見出し画像

【投機の流儀 セレクション】グローバリズムを賛美してきた筋の過ちが今になって出てきた

コロナウイルスが今回のように全世界に普及すればある一国だけが回復しても一旦グローバリズムが広がった世界経済があるから(中国のような国家とさえも言えないような独裁王朝でさえもグローバリズムの仲間に入っている)経済は元の水準には簡単には戻らない。全世界が元の水準に戻るには相当な時間を要するであろう。

グローバリズムを賛美ばかりしてきた筋の過ちが今になって出てきた。筆者が以前から言っているように、グローバリズムとは帝国主義に替わって出てきたものであって必ずしも賛美すべきものばかりではない。
モノやコトの交流が経済的拡大に都合がいいから賛美してきのだ。この事物の国際交流は事物以外の観念の世界にまで影響を及ぼす。曰く、「多様性の受容」、「他者理解」等々である。
前者は、鷹揚ぶって「受容」してばかりいて「反発」すべきことを忘れる。後者は、カッコつけている間に自己喪失に陥りアイデンティティ喪失の自虐歴史観に陥ったり(★註)、「他者理解」より先に「己自身を知れ」という古人の教えを忘れる。グローバリズムの生む事物の世界は必ずしも良いとばかりではない。今回は事物の中の「ウイルス」という「目に見えない『モノ』でグローバル化した例」だ。中国の政策の大過誤は「コト」のグローバル化が世界経済をシュリンクさせた例だ。
(★註)筆者が本店営業部で5年務めた後、紀州和歌山支店に「いざなぎ景気」の5年間を生きた、そのころ、紀州弁で「イイカッコしたがる奴」のことを「A(C)」(ええカッコしい)と揶揄した。

安倍総理はオリンピック開催にこだわって対応が遅れた。その後は経済を心配するあまり緊急事態宣言を避けようとして対応が遅れた。修羅場を踏んだことのない総理が未曾有の事態に対して過誤を犯すのはあり得ることだ。周辺の賢人が輔弼の義務を怠っていたからでもある。「コト」を間違えた。


【今週号の目次】
第1部 当面の市況
(1)実勢悪の表面化を見据えて米中関係の好転悪化を睨みながら、戻りを試
す展開
(2)V字型回復は描けないが今から直ちの大幅安も描きにくい
(3)景気の暗転ぶりを再確認するとともに経済活動の段階的再開に期待
第2部 中長期の見方
(1)ポスト・コロナの世界は変わる
(2)コロナ不況について
(3)"Be fearful when others are greedy, and greedy when others are fearful." -Warren Buffett
(4)不動産の2022年問題
第3部 コロナ不況はいつまで続くか
(1)コロナ不況はいつまで続くか――Ⅰ
(2)コロナ不況はいつまで続くか――Ⅱ
(3)コロナ禍は何ヶ月か何年か判らないがいずれは終息する。但し、その後は世界は劇的に変わる
(4)グローバリズムを賛美してきた筋の過ちが今になって出てきた
(5)トルコリラ、一昨年8月以来の安値
第4部 国際的に責任ある大過誤を犯した中国は「戦争犯
罪人」か「英雄待望論」か
(1)「コロナウイルスのパンデミックは中国陰謀説」
(2)中国を非難している場合ではない
(3)米中問題
(4)中国はコロナ禍は既に脱し経済指標は早くも回復に向かっている??
(5)中国復調の実態を考える
(6)「英雄待望論」
(7)米中摩擦再燃すれば中国救世主説も影をひそめる
(8)中国は本当に世界の救世主になるか
(9)絶対主義王朝の中国の官製資本主義経済は衰退に向かうか
第5部 市場に処するにあたって
(1)「人が株式市場でやってきた行為を振り返ってみると信じようと信じまいと、そこにその人の性格が現れる」。
(2)市場での「考え方」はどのようなプロセスで生まれるか
(3)憧れないほうが良いと思う機械取引


【プロフィール】
山崎和邦(やまざき・かずくに)
1937年シンガポール生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。野村證券入社後、1974年に同社支店長。退社後、三井ホーム九州支店長に、1990年、常務取締役・兼・三井ホームエンジニアリング社長。2001年、同社を退社し、産業能率大学講師、2004年武蔵野学院大学教授。現在同大学大学院教授、同大学名誉教授。大学院教授は世を忍ぶ仮の姿。実態は現職の投資家。投資歴57年、前半は野村証券で投資家の資金を運用、後半は自己資金で金融資産を構築、晩年は現役投資家で且つ「研究者」として大学院で実用経済学を講義。
趣味は狩猟(長野県下伊那郡で1シーズンに鹿、猪を3~5頭)、ゴルフ(オフィシャルHDCP12)、居合(古流4段、全日本剣道連盟3段)。一番の趣味は何と言っても金融市場で金融資産を増やすこと。
著書『投機学入門』『投資詐欺』(講談社)など多数。

ツイッター https://twitter.com/toukinoryugi

【著書】
『賢者の投資、愚者の投資』
https://amzn.to/2AebYBH
『投資で勝ち続ける賢者の習慣』
https://amzn.to/2vd0oB4
『投機学入門 不滅の相場常勝哲学』(電子書籍)
https://amzn.to/2AeQ7tP
『会社員から大学教授に転身する方法』(電子書籍)
https://amzn.to/2vbXpZm
その他、著書多数。以下よりご覧ください。
https://amzn.to/2va3A0d

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?