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【投機の流儀】敗北宣言の名スピーチと「人間臨終図鑑」

第1部 当面の市況

はじめに
先週、一幕済んで一服を入れたから今週は週明けから買い先行で始まろう。
あとの項目で詳述するが、この相場は大統領選でもコロナでもなく景気回復・業績回復の先行きの夢を買ったものだ。市場用語でいう「理想買い」である。それは実勢を買う「現実買い」よりも、夢を買うのだから強烈である。筆者の青春に影響を大きく与えた木佐森吉太郎の表現(★註)で言えば「それは峻厳なる現実の世界でなく豊富なる可能性の世界なのだ。人はこれに鼓舞されるのだ」というところだ。売る場合もそうだ。本稿3月15日号で「今こそ買いだ」「『現金ポジションを高めに持とう』と長く呼びかけてきたのはこの日のためだ」と檄を飛ばした頃、金融不安でもないのに金融不安に該当するPBR0.8倍を示現したのは、「理想ウリ」以外の何物でもなかった。
ワクチンが開発されても経済が直ちに復活するわけではない。市場行為者は将来の夢を買うのだ。ところがスピード調整を要する段階になると人は夢と現実との狭間に目覚めて利食い売りをし、損切りもする。
市場用語でいう「理想買い」は木佐森吉太郎は「観念相場」と説明した。そう、「現実」でなく「観念の中に居る」のだ。だからこそ猛烈なのだ。「今の相場は現実と乖離している」などというのはこの辺のことを分かってない人の言い分にすぎない。

(★註)「新・株式実戦論」東洋経済新報社、1961年刊。絶版になっていたものを経済学者都留重人が読んで「これは経済市場論の本としても読める」と評し、京大哲学の泰斗西田幾多郎が読んで「哲学の本でもある」といったので東洋経済が再版したもの。筆者の青春を支配したと言って過言でない。詳細は拙著「賢者の投資、愚者の投資」(日本実業出版、2007年刊)107頁から116頁)、今、日比谷図書館と国会図書館に在る。ネットで買うと4万円前後)。

さて、話を戻すと、REITが分配金利回りが8年ぶりの高さになったので投資家が買い始めたという。また、国内投資家が11月初秋で海外の中長期国債を約1.4兆円を買い越したという(財務省発表)。カネ余りなのだ。

(1)先週の市況
先週12日(木)までは11月に入ってから日足で陰線は1回もなく8日連騰、上昇幅は計2,550円を一挙に駆け上がった。13日(金)のSQ日に向って売り玉がたまっていた分の売り方の手仕舞いを先導役として、大統領選挙という行事も一幕済んだことであるし、ここで少しスピード調整に入ったという週末であった。
週末のSQ値は2万5,480円で決まり、ザラ場高値をもってもこの値はなかったから、この値は所謂「幻のSQ値」となった。「幻のSQ値」の場合は翌週に荒れるという言い伝えもあるが、必ずしも実証的な根拠はない。
要するに大統領は誰でも良かったのであって問題はFRBの動向によって今後は動くだろう。「オールドエコノミー銘柄」に順番が回ってくるという言い方もあるが、要するに「」景気回復銘柄」に向ったというのが実態だと思う。

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