定会合の前の137円台を大きく上回ったままである。投機筋の動向が前後5~10円幅ぐらいはい左右するであろう。投機筋が本格的な円の買い越しに転ずる分水嶺はどこか、誰もが気になるところであろう。これは2021年春以降に積み上げた円売りの持ち高の平均コストが125円と推定される (JPモルガン証券等)。クリスマス休暇や年末年始が迫り、市場参加者が減る。その市場参加者が少ないタイミングを狙い、その間隙に一部のファンドが円買いを仕掛けて一気に125円を試す可能性はある。先週後半の日本の株式市場は利上げ・円安修正(円高に向かう)を象徴する動きだった。メガバンクが連日高、自動車株の連日安などがそれである。

週末市況における東京電力の動き。政府は22日にグリーントランスフォーメーションの実行会議を開き、脱炭素の実現に向けた基本方針をまとめた。
「GX――→脱炭素実現――→原子力発電の稼働――→東電株上昇」という経緯を本来ならばたどるはずである。そこで週末の日経新聞の一面のトップ記事の見出しが「原発建て替え具体化明記、震災後のエネ政策転換」というものであり、東電株は朝方45円幅上昇したが終値は15円高にシボンで締まった。8900万株の出来高があり、「何も買うものがなく、難しい相場だ」という時に間欠泉のように東電株が上がるということは今までもよくあった。

銀行株は緩和修正に連日にぎわい、三井・三菱は今年度高値を示現した。一方、円安傾向の終焉を見て自動車株の売りが続き、トヨタは1年4ヶ月ぶりの安値を実現した。円高嫌気の売りである。

【今週号の目次】
第1部 当面の市況

(1)市況コメント――週明けは薄商いの中、穏やかに始まろう
(2)一旦ヒビが入った市況は日柄をかけてゆっくり整理するから深押しはないであろう
(3)日銀、異次元緩和を10年目で転換(この項目は、日銀政策変更の翌日「動画」会員の皆様に急遽お送りした手紙を「である調」に直しただけの ものですがご了承ください。)
(4)来春に控えた10年ぶりの日銀総裁人事・副総裁人事に関しての地ならし的な意味を込めた金利操作
(5)円安局面の終焉
(6)日経平均株価は2ヶ月ぶりの安値
(7)過去20年間のアノマリーが突然消えるとは思えない
(8)冬期ボーナス、18年に次ぐ高水準、前年比伸び率では過去最高
第2部 中長期の見方
(1)今年は利上げが株価の重しになってきた。来年は利下げの期待が下支えになるか?
(2)証券大手3社の23年度の業績予想(24年3月期)
(3)来年以降、大きな変化が起こる
(4)来年を悲観的に見なくもよい理由 武者陵司氏「ストラテジーブレティン(320 号)
(5)自民・公明両党はNISAの改良を目指すということを既報で「ママゴトみたいなことだ」と一笑に付したことを撤回する
(6)NISAの大進化について
(7)懸念材料はFRBの動向だけではない。ECBの動向も大いに懸念材料になる
(8)FRB・ECBの意向と市場の受け取り方の間に食い違いはないか?
(9)「FRBと市場、インフレ見通しで溝」
(10)世界一の「世界景気敏感株たる日本株」
(11)異説「FRBは2023年大幅利下げに転ずる」
(12)バイデン政権とFRB
(13)トランプは明白に脱税を認識していた
(14)プーチンの毒殺ラッシュの恐怖
(15)一つの小さな事故、偶発的な出来事が核戦争を招く危険―ORも解決不能
第3部 読者との交信蘭

【プロフィール】
山崎和邦(やまざき・かずくに)
1937年シンガポール生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。野村證券入社後、1974年に同社支店長。退社後、三井ホーム九州支店長に、1990年、常務取締役・兼・三井ホームエンジニアリング社長。2001年、同社を退社し、産業能率大学講師、2004年武蔵野学院大学教授。現在同大学大学院教授、同大学名誉教授。大学院教授は世を忍ぶ仮の姿。実態は現職の投資家。投資歴57年、前半は野村証券で投資家の資金を運用、後半は自己資金で金融資産を構築、晩年は現役投資家で且つ「研究者」として大学院で実用経済学を講義。
趣味は狩猟(長野県下伊那郡で1シーズンに鹿、猪を3~5頭)、ゴルフ(オフィシャルHDCP12)、居合(古流4段、全日本剣道連盟3段)。一番の趣味は何と言っても金融市場で金融資産を増やすこと。
著書『投機学入門』『投資詐欺』(講談社)など多数。
ツイッター https://twitter.com/toukinoryugi

【著書】
『賢者の投資、愚者の投資』
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『投資で勝ち続ける賢者の習慣』
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『投機学入門 不滅の相場常勝哲学』(電子書籍)
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その他、著書多数。以下よりご覧ください。
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