見出し画像

【投機の流儀 セレクション】ウクライナ侵攻に際してしっかり身に付けておきたいこと

ウクライナ侵攻で世界は「経済の時代から政治の時代に移った」とする議論が出ているが、これは物事を総合的に考えようとしない人たちの愚論であるということだ。 物事を経済・政治・軍事・外交などと分けて科目として独立して考えたがる人達の思考壁である。全て大国の興亡は経済の衰退によって起こった。古代ローマから古代中国の王朝、近世欧州の王朝、近代も現代も全て経済の衰退から国家は衰退し、場合によったら滅びる。ソ連崩壊はイデオロギーに負けたのではなく、やはり内部経済の衰退から来た。戦争と軍事と外交を分けるのも愚かな考えである。 戦争とは外交以外の手段で遂行する、つまり軍事力という暴力で遂行する政治の延長であるとクラウゼヴィッツは畢生の名著「戦争論」で定義した。名言である。 一つ一つの科目で考えるべきものではない。経済は我々の生活と国家の安全保障の基本にあり、政治の専門家は常に経済を対象として考えるのは当たり前のことだ。ロシアは経済小国で石油とガスと小麦という1次産品が輸出の85%だ。付加価値をつけて売るという産業力がないから、必ず経済制裁で参ってしまうだろう。
第二次世界大戦は石油の利権を求めてドイツと日本が起こした。つまり経済が原因だった。今回もドイツがロシアへの天然ガスの依存を急には止められず、日本もロシア原油を止めれば中東への依存度を高めざるを得ない。 これからは中東・アフリカ・アメリカのシェールオイル、ガス、これらを巡って欧州・中国・日本・韓国の間で熾烈な獲得競争が始まるであろう。日本が原油価格が高騰している状態を逆手に取って化石燃料以外の原発を含むエネルギー開発を考えるべき時が来ている。参院選が終わるまでは誰も触れようとしない。正直者の岸田総理が4月2週目の末にひと言それを漏らしただけで日経平均が低迷中に380円の東京電力が480円になった。株は率直だ。 この激動の中では針路を見失わないことが大切であると思う。それで本稿では大変僭越だが、個々の銘柄よりも基本的なものの考え方を中心に述べてきた。それが東電に繋がったという話に過ぎない。

【今週号の目次】
第1部 当面の市況

(1)「健全なる精神は、キャッシュポジションを高めた投資家に宿る」
(2)当面の市況:
(3)先々週末の東証の売買代金は年末以来の低水準だった
(4)日経平均は一時的に2週間ぶり高値、25日線に追いついた、しかし続かなかった。一方、新興株は1ヶ月ぶり安値
(5)日米金利差の拡大―「悪い円安」を蔵相が認め日銀総裁も追認
(6)「大型連騰(筆者註:9日連騰のことを指す)は強気のシグナル」
第2部 中長期の見方
(1)世界経済IMFが下方修正
(2)「スタグフレーション」のリスク
(3)「FRBはインフレ抑制と景気持続の二兎を追う」
(4)利上げと株式市場
(5)「新しい資本主義」とは何か―理念先行で茫洋としていたが具体的に動き出した
(6)理念先行で明確でなかった「新しい資本主義」が具体的に動き出した
(7)「プーチンはジュニア・ブッシュの再来?」
(8)ウクライナの粘り強さについて
(9)ウクライナ侵攻に際してしっかり身に付けておきたいこと
(10)長年のデフレ局面を脱しインフレを警戒しなくてはならない局面に転換か
第3部 円安問題
(1)中長期の見方:投機筋は円売りの根拠に困らない―おまけに「バジョット・ケース」も
(2)今の円安は日本経済にマイナス
(3)利上げ方向の米、低金利持続の日本、→当然の円安
(4)またまた円安について、「円安ピーク、4~6月が5割」           
(5)構造的な円安をどう見るか――嘗て筆者は云った。「英雄の末路、憐れむべし」と。
(6)円安再考


【プロフィール】
山崎和邦(やまざき・かずくに)
1937年シンガポール生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。野村證券入社後、1974年に同社支店長。退社後、三井ホーム九州支店長に、1990年、常務取締役・兼・三井ホームエンジニアリング社長。2001年、同社を退社し、産業能率大学講師、2004年武蔵野学院大学教授。現在同大学大学院教授、同大学名誉教授。大学院教授は世を忍ぶ仮の姿。実態は現職の投資家。投資歴57年、前半は野村証券で投資家の資金を運用、後半は自己資金で金融資産を構築、晩年は現役投資家で且つ「研究者」として大学院で実用経済学を講義。
趣味は狩猟(長野県下伊那郡で1シーズンに鹿、猪を3~5頭)、ゴルフ(オフィシャルHDCP12)、居合(古流4段、全日本剣道連盟3段)。一番の趣味は何と言っても金融市場で金融資産を増やすこと。
著書『投機学入門』『投資詐欺』(講談社)など多数。
ツイッター https://twitter.com/toukinoryugi

【著書】
『賢者の投資、愚者の投資』
https://amzn.to/2AebYBH
『投資で勝ち続ける賢者の習慣』
https://amzn.to/2vd0oB4
『投機学入門 不滅の相場常勝哲学』(電子書籍)
https://amzn.to/2AeQ7tP
『会社員から大学教授に転身する方法』(電子書籍)
https://amzn.to/2vbXpZm
その他、著書多数。以下よりご覧ください。
https://amzn.to/2va3A0d

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?