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【投機の流儀 セレクション】原油暴落は世界経済にとってプラスになる面もある

筆者は、原油安は日本経済にとってトクだという教条主義者ではないつもりだが、算数で考えれば、原油価格低下はネットで世界経済全体にはプラスになる面が極めて多い。
30ドル以下の原油価格が年末まで続くとすれば、米国の家計でガソリン代が千億単位で浮くはずである。米国は家計がGDPの70%を占める。日本もGDPの60%を家計が占める。日本の家計も原油安で相当にトクするはずである。これはGDPの0.5%押し上げる追加収入となる。3月9日の原油の最大下落率は31%だった。これは世界経済を後退に導くコロナショックと同等の危機ではある。だが微細に見れば前述のようなことが言えるはずである。
原油相場の暴落はコロナウイルスの問題に隠れて騒ぎにならなかったけれども、下げ止まらない原油相場はシュール革命後の最大の米経済の問題だ。
これは世界一の産油国である米国経済に深い悪影響を与え、世界景気の縮小に大いに影響を与える。コロナウイルスほどではないにしても、この原油暴落はこれの意味でNYダウも日経平均も少なくとも10%安ぐらいはあり得る騒ぎだった。今は全く隠れてしまったが、この問題がコロナウイルスと同時に起こっていることを忘れてはならないであろう。

【今週号の目次】
第1部 当面の市況と「二番底」(あるいは「大底」)を探る
(1)令和2年1月~3月
(2)チャートが語る1~3月の激動相場、アベノミクス全体から見れば
(3)激動の3月相場が終わり新年度入りして相場付きは一変した
(4)「大底は早く来る」はご用心
(5)リーマンショックとコロナウイルス禍の暴落
(6)下値支持線を敢えて探る――長期移動平均と超長期移動平均を以て
(7)日銀のETF買いの簿価はいくらか、「死守ライン」はどこか
第2部 最近の市場で起きていること
(1)短期的ながら投資テーマが出現
(2)無機質で機械的な動きだと本稿では嫌っていた最近の相場を、逆手にとって利益を上げて
いるファンドがある
(3)NY株価の見方:キャピタル・パートナーズ証券・城宝氏からの便りを転載
第3部 海外の諸相
(1)米、27日、戦後最大規模、GDPの1割相当分、2兆ドルの経済対策法案が成立
(2)先週のNYの三つの焦点、世界市場の3つの焦点
(3)Volatility Index(変動率指数)、別名「恐怖指数」(通称VIX)が語るもの
(4)欧州事情
(5)原油市場の未曾有の試練
(6)トランプ再選について
(7)原油暴落は世界経済にとってプラスになる面もある
(8)米中の勝負とEU対英国
(9)中長期の見方:世界経済全体を揺るがせている「コロナ経済危機」の下での各国各様の様相
(10)中長期の見方:「2つの問題」は自動的に解答が出たがその深さについて
第4部 読者との交信欄
(1)京都のI様との交信
(2)先々回の質問者との交信(4月2日)
(3)ゼミ友からのメール(4月2日)


【プロフィール】
山崎和邦(やまざき・かずくに)
1937年シンガポール生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。野村證券入社後、1974年に同社支店長。退社後、三井ホーム九州支店長に、1990年、常務取締役・兼・三井ホームエンジニアリング社長。2001年、同社を退社し、産業能率大学講師、2004年武蔵野学院大学教授。現在同大学大学院教授、同大学名誉教授。大学院教授は世を忍ぶ仮の姿。実態は現職の投資家。投資歴57年、前半は野村証券で投資家の資金を運用、後半は自己資金で金融資産を構築、晩年は現役投資家で且つ「研究者」として大学院で実用経済学を講義。
趣味は狩猟(長野県下伊那郡で1シーズンに鹿、猪を3~5頭)、ゴルフ(オフィシャルHDCP12)、居合(古流4段、全日本剣道連盟3段)。一番の趣味は何と言っても金融市場で金融資産を増やすこと。
著書『投機学入門』『投資詐欺』(講談社)など多数。

ツイッター https://twitter.com/toukinoryugi

【著書】
『賢者の投資、愚者の投資』
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