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【投機の流儀】「この道しかない」――安倍首相のフレーズの危険性

【今週号の目次】
(1)今が一番大切な時だ。そこで読者諸賢に呼びかけたい
 ・この期間の過ごし方が一番大切であり将来を決める
(2)短期相場の小掬いも結構なことではあるが、これは絶対に本義ではないし没頭すべきものでもないということを読者諸賢に呼び掛けたい
(3)当面の市況1:相場上振れに備えコール取引が活況を呈した。相場の上振れに備える動きが広がってきている
(4)当面の市況2:個人投資家が中小型株にシフト
(5)当面の市況3:老年期相場終盤特有の乱調子と膠着状態
(6)「緩やかに縮む」
(7)“Sell in May.”と言うが……
(8)機械が動かす相場と業績を巡る強弱感
(9)部門別トップアナリストの19年の相場の見方
(10)今後の市場の根っこにあるものの一つ、米中貿易協議
(11)平成から令和への代替わり
(12)景気は警戒域に迫っている
(13)中国関連株に短期資金流入
(14)ドイツ銀行株に妙味はあるか
(15)小型ながらトルコショックの再来
(16)基軸通貨米ドルの地位
(17)正統的な経済学のモデルの中には金融システムが入っていないという問題
(18)消費税について考えること
(19)一見30数年間も上昇持続しているNYダウは、ダウ平均の構成銘柄を入れ替えることによって行われてきた
(20)「この道しかない」――安倍首相のフレーズの危険性
(21)佐賀県のHさんとの「景気動向指数」についての交信(4月6日)
蛇足――「世界に悲観の資本主義はない」「厭世家の投資家はいない」

(1)今が一番大切な時だ。そこで読者諸賢に呼びかけたい

大変僭越な言い方になるがご容赦頂いて箇条書きで列挙する。
①老年期相場終盤の中間反騰でウカツに手を出して塩漬け株のもとをつくるような行動をとるなかれ(実は、これに陥った読者が少なくないようである)。
②さりとて凝固してしまって市場から遠ざかって目を閉ざすことは、来るべき大好機としての大底を見失う恐れがある。
③一足一刀の間境(まざかい)をもって市場を観察して過ごされたい。
④時には短期投機の好機に乗ってみるのも市場と離れないようにするためには
大変良いと思うが、稼働資金の10分の1くらいにとどめたい。
⑤その場合は当初の思惑に反するようなら(★註)即刻処分すべきである。
⑥株式市場で資産を構築するには、面白く楽しい期間は2割くらいしかなく、あとの8割は昨今のようにツマラナイ相場つきである。
この期間の過ごし方が一番大切であり将来を決める。
⑦銘柄によっては現在既に「大底圏内」にあるので少しずつ買い始めても良い段階に来ているものもある。例えば、日本製鉄の1,900円台、またはスルガ銀行の400円がらみ等であろう。
全銘柄が一斉に大底を付けるとは限らない。むしろ銘柄別に順次大底圏内を付けるという大底形成の形もある。例えば、当時は戦後最長だった「いざなぎ景気」が次の大相場たる「過剰流動性相場・列島改造相場」の始動点となった大底は銘柄別に順次大底を付けて、後で気が付いてみたら既に3割ぐらいは上がっていて「あそこが大底だった」と気が付く、そういう大底の付け方であった。そうなると「安値覚え」があるからもはや買えない。このようにして大底を取り逃がす。老年期相場終盤で仕損じた投資家は「羹(あつもの)に懲りてナマスを吹く」ということになる。一昨年のノーベル経済学賞受賞者のリチャード・セーラーの言う「近視眼的損失回避行動」である。

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