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芸人と発達障害・その1/憧れるのをやめましょう

初めに

突然だが、私は発達障害を抱えている。最初に診断されたのは幼稚園に入る前だったと親に言われたが、中学時代と大学時代にも改めて診断されている。所謂、障害者手帳は所持していないがこのように診断歴があるので私は発達障害者と分類される。ついでに、私は前記事でサラッと恋人がいる事を告白したが、彼も同じような人間である。
そして、毎年4月2日は「世界自閉症啓発デー」であり、日本ではこの日から4月8日まで「発達障害啓発週間」でもある。ここに合わせて、私の好きなお笑い芸人と発達障害について考えたい。


発達障害とは

現在、発達障害として主に挙げられるのは

  • 自閉スペクトラム症(ASD)

  • 注意欠陥・多動性障害(ADHD)

  • 学習障害(LD)

この3種類である。搔い摘めば、ASDはコミュニケーション能力、行動範囲、想像力などに欠如が見られ、ADHDは不注意や多動に衝動性が頻繁に起こり、LDは文字の読み書きが困難(ディスレクシア)だったり、数字にかなり弱い(算数障害)だったりする。他にも、感覚過敏・鈍麻を抱えたり、思考回路が極端になったりする例も少なくない。そして、その特性があってストレス耐性に難があったり、周囲に合わせられない苦悩があったりする故精神的に追い詰められやすく、精神障害を二次障害として引き起こすこともある。また、トラブルを引き起こす面もあるので留意してほしい。
女性よりも男性の方が発現しやすいとされているが、原因は未だに不明。かつては水銀説も浮上していたが否定されており、遺伝子説は未解明であり、大事なのは親の教育が関係していない。

しかし、学習障害が一部では限局性学習症(SLD)と呼ばれたり、かつて自閉スペクトラム症は知能指数によって知的障害を伴う自閉症(カナー型自閉症)とアスペルガー症候群(高機能自閉症)と分けられたり、自閉スペクトラム症自体を広汎性発達障害と枠組みを広げたり、発達障害自体を「神経発達症」と呼ぼうとしたりと時代によって左右されている。また、ASDは更に性質により細分化されるのもある。そして、「発達障害グレーゾーン」や「愛着障害」など更なる線引きの問題もあるが、この話題は次回に持ち越す。
発達障害の診断方法として精神科あるいは心療内科の医師に相談して、問診と知能テストが一番正確に診断される。問診のみや脳波検査や遺伝子検査も課すであろう場合もあるが、正確性には欠けている。また、書籍やインターネットで公開されているチェックシートなどによる自己診断も正確性に欠けるので自分が発達障害かもしれないと感じたなら、病院にいくべきである。しかし、これらの診療科は予約が必須だがそう簡単に通えないのがネックである。
治療法は無くもないが、薬物療法はADHD用のみに適応され、他には認知行動療法で対処しなければならない。障害者手帳は主に「精神障害保健福祉手帳」で申請可能。

しかしながら、生活を工夫できなくもないが現在に日本においてはあまり理解されていないのが現状である。当事者の苦しみだけでなく、発達障害特有の感性や独創性などだけに着目されたり、下記のような芸人のみならず著名人の公表されたりしてそのような面を持たない当事者が苦しまれる。「サヴァン症候群」や「ギフテッド」の存在も厄介だが、その話題も次回に語る。
私は上記のような著名人を「スーパー障害者」と呼ぶように決意した、それは発達障害者だけでなく身体障害者や知的障害者も含めている。彼らばかりが障害者ではない、憧れのをやめましょう。

発達障害を公表している芸人

まずは医師の診断を経て発達障害を正式に公表している芸人から紹介する。

中山功太

1980年6月24日生まれ、大阪府大阪市出身。1999年に吉本総合芸能学院(以下:NSC)大阪校に22期生として入学して、2000年にプロデビューした吉本興業東京本社所属のピン芸人。2009年に『R-1ぐらんぷり(現:R-1グランプリ)』で優勝するものの大きくブレイクを果たせなかった。
ADHDだと医師から診断されたのは2015年頃(当人が35歳頃)、それまでに自覚症状は把握していた。

ADHDだと初めて告白した、こちらの動画は2021年2月27日YouTubeチャンネル『モクシロク』で公開された。他にも『街録ch〜あなたの人生、教えて下さい〜』や『リアルビデオch』にも出演して自身のADHDについて触れていた。そこでは、薬物療法は全くせずに自分自身の生活態度を見直していると発言していた。

藤本淳史

1984年4月3日生まれ、京都府京都市出身。中学校の同級生であった田畑勇一と東京NSC13期生として入学して、2008年にプロデビューした吉本興業東京本社所属である。漫才コンビ「田畑藤本」を結成したが2020年に解散して現在はピン芸人。史上初の東京大学卒業芸人としても名が知られている。
ADHDだと医師から診断されたのは2021年頃(当人37歳頃)、それまでに自覚症状は把握していた。

これらの動画は前者は2021年7月13日に『街録ch〜あなたの人生、教えて下さい〜』、後者は同日に『よしもと中尾班YouTube劇場』で公開された。同日に開設した自分自身のYoutubeチャンネルで『東大の底辺かける高さわる2』でも触れている。

たかまつなな

1993年7月5日生まれ、神奈川県横浜市出身。本名、高松奈々。フェリス女学院中学校・高等学校在学中から芸人として活動を始めており、慶応義塾大学在学中に明治大学のお笑いサークル『木曜会Z』にも所属した後、2011年にワタナベコメディスクールに15期生として入学して2012年からプロデビューした過去にはサンミュージックプロダクションに所属していたフリーのピン芸人。しかし、NHK職員を経て現在は芸人としての活動は控えめになっている。2013年に一度だけ開催された『ワラチャン!』で優勝していた。
ADHD傾向だと医師から診断されたのは2020年頃(当人28歳頃)、それまでに自覚症状は把握していた。

こちらの動画は2021年9月25日に『街録ch』で公開された。上記2名とは異なり、傾向と発言しているのでグレーゾーンの可能性がある。

ちなみに、藤本氏とたかまつ氏は2022年2月26日に公開された、たかまつ氏の『たかまつななチャンネル』でコラボしている。

このように以上の3名は同じ『街録ch』に出演経験がある。このチャンネルでは著名人のみならず一般人の出演も多く、発達障害にも多く触れている。
さて、ここから先は上記に触れていない者たちを紹介しよう。

エハラマサヒロ

1982年5月29日生まれ、大阪府東大阪市出身。本名、江原正洋。2001年に大阪NSC24期生として入学して、2002年にプロデビューした吉本興業東京本社所属のピン芸人。「R-1ぐらんぷり」に過去4回決勝進出しているだけでなく、2017年に『ものまね王座決定戦』で優勝している。
ADHDとASDと指摘されたのは2024年頃(41歳頃)。自覚症状は把握していた。

こちらの動画は2024年2月24日に『エハラ家チャンネル』で公開された。しかし、あくまでも小児科医からの指摘であったので正式な診断が下りた訳ではない。

発達障害を仄めかしている芸人

次に医師の診断があるか不透明だが紹介している芸人を紹介する。

令和喜多みな実・野村尚平

1988年4月14日生まれ、大阪府大阪市出身。2006年に大阪府立東住吉高等学校在学中に『M-1甲子園(現:ハイスクールマンザイ)』で当時「デロリ庵」として決勝進出、その後2007年に大阪NSC30期生として入学して2008年にプロデビューした吉本興業大阪本社所属である。NSC在学中に同期の河野良祐と漫才コンビ「プリマ旦那(現:令和喜多みな実)」を結成したが、現在は体調不良により休業中。
ADHDだと判明したのは2015年頃(27歳頃)、自覚症状は少なからず把握していた。

彼が告白したのは2022年4月18日放送のABCラジオ『つまずく夜は あとがき野村尚平』の初回放送だった。残念ながら、ラジオの公式アーカイブは存在しない。
その後、こちらの記事で詳細が書かれているが有料記事故に個人個人で確かめてもらいたい。

9番街レトロ・京極風斗

1995年8月9日生まれ、大阪府藤井寺市出身。本名、藤原風斗。2014年に大阪NSC37期生として入学して2015年にプロデビューした吉本興業東京本社所属で、2018年に後輩芸人なかむら☆しゅんと漫才コンビ「9番街レトロ」を結成。なんばグランド花月よりも集客人数の多い会場で単独ライブを敢行して、全席を埋めた経験がある。
以下の本人による記事に薄らと紹介している。

軍艦・仁

1998年3月10日生まれ、大阪府熊取町出身。本名、奥野仁。2021年に同じ大学の同級生の梅野健太郎と2021年に大阪NSC44期生として入学して、養成所時代にM-1グランプリで準々決勝まで進出し、2022年にプロデビューした吉本興業大阪本社所属である。
以下の本人によるXのポストに書かれてあり、何故この章にしたのかは遺伝子検査による結果なので正式に診断された訳ではないからだ。そして、彼のポストは嘘か誠か分からないのもあるので留意を願う。

令和ロマン・髙比良くるま

1994年9月3日、東京都練馬区出身。本名、髙比良直樹。2015年に慶応義塾大学在学中にお笑いサークル『お笑い道場O-keis』所属中で先輩の松井ケムリと漫才コンビ「魔人無骨」を結成。その後、2017年に東京NSC23期生として入学して、2018年に首席でプロデビューした吉本興業東京本社所属である。2019年にコンビ名を「令和ロマン」と改め、2020年に『NHK新人お笑い大賞』、2023年に『M-1グランプリ』で優勝している。

これらの動画は前者は2021年7月9日に、後者は2022年1月29日に『official令和ロマン【公式】』で公開された。前者らアーカイブ保存済生配信動画であり、後者は編集済動画故に2種類紹介する。どちらも、自身がADHDだと発言している。また、漫才動画「ちびまる子ちゃん」でもADHDをボケにしていた。藤本氏がADHDを笑い飛ばせるようにしたい願望があるが、髙比良氏はそれをYoutube上で実現している。だが、テレビではその振る舞いをしても賛否両論に終わるのが目に見えてしまう。また、今すぐにテレビで告白すれば色眼鏡で見られる可能性も少なくないだろう。

他にも、馬鹿よ貴方は・新道竜巳(2024年現在:サンミュージックプロダクション所属)も過去に自身のYouTubeチャンネルにて自身がアスペルガー症候群かもしれないと仰っていたが、残念ながらその動画は残されていない。

総括

ここまで紹介してきたのだが、診断している面々の共通点として全員が成人後に発覚している。平成生まれのたかまつ氏にも当てはまり、彼女は上流階級出身というのが関係しているのか気になってしょうがない。
そして、彼らは上から順に、R-1王者、東大卒、ワラチャン王者兼起業家、R-1準優勝者兼ものまね王座決定戦王者、上方漫才大賞新人賞受賞者、ファンが多い、NSC時代でM-1準々決勝進出、NHK新人お笑い大賞兼M-1王者、元会社経営者(当時の所属先)でもあるので「スーパー障害者」に値する。特に髙比良氏が一番ネックだ、彼は旬の人間で言動が注目されている。
上記の通り、ADHDには日常生活を楽に過ごせられるための薬剤が存在するものの、副作用で独特のイマジネーションが損なわれる面もある。その才能よりも日常生活を優先するならば薬物療法しても構わないが、その才能を活かして大舞台で活躍したいのなら断念すべきなのかと悩ましい問題もある。
才能がない発達障害者を蔑ろにされる現状は許しがたく、要するに才能だけを搾取されているのに変わりがない。才能を活かすのと搾取するのでは話が違う、このままでは誰しもが不幸になってしまう。

終わりに

今回、この記事だけでは完結する訳ではない。他にも書きたい話題があるが、ここでは冗長性が出てしまうので二部構成にする。
大事なことを言い忘れていたが、私は発達障害に苦しんでいる側で過去には障害が無い自分を望んでいた。今はそこまで思い詰めるまでには至らない。
取り敢えず、今はここまで語ろう。

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