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【投機の流儀 セレクション】敗北宣言の名スピーチと「人間臨終図鑑」

トランプはどうするか。敗北を認めないトランプも来年1月20日になればホワイトハウスを去らねばならない。
それまでにどんな名言を残すだろうか。筆者には興味本位での関心が大いにある。敗北宣言の名演説は筆者にとっては現代史の一つの興味の関心であった。

国論を真っ二つに割った激しい戦いの後では勝者にも敗者にも疲労が残る。その疲労を癒し、二つに割れたものを束ね、団結を促し、前へ進ませるのが見識ある敗北宣言であり、特に大砲を撃ち合い機関銃を撃ち合い小銃を撃ち合った南北戦争の頃から、敗北候補者の敗北宣言は現代史に残ってきた。

有名なのは、南北戦争の寸前リンカーンに負けたダグラス候補だった。「南北軍のいずれが正しいかは別として、党派的な感情は愛国心に屈するべきだ。私はリンカーンについて行く」と。
筆者の記憶にあるのは2000年のジュニア・ブッシュに負けたゴアだった。彼は″見てくれ“も格好良かったしインテリであった。彼はリンカーンの真似をしたのか、こう言った。「私は裁判所の言い分は納得しないがその決定には従う。アメリカ国民の団結のためと民主主義のために身を退く」、こう言った。
2008年オバマに負けたマケイン氏はこう言った。「我々は真っ二つに別れて戦ったが、何よりも我々は米国人だ。これ以上の意味を持つ仲間は他にない」と。
4年前トランプに負けたヒラリー・クリントンは「正しいことのために戦うのは価値のあることだと信ずるのはやめないで欲しい」と格好をつけたが、一言余計なことを言った。「私たちは壁を作るのではなく橋を架けるのです」と。これは、トランプ対クリントンの二つに割れたものを団結させようという意図だったのかもしれないが、この文言の前半の「壁を作るのではなく」というところはトランプのメキシコとの国境の壁を揶揄している、とだれにも聞こえる。その辺がヒラリー・クリントンの限界だろう。

さて、トランプは1月20日までにどういう言葉を残して去るだろうか。
筆者は人の最後の言葉に意外な個人的好奇心を持っている。ちなみに「人間臨終図巻」という本がある。上下とも500ページを超す大部のものであり、医師で作家でもあった山田風太郎が古今東西の著名人の最期の言葉を集めたものであるが、非常に面白い(山田風太郎著、株式会社徳間書店、初版は2001年刊)。  一巻二巻とあり500ページを超える大部であるが、シーザーから始まって今日に至るまで有名人何百人かの最期の言葉が集められている。こういうものに関心を持つ筆者は大統領の最期の言葉に関心がある。

【今週号の目次】
第1部 当面の市況
はじめに
(1)先週の市況
(2)海外資金、日本株に流入。海外勢の買い越しに国内個人のウリ
(3)「金利高=株安」が普通だったが今は「金利高で株高」が起きている
(4)先週(木)まで日経平均8日連騰、2550円高
(5)予想EPS(一株当たり純利益)の回復の展望
(6)一方、マザーズ市場は低迷した
(7)「二日新甫は荒れる」か
(8)国内機関投資家の動向
(9)米財政悪化→ドル安円高、円高でも株高という不思議
(10)トルコリラ急反発
第2部 中長期の見方
(1)景気回復を買った相場
(2)8日連騰はバイデンを買ったものではない。菅総理を買ったものでもない。過剰流動性を背景として景気の早期回復を先取りしたと見るしかない―(Ⅰ)
(3)再び、大統領選後の意外な株高の原因は、市場の関心は大統領よりも景気そのものにあった―(Ⅱ)
(4)三たび、株式市場はコロナでもなく大統領でもなく景気循環を見ていた―(Ⅲ)
そうなると「超金融相場」は幕を引き「業績回復先取り相場」となる。
(5)静かに動き出したバイデン政権だが・・・・
(6)バイデンの難路は逆境を越えて行くか
(7)売買代金4兆円超を示現したが、 菅政権の姿では海外資金を日本株に惹きつける力は薄い
(8)「市場は個々の現象が独立したものではなく過去を記憶して動く」と何度も述べたがその真意は・・・
(9)中長期の見方からすれば、物色傾向が成長株一辺倒でなくなって大幅出遅れた外需株・内需株に移行する可能性があるか?
(10)EU主要国は二番底懸念、ラガルドECB総裁は「準備はできている」
(11)日経平均の上値の節目はどこに置くか
(12)「晴れた日にはGMが見える」(ジョン・デロリアン著)を真似た木野内栄治氏が「晴れた日には3万8,000円が見える」と今また言い出せば何事にも明るい強うことが好きな日本の投資家には好感されるだろう
(13)菅総理の持つ不安材料
(14)菅首相の限界は意外に低いところにあるような気がする(★註;第4部と併せ読まれたい)
(15)大統領選後の米株予想
第3部 敗北宣言の名スピーチと「人間臨終図鑑」
第4部 筆者の友人でリベラル傾向のジャーナリスト嶌信彦(★註)の学術会議への人事介入問題――ここが菅政権の限界か(第2部の14項と併せ読まれたい)

【プロフィール】
山崎和邦(やまざき・かずくに)
1937年シンガポール生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。野村證券入社後、1974年に同社支店長。退社後、三井ホーム九州支店長に、1990年、常務取締役・兼・三井ホームエンジニアリング社長。2001年、同社を退社し、産業能率大学講師、2004年武蔵野学院大学教授。現在同大学大学院教授、同大学名誉教授。大学院教授は世を忍ぶ仮の姿。実態は現職の投資家。投資歴57年、前半は野村証券で投資家の資金を運用、後半は自己資金で金融資産を構築、晩年は現役投資家で且つ「研究者」として大学院で実用経済学を講義。
趣味は狩猟(長野県下伊那郡で1シーズンに鹿、猪を3~5頭)、ゴルフ(オフィシャルHDCP12)、居合(古流4段、全日本剣道連盟3段)。一番の趣味は何と言っても金融市場で金融資産を増やすこと。
著書『投機学入門』『投資詐欺』(講談社)など多数。
ツイッター https://twitter.com/toukinoryugi

【著書】
『賢者の投資、愚者の投資』
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『投資で勝ち続ける賢者の習慣』
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『投機学入門 不滅の相場常勝哲学』(電子書籍)
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その他、著書多数。以下よりご覧ください。
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