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【投機の流儀 セレクション】黄昏ゆく株式市場

この項目と似たようなことは先週も述べた。今週は具体的な事実から述べよう。個人向けの金融商品である投資信託の新規設定が激減しているという。昨年よりも2割以上も減った。これは民主党時代の3年間の長期低迷時代、1万円±2,000円の長期低迷時代から10年ぶりのことだという。
これが良いことなのか悪いことなのかはまた別問題である。東証は出来高売買金額が多ければ収入が多い仕組みになっているから東証にとっては良くないことであろうが、投資家にとって良いことか悪いことかはまた別である。

この投資信託の新規設定が減ったという背景には投資信託運用業者のビジネスモデルの転換が進んでいるからだという。次々と新しい型の投信を出しては顧客にそれに乗り換えさせ、その乗り換え手数料(多くの場合3%ぐらい。これは不動産仲介手数料が3%+6万円と概ね近い)、これを稼ぐのではなく一つの投資信託を長期でじっくり保有してもらうビジネスモデルへの転換だ。
御承知かと思うが、投資信託というのはその運用成績にかかわらず信託報酬というのが普通の場合は約1%運用業者に自動的に入ることになっている。野村證券の保護預かり資産が110兆円あり、2番目の大和証券は50兆円強あるが例えば110兆円の野村證券の顧客からの保護預かり資産のうちの10兆円が投資信託だとすれば、その1%つまり1000億円が毎月自動的に信託報酬として野村證券に入ることになる。乗り換えさせれば2~3%の手数料にはなる。乗り換えさせなくても信託報酬は入る。顧客に値上がり利益や配当利益をとってもらって信託報酬を長期間で稼ぐという、運用実績のある既存の投信をじっくり延ばす方針にビジネスモデルを転換しつつある。

【今週号の目次】
(1)中勢的な市況観――この期間の過ごし方が投資家の近い将来を左右する
(2)景気動向指数から見た客観的な基調判断
(3)平成から令和へ改元、令和元年はどうなるだろうか
(4)「魔の10連休」
(5)ふたたび言う「魔の10連休」
(6)売るべし、買うべし、休むべし、というが「休む」が一番難しい。
(7)当面の市況
 1 週末のNY高を見て週明けは高かろう
 2
 3 高揚感の乏しい年初来高値
 4 景気敏感株が主導で上げた3月相場
(8)NYダウは三尊天井(トリプルトップ)か、大幅上昇か
(9)BREXITを巡る市場の空気
(10)BREXITの行方
(11)平成に入ってからのドル円相場
(12)原油価格と日本株の関係――「裏の裏は表」となって、教条主義者の説いてきた通りになる可能性がある
(13)黄昏ゆく株式市場
(14)米長短金利逆転と株式市場
(15)トルコリラの動向について
(16)強い米国
(17)GEとGAFA
(18)米中戦争が実体経済に及び始めた
(19)東証改革に戸惑う企業経営者と投資家
(20)欧州景気は急速に落ち込む――ホンネを語る誠実さ
(21)証券界・地銀界の収益回復の目はスリム化と統合化に向か
(22)埼玉県Tさんとの交信(4月7日)
(23)広島O様からの「先導株」についてのご質問

【来週以降に掲載予定の項目】
 ○今年の参院選について――改元・消費税・不祥事――ここに竹下内閣時の参院選の既視感あり
 ○アベノミクスの金融政策を振り返る
 ○東証第一部上場銘柄の変遷

【お知らせ】
「投機の流儀 セレクション」のアーカイブは、電子書籍の紹介サイト「デンショバ」にてご覧になれます。
デンショバ
http://denshoba.com/writer/ya/yamazakikazukuni/touki/

【プロフィール】
山崎和邦(やまざき・かずくに)
1937年シンガポール生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。野村證券入社後、1974年に同社支店長。退社後、三井ホーム九州支店長に、1990年、常務取締役・兼・三井ホームエンジニアリング社長。2001年、同社を退社し、産業能率大学講師、2004年武蔵野学院大学教授。現在同大学大学院教授、同大学名誉教授。大学院教授は世を忍ぶ仮の姿。実態は現職の投資家。投資歴57年、前半は野村証券で投資家の資金を運用、後半は自己資金で金融資産を構築、晩年は現役投資家で且つ「研究者」として大学院で実用経済学を講義。
趣味は狩猟(長野県下伊那郡で1シーズンに鹿、猪を3~5頭)、ゴルフ(オフィシャルHDCP12)、居合(古流4段、全日本剣道連盟3段)。一番の趣味は何と言っても金融市場で金融資産を増やすこと。
著書『投機学入門』『投資詐欺』(講談社)など多数。

ツイッター https://twitter.com/toukinoryugi

【著書】
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