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【投機の流儀 セレクション】同じ型のバブルは二度とない

現在がカネ余り相場であることは間違いない。コロナ禍による経済破壊を防ぐために政府が意図的に出した過剰流動性相場である。したがって、意図されたバブル、合理的バブルなどという言葉もある。ただ、平成初年のバブルと違ってカネ余りは株式市場に集中していることだ。平成のバブルは125万円で募集したゴルフ会員権が4~5年先には6000万円で売買されたり(6千万円で募集しているというのではなく仲介業者が売買した。筆者も125万円で買った三井の森・蓼科ゴルフ倶楽部の妻の名義の分は4650万円で売った。自分の分は持続中で毎夏使っている。今は100万円ぐらいか?)、例えばそのようなことが今はない。「億カン」と言われて首都圏周辺のゴルフ場は1億円以上の売買仲介が実際に行われていた場所が筆者が知っているだけで32ヶ所あった。筆者が常用しているホームコースの多摩カントリーゴルフ倶楽部(自宅から11㎞・25分)などは周りが高層マンションに囲まれているがこれも「億カン」の仲間だった。今は仲介売買値段は200~300万円か400~500万円であろう。売る気はないから関心はないが。当時のバブルは絵画にも行った。絵画に興味がない人間が投資のために千万、二千万で絵画を買った。あるいは別荘地を買った。北海道に行く気もない人が見ないで買った。そして一回も見たことがないうちに2倍で転売したりした。不見転(みずてん)売買と言われたものだ。そのようなことは今はない。平成バブル時代は夜中でもタクシーが捕まらなかった。今はそんなことはない。その分が全部株式市場に向っている。需給に勝る材料は無い。但し、バブルはガルブレイスの定義(★註)によれば頭脳の正常な判断を喪失する陶酔的熱病)ということになっている。(★註)「バブルの物語」(ジョン・ケネス・ガルブレイス著、鈴木哲太郎訳、ダイヤモンド社、1991年初版発行、原題”A Short History of Financial Euphoria ; Financial Genius is Before the Fall”)
17世紀末に起こった南海泡沫事件(South Sea Bubble)では2万ポンド(今の金額で言えばたいした金額ではないが、当時造幣局長官だったニュートンの生涯年収に相当する金額)を大損した。そして「天体の行方は計算できるが株価の行方は計算できなかった」という有名な文句が残っている。所謂「空箱上場」の話しだった。その話は本稿でも述べた。再度言う。同じ形のバブルは二度とない。チューリップバブルも1637年に天井を突いてから二度となかった。日本の大正時代の「ウサギバブル」も二度とない。日本で起こったゴルフ会員権バブル、絵画バブルも二度とない。同じバブルは二度とない。株式市場のバブル相場はどういう形で幕を引くかは誰にも判らない。

【今週号の目次】
第1部 当面の市況
(1)結局は三角保合、レンジ相場の圏内。しかし25日線を割って終えた先週末であり、騰落レシオも80%台、週明けは落ち着いて始まろうが深押しはない
(2)先週は激動の1週間の割には三角保合を上にも下にも脱せなかった、そして、日銀の「目立たない出口戦略」を試す市況だった
(3)当面の市況は緊急事態宣言催促相場-日曜日から3回目開始で悪材料出尽くし感=三越、空輸株上昇
(4)当面は三角保合の延長、しかし、こういう時の過ごし方が大事だ
(5)4ヶ月前に立てた見通しが最も的中している人の意見を要約する
第2部 中長期の見方
(1)既に日本株は割高と言う説と割高ではないという説、両方とも尤もだ
(2)長期予測を一貫して的中させてきた5人を挙げる。①元・野村総研高尾義一、②野村総研リチャード・クー、③元・京大助教授、元・野村證券、元・早大教授植草一秀、④元・ドイツ証券会長武者陵司、⑤経営学者・P.F.ドラッガー
(3)同じ型のバブルは二度とない
(4)明確に予知できる将来リスク
(5)コロナ禍の大反騰相場の第1ラウンドは終わった
(6)日米首脳会談は台湾有事を想定した歴史的な分岐点になった
(7)中長期の見方:中国内で起こっている二つの問題
(8)また「水を差すようなこと」を言うが……
(9)日米両首脳は実は中国の威圧に対する牽制
(10)中長期の見方:本稿の基本スタンスであるグロスの面から見る
(11)4度目のピークはもう一段高はあるだろうが、それがコロナ相場の大天井となる可能性がある
第3部 東芝と東電について
(1)東芝について:創業145年、日本の製造業を代表してきた東芝が大揺れ、車谷社長の電撃辞任(実は内部で解任されたのだと思う)
(2)日米首脳会談で注目すべき、もう一つのこと=脱炭素問題が浮上=東電柏崎はどうなる


【プロフィール】
山崎和邦(やまざき・かずくに)
1937年シンガポール生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。野村證券入社後、1974年に同社支店長。退社後、三井ホーム九州支店長に、1990年、常務取締役・兼・三井ホームエンジニアリング社長。2001年、同社を退社し、産業能率大学講師、2004年武蔵野学院大学教授。現在同大学大学院教授、同大学名誉教授。大学院教授は世を忍ぶ仮の姿。実態は現職の投資家。投資歴57年、前半は野村証券で投資家の資金を運用、後半は自己資金で金融資産を構築、晩年は現役投資家で且つ「研究者」として大学院で実用経済学を講義。
趣味は狩猟(長野県下伊那郡で1シーズンに鹿、猪を3~5頭)、ゴルフ(オフィシャルHDCP12)、居合(古流4段、全日本剣道連盟3段)。一番の趣味は何と言っても金融市場で金融資産を増やすこと。
著書『投機学入門』『投資詐欺』(講談社)など多数。
ツイッター https://twitter.com/toukinoryugi

【著書】
『賢者の投資、愚者の投資』
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『投資で勝ち続ける賢者の習慣』
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『投機学入門 不滅の相場常勝哲学』(電子書籍)
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『会社員から大学教授に転身する方法』(電子書籍)
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その他、著書多数。以下よりご覧ください。
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