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今年もほんわかバカップル

0時0分を迎えると

和政は私に礼儀正しく頭を下げてきた。


「今年もよろしくお願いします。」

「あ、私こそ、
今年もよろしくお願いします。」


私達が年を越した場所は

バイト先近くの公園だった。


31日の夜まで
バイトを入れていた私達は

帰り、中途半端な感じで

年を越してしまった。


「ごめんね、和政。
もっとちゃんと年越したかったよね。」

「え??うーん…??
詩織がいれば別に
どっちでも良かったかな。

俺もバイト入れてたし。」


そして私の持っていた鞄を持ち上げ
中のタッパーを取り出す。


「これなに??」

「あ、うん。
最初から和政と年越す
つもりだったから…、
作ってきて、持ってきたんだけど…、

よく考えたら
食べる時間なかったな、って。

だから気にしないで。」


しかし和政はタッパーを開き
お箸を持って、手を合わせる。


「え、ちょっと、和政??」


「俺の為に作ったんでしょ??」


そう笑って春巻を食べて

うまー、と笑ってくれる。


「え、でも寒い、し。

あの、うん、別にそんな、」


引き止めてもシカトして

本当に美味しそうに食べる。


「やっぱり、詩織の海老フライが
一番おいしーわー。」

「もう冷めちゃってるし、」

「お弁当だもん。そういうもんだよ。」

「いや、でも外寒いし。」


何も言わずに食べつづける和政。


しばらくすると

私に卵焼きを向ける。


「あーん。」

「…え??」


「あーん。」


ちょんちょん、って

唇に卵焼きが軽くつく。


「…あーん」


口を開けると満足そうに

私の口に卵焼きを入れた。


「今年初のあーん、

頂きましたー。」


明るく笑って、

照れる私の頬に軽くキスした。


「…和政、」


私は和政から箸をもらい

春巻をつまむ。



「…あ、あーん…。」



今年も去年同様、

仲良く、美味しい年に

したいと思います。



今年もほんわか
バカップル







**


今年はもう少し、詩織とガッツリ

イチャつきたいとも思うのですが、


まぁ、俺達多分、

そういう担当ではないかなーとか、


自粛できるようになった俺は

なかなか成長したかな、と。


今年もよろしくお願いします。






2012.01.01

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