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【投機の流儀 セレクション】ユダヤ人さえ恐れさせたフェニキア商人の末裔たるゴーン氏は、カルタゴ戦争から2000年以上を経て少々ボケたか?

ゴーン氏が日本の検察行政や裁判の在り方を理論立てて批判すれば、先進諸国と大違いの「日本の検察と司法の特殊性」が先進国から注目を浴びて議論の対象になる契機になろうかと筆者は期待していたが、ゴーン氏の言動については拍子抜けした。

起訴されれば99%以上は有罪だというゴーン氏の言い分は,言い換えれば、有罪の確実性のあるものでなければ起訴はしないという日本の検察の手堅さでもあると言えよう。現に、小沢一郎氏の場合、秘書2人を逮捕し取り調べ、本人の自宅も事務所も家宅捜査したが起訴はしなかった。これを検察審査会の民間人たちが不審として強制起訴したが結果は無罪だった。因みに、民間人の検察審査会で強制起訴された事件は9件中の6件は無罪だった。「この制度は国営リンチだ」と何年も前から本稿で述べた。

一方、日本の、取り調べ方法の野蛮性と司法の欠陥は大いにあることは確かである。これについては筆者の大学時代のゼミの友人たちとのメール交信の一部を紹介して私見の一端を述べるに替えようと思う。

カルロス・ゴーン氏にはガッカリ
次に掲載するのは筆者とゼミの友人たちとのメール交信である。

筆者より
ゴーン氏の記者会見にはがっかりしました。日本の野蛮な検察行政の批判にも全くなってない。日産内部の内輪もめの話ばかりでしたね。そんなことは日産内部でやってくれ、と言いたかったです。古代の世界貿易を支配しユダヤ人をも恐れさせたというたフェニキュア商人の末裔も2千年後にはボケるのかな、と思いました。『24時間拘留、10日拘留のルール』は良いとしても、①日本だけは、取り調べの際に弁護士を同席できないこと、言葉は穏やかながら脅迫に近いことを連発する検事、迂闊に迎合して書かせられた検面調書(検事面前調書)の証拠性、②拷問に等しい拘留条件、③刑罰も決まってないのに刑罰に等しい長期間拘留の事実、④彼ゴーン氏は未経験だから知らないだろうが、日本の司法がいい加減であること、結審しないうちに途中で担当判事の転勤があり、担当判事が変わること、⑤新任の彼は弁護側調書も検察調書もおそらく読まないであろうこと、⑥拘留中の閉所恐怖症から逃げたくて検事に迎合した自供調書が「検面調書」として物的証拠として独り歩きすること、これらに触れて法治国家日本の人権無視を国際世論に訴えて欲しかった。

私は自身が原告として、また自身が名誉棄損の被告として、またオリンパス事件の被告側の第1証人として、何十回も高裁に足を運んで、実態を具体的に見たのです。(因みに私の弁護演説で友人は「共犯」から「ほう助」に罪1階級減ぜられて執行猶予が付きました。無罪を主張して最高裁に上告したが棄却されました)。判事の言い分は全く常識の外でした。例えば、「買い物を頼んだ人(英国の製薬会社の買収を依頼した人)のカネの性質を聞かなかったのは不自然だ」、というのです。依頼人のカネの性質なんて、そんなことは聞かないことが営業マンの常識であり礼儀なのに、です。

【今週号の目次】
第1部 当面の市況
第2部 中長期の見方
第3部 ユダヤ人さえ恐れさせたフェニキア商人の末裔たるゴーン氏は、カルタゴ戦争から2000年以上を経て少々ボケたか?
第4部 日経ヴェリタス1月5日号の紙上アンケートのまとめ
第5部 恒例の日経新聞正月の著名20氏へのアンケート、ほか今年度の見方
第6部 証券各社の2010年の見方(キャピタル証券・城宝氏の要約)
第7部 2019年の株式投資での成功談と失敗談

【プロフィール】
山崎和邦(やまざき・かずくに)
1937年シンガポール生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。野村證券入社後、1974年に同社支店長。退社後、三井ホーム九州支店長に、1990年、常務取締役・兼・三井ホームエンジニアリング社長。2001年、同社を退社し、産業能率大学講師、2004年武蔵野学院大学教授。現在同大学大学院教授、同大学名誉教授。大学院教授は世を忍ぶ仮の姿。実態は現職の投資家。投資歴57年、前半は野村証券で投資家の資金を運用、後半は自己資金で金融資産を構築、晩年は現役投資家で且つ「研究者」として大学院で実用経済学を講義。
趣味は狩猟(長野県下伊那郡で1シーズンに鹿、猪を3~5頭)、ゴルフ(オフィシャルHDCP12)、居合(古流4段、全日本剣道連盟3段)。一番の趣味は何と言っても金融市場で金融資産を増やすこと。
著書『投機学入門』『投資詐欺』(講談社)など多数。

ツイッター https://twitter.com/toukinoryugi

【著書】
『賢者の投資、愚者の投資』
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『投資で勝ち続ける賢者の習慣』
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『投機学入門 不滅の相場常勝哲学』(電子書籍)
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『会社員から大学教授に転身する方法』(電子書籍)
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その他、著書多数。以下よりご覧ください。
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