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【投機の流儀 セレクション】緩和余地が乏しい日銀のもとでは日本株を買う海外投資家は少ない

世界的な金融緩和への期待と企業業績への懸念とが綱引きをしあう、ボックス相場の範囲を出ないであろう。但し、ここには不健全なものが含まれている。米景気好調のうちに利下げをすると、将来ロクなことはないと本稿では言い続けた。

同じことをFRBの幹部の一部が講演で話していたことを或る記事で読んだ。このFRBの利上げ頼みのNY相場はある意味では不健全である。相場は相場であって事実であるから、その事実に対して健全とか不健全とか評価すべきではない、これが基本的なスタンスではあるが。

FRB議長を神頼みとする現在のNY市場は、短期的に自分さえ儲ければいい(自分さえ儲かればいいというのは投資の本質ではあるからそれが悪いとは言ってない)というヘッジファンドの先物主導の動きだから個人投資家にとっては深入りしたくない相場だ、という意味で述べている。

一方、企業業績は主要企業の4~6月期決算発表で振れ幅が大きくなる可能性もある。リビジョン・インデックス(企業業績上方修正と下方修正との差)で業績予想の方向性を測ると下方修正が上方修正よりも多くなり、見通しの悪化傾向が続く。

一方FRBの金融緩和への期待感が根強い。そこが問題だ。FRBの緩和をはやして短期マネーが買いに動く一方、長期マネーの動きは鈍い。緩和余地が乏しい日銀のもとでは日本株を買う海外投資は少ないであろう。日本株は年初の安値から7%しか上がっていない。他の先進国は10数%上がっている。海外投資家は年初から日本株を1.8兆円売り越してきた。

【今週号の目次】
第1部 当面の市況
(1)国内上場企業の4~6月期の決算発表が本格化する、連続増益には高いハードルか。
一方、中国は四半期別の成長率としては史上最低を記録
(2)先週の市況
(3)12年に一度の「亥年選挙」は自民党には鬼門だったが無事通り過ぎた
(4)想定為替レートと決算
(5)日本の輸出入はともに縮小
(6)緩和余地が乏しい日銀のもとでは日本株を買う海外投資家は少ない
(7)米利下げ期待の賞味期限
(8)閑散な膠着状態の中の銀行株:“Buy on the rumor, sell on the fact.”の好機近い?
第2部 中長期の見方
(1)「外交の安倍」はどうするか?
(2)ECB次期総裁
(3)「東方不亮・西方亮」──「トランプの米国」と中国、いずれが諸国を引き付
(4)アジアの諸国との関係の要約
(5)日本株相場の守護神だった黒田総裁、「英雄の末路、哀れむべし」か
(6)「市場に不健全も健全もない」か
(7)景気は政策によって決まる
(8)米雇用統計の重要さについて 
(9)老後2000万円不足説の意外な波紋の広がり
(10)中国経済は不透明感が増す。
そこで習近平と李首相はその懸念を払拭するために演説した
(11)ユーロ圏の長期低迷を示唆する現象
(12)オリンピックの経済効果なんて大したものではない、
それよりも、それを一つの通過点として見てそこから発生するものを重視する
(13)英、ジョンソン首相誕生、「合意なき離脱高」まる
(14)長期的に見たら日本の針路は著しく暗い
(15)「長期では今は、株は買えない」、ということになる
第3部 再びMMT理論(Modern Monetary Theory)=現在貨幣理論──常識的に考えて妙な理論は後年必ず崩れる。常識の方が優先する
第4部 緊迫米・イランと日本の立場
第5部 来年秋にトランプが再選されなかった場合
第6部 傾きつつある欧州の巨人・ドイツ銀行
第7部 読者との交信

【お知らせ】
「投機の流儀 セレクション」のアーカイブは、電子書籍の紹介サイト「デンショバ」にてご覧になれます。
デンショバ
http://denshoba.com/writer/ya/yamazakikazukuni/touki/

【プロフィール】
山崎和邦(やまざき・かずくに)
1937年シンガポール生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。野村證券入社後、1974年に同社支店長。退社後、三井ホーム九州支店長に、1990年、常務取締役・兼・三井ホームエンジニアリング社長。2001年、同社を退社し、産業能率大学講師、2004年武蔵野学院大学教授。現在同大学大学院教授、同大学名誉教授。大学院教授は世を忍ぶ仮の姿。実態は現職の投資家。投資歴57年、前半は野村証券で投資家の資金を運用、後半は自己資金で金融資産を構築、晩年は現役投資家で且つ「研究者」として大学院で実用経済学を講義。
趣味は狩猟(長野県下伊那郡で1シーズンに鹿、猪を3~5頭)、ゴルフ(オフィシャルHDCP12)、居合(古流4段、全日本剣道連盟3段)。一番の趣味は何と言っても金融市場で金融資産を増やすこと。
著書『投機学入門』『投資詐欺』(講談社)など多数。

ツイッター https://twitter.com/toukinoryugi

【著書】
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