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【投機の流儀 セレクション】衰退する日本(続き)

本稿の2月12号の第2部(12)で、この30年間の日本の衰退の諸現象として8項目ほど挙げた。それに対して、少々補足したい。その8番に博士論文の本数、この30年間で激減と述べたが、BIS(ビジネスインテリジェンス研究会)の第180回発表会のBIS会長の話しによれば、論文数の首位は5年間連続で中国科学院であり、日本は11位にも入っていないという。
また、スイスの国際開発研究所IMDの国際競争ランキングによれば、日本は1989年〜92年までの3年間(バブル頂上と下落当初)の国際競争は世界第1位だった。しかし、2020年には34位に下落。

デジタル技術では63ヶ国のうちの下から二番目の62位という状態だ。経済力を計る物差しは一年間にその国が産んだ付加価値の合計で計るのが常識であり、これが所謂GDPであるが、このGDPを購買力平価ベースで見ると次のようになる。
これは米CIAのWorld FACTBOOKによれば、1.中国25.3兆ドル、2.米国19.3兆ドル、3.インド9.4兆ドル、4.日本5.4兆ドル、5.ドイツ4.1兆ドル、6.ロシア4.0兆ドル、7.インドネシア3.2兆ドル、8.ブラジル3.2兆ドル、9.英国2.9兆ドル、10.フランス2.8兆ドルとなり、以下、メキシコ、イタリア、トルコ、韓国ともに2.0兆ドルである。

購買力平価ベースをドルで計れば中国が米国を抜いており、世界1位となる。インドも日本の2倍近い差をつけて、米国に次いで3位である。但し、これはドル高の最中に付けたドルで計ったものであり、日本経済研究センターの長期的な見通しによれば、中国がアメリカを抜くことはこの20年間はあり得ない話しである。

【今週号の目次】
第1部 当面の市況

(1)市況コメント─日本市場は依然、ボックス相場形成の続き
(2)決算発表一巡
(3)銘記しておきたいのは、2020年1月に極めてVIXが低かったということだ
(4)円下落して、133円台まであった
(5)週末は再び米長期金利の上昇を嫌気して、グロース株中心に売りが出た
(6)東証プライム市場の予想PER
(7)低PBR銘柄に焦点
(8)日本の株式市場に多少の変化
(9)「円安=株高」の図式は生きている
(10)市場が調子に乗らないように、釘を刺したFRB
第2部 中長期の見方
(1)黒田日銀総裁の総括
(2)4月からの植田総裁で日銀の進路はどうなるのか?
(3)中国発の気球が問題になっている。今、中国とアメリカの目に見える軍事力を比べればこうなる
(4)衰退する日本(続き)
(5)日本の輸出順位と国際同盟の本質
(6)「帰ってきた債券投資」「株より債券」の声
(7)日銀のマイナス金利解除で住宅ローンは上るか?
(8)日本国の経常収支、高齢化の影響はこれから出る
(9)ゴールドマンサックス、市況悪化を見越してM&Aの人員減
(10)上場企業の経営者、先行き警戒
(11)農林水産物の輸出額過去最高
(12)失われた30年の根底を作った物(2月11日セミナーで述べた)
第3部 この30年間の日本衰退の諸現象の国内要因
第4部 読者との交信蘭

(1)セミナー参加の読者様との交信(2月13日)
(2)昔からの読者の公務員T様との交信(2月17日)

【プロフィール】
山崎和邦(やまざき・かずくに)
1937年シンガポール生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。野村證券入社後、1974年に同社支店長。退社後、三井ホーム九州支店長に、1990年、常務取締役・兼・三井ホームエンジニアリング社長。2001年、同社を退社し、産業能率大学講師、2004年武蔵野学院大学教授。現在同大学大学院教授、同大学名誉教授。大学院教授は世を忍ぶ仮の姿。実態は現職の投資家。投資歴57年、前半は野村証券で投資家の資金を運用、後半は自己資金で金融資産を構築、晩年は現役投資家で且つ「研究者」として大学院で実用経済学を講義。
趣味は狩猟(長野県下伊那郡で1シーズンに鹿、猪を3~5頭)、ゴルフ(オフィシャルHDCP12)、居合(古流4段、全日本剣道連盟3段)。一番の趣味は何と言っても金融市場で金融資産を増やすこと。
著書『投機学入門』『投資詐欺』(講談社)など多数。
ツイッター https://twitter.com/toukinoryugi

【著書】
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