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【投機の流儀 セレクション】都知事選に思う、民主主義の限界

東京都知事選が20日に告示を迎えて、7月7日の投開票となる。金融市場に関係ないことではない。日本の首都東京の1000万人を超す票田のレベルが大いに疑われる。今まで都知事選を制してきたのはメディアを通じて、全国的に著名だった人ということになる。したがって、政策能力やその実行力やリーダーシップは全く無視されて、メディアを通じて顔と名前を認識された者が勝つ。世界的な大都市東京がそういうことで都知事を決めるという情けないことになっているので、選ばれる者も歴代ロクな者はいなかった。

1950年に公職選挙法ができた時には東京都の人口は鳥取県の10倍だったが、今は25倍になっている。世界的な大都市、しかも経済大国の首都、この東京都の都知事が国政も担当し、大臣も務めたのは石原慎太郎と舛添要一のみ、あとはタレントとして名をはせた青島幸男、メディアを通してメジャーになった猪瀬直樹、目立ちたがり屋の小池百合子、国会でのヒステリックな質問や発言でマイナスのイメージを与えて知名度として利用する蓮舫である。

そして、直近5人のうちの猪瀬直樹と舛添要一は噴飯ものの不祥事件。都知事として都民のためになるような公約を掲げたのは石原慎太郎(横田基地民営化、都心に近い米国専用ゴルフコースを都民に自由に使わせろ、東京都本社の都銀から「みなし課税」徴収など)を矢継ぎ早に出した。都銀の見なし課税など実現はしなかったが、判りやすい公約を掲げた。何もしなかった青島の後だったから、政策は言い出しやすかったと思う。

小池百合子は目立ちたがり屋で権力者にすり寄ることが上手い、それだけのことで都政を担当するのだから小池百合子も蓮舫も期待する方が間違っている。つまりは東京都の票田の知的レベルより上の都知事は出ないのだ。我々は、2500年前にプラトンが「政治学」で述べた通りの民主主義の限界を東京都知事選という身近な事例で悟るだろう。
さりとて、民主主義に替る制度はないから、プラトンの言った通り「民主主義は『次善の策』」なのだ。これを橋下徹元大阪知事は「いま、大切なことは独裁です」と叫んで目立ちたがり屋の本領を発揮したが、同じ「目立ちたがり屋」でも橋下の方が数段上だった。小池百合子とはタマが違う。

【今週号の目次】
第1部;当面の市況
(1)機関投資家の保有割合が1年ぶりの低水準
(2)自社株買いの進行
(3)配当金総額が過去最高で、前期比8%増の約18兆円、4年連続の最高を更新
(4)個人投資家も大型株人気が顕著
(5)海外勢、日本株を4週連続で売り越し
(6)日銀総裁は3代続いて、最も難しい局面での名総裁を得た。
(7)株主総会シーズンに臨んで
(8)全般的には、日本株は遅れている。
(9)新NISAで買い付けが最も多かったNTT株、5週間連続で信用買い残が増加して、3億株に達した。
(10)順調に日柄整理が進んでいる。
(11)都知事選に思う、民主主義の限界
(12)「厚化粧のブタ」と「騒々しいカマキリ」との決闘はいかに
(13)東京都知事選は株式市場に直接には関係ないことだという思いもあろうが、そういうものではない。

第2部;中長期の見方
(1)米中対立と円安に対する大旋回
(2)「地殻変動の兆し」
(3)デジタル化や人材に投資できること自体が強い企業と受け止められ、投資家の資金を吸いつけるようになるだろう。
(4)FRB、2024年代の利下げ回数の想定は1回
(5)トランプの有罪を有権者はどう見るか?
(6)大統領選の後が見ものだ。
(7)「官僚たちの冬」
(8)「武者リサーチ」6月2日号、「もしトラ」の考察─武者陵司氏は「失われた20年」(1993年〜2003年)の期間は一貫した弱気を説き、2011年3月の大震災と原発事故の寸前に超強気に「転向」し、一貫して強気を説き、日米密月時代での株高を説き、2022年に4万円を主張した人だから筆者は注視してきた。

【プロフィール】
山崎和邦(やまざき・かずくに)
1937年シンガポール生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。野村證券入社後、1974年に同社支店長。退社後、三井ホーム九州支店長に、1990年、常務取締役・兼・三井ホームエンジニアリング社長。2001年、同社を退社し、産業能率大学講師、2004年武蔵野学院大学教授。現在同大学大学院教授、同大学名誉教授。大学院教授は世を忍ぶ仮の姿。実態は現職の投資家。投資歴57年、前半は野村証券で投資家の資金を運用、後半は自己資金で金融資産を構築、晩年は現役投資家で且つ「研究者」として大学院で実用経済学を講義。
趣味は狩猟(長野県下伊那郡で1シーズンに鹿、猪を3~5頭)、ゴルフ(オフィシャルHDCP12)、居合(古流4段、全日本剣道連盟3段)。一番の趣味は何と言っても金融市場で金融資産を増やすこと。
著書『投機学入門』『投資詐欺』(講談社)など多数。
ツイッター https://twitter.com/toukinoryugi

【著書】
『賢者の投資、愚者の投資』
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『投資で勝ち続ける賢者の習慣』
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『投機学入門 不滅の相場常勝哲学』(電子書籍)
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『会社員から大学教授に転身する方法』(電子書籍)
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その他、著書多数。以下よりご覧ください。
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