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鈍いにも程がある


大澤の話を聞いてたら
何だか眠くなってきた。


「…ちょっとスズ。
俺の話、聞いてんの??」

「だーかーらー。

詩織も大澤のこと好きだから
告白しなよってばー。

もー、大澤面倒くさいよ。」


私がため息をつき言うと

大澤もため息をつく。


「告ったし。」

「料理褒めたくらいじゃ
告白にならないのー。」


まぁ、詩織は嬉しそうに
私に話してきたけれど。


「…あのさ。

料理褒めただけじゃないし。

『こんなに美味しいカレー作れるなんて
本宮さんの彼氏になりたい』って
ちゃんと言ったし。」


知ってるよ。

詩織から聞いたよ。


「なんでカレーの話したの??

だからややこしくなったんだよ。」


まぁ…。
本当なら大澤の言葉って
告白なんだけどね…。


「カレーも褒めたかったんだよ。

あんなに美味しいカレー作れるの
本当、本宮さんだけだと思う。

スズ、食べたことある??

あの、程よい辛さと-」


大澤の詩織の話は
もう十分すぎるほど聞きましたし


そもそも両思いなんだってば。


「本宮さんって
どんな男が好きなの??」


だから大澤は
詩織のモロ好みなんだってば。


「おーさわ。」

「俺、真面目に聞いてんだけど。」


だから真面目に
答えてるんだってば…。


「逆に大澤はなんで
詩織が自分のこと
何とも思ってないと思うの??」


確かに詩織は分かりづらいけど

そこまで頑なに
否定することないでしょう。


「…二年に、丈先輩っていう
イケメン部長がいるんだけど。」


あ、知ってる。

イケメン三位だった人。


「多分、本宮さんはその人が好き。」


…あぁー。なるほどね。

確かに竹沢先輩は
かっこいいし優しいし

詩織とも仲良しだし。


…でも確かその人、
彼女がいるって聞いたような。


「大澤のがイイ男だよ。」

「そうゆう問題じゃないの。

こう…、もっと効果的に
俺に気持ちを向ける方法はないのかな。」


だから…。

向いてるんだってばぁ…。


「好きって言いなよ。」

「今日言ったのに
スルーされたんだよ??

しばらくは無理。
気持ちもう一回アゲるのに
少し時間かかるし。」


あーあ…。

早くくっついてほしい…。


毎日、毎日
大澤からも詩織からも
どうしよう、どうしようって。


だから君達、

両思いなんだってば。


「…あのさ、大澤。」

「なに??」

「私が大澤の代わりに
詩織に言ってあげようか??」


すると大澤は私のことを

少しだけ睨んだ。


「それは俺が言いたいって

スズなら分かるだろ。」


まぁ、分かるよ。

分かるけど。



鈍いにも程がある





**



「そんなことよりさ、大澤。
先輩は私のこと、」

「だから、好きだって。」






2011.01.09

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