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カレの迎撃を受ける毎日

髪から漂うシャンプーの香り。

すべすべお肌にぷるぷる唇。

清潔感漂う制服の着こなしに

磨かれた靴。


研究に研究を重ねて完成された

万人受けするモテ女子の

スタンダードスタイル。


「おはよう、ほのちゃん。」

「おはよー。」


親しみやすさを感じさせつつ
女らしい妖艶さも漂わせる

完璧に完成された笑顔に

挨拶してくれた男子は
嬉しそうに笑う。



トキメいたでしょ??

知ってる。



でもごめんね。

今狙ってるのは万人受けじゃないの。


伍樹だけに受ければ

どうでも良いの。


…いや、どうでも良くはないか。

できれば沢山から言い寄られたいかな。


でも、伍樹7対万人3くらい。



「おはよう、伍樹っ!!」

「おはよう、穂乃花ちゃん。」


私の気合いは十分。


トキメかせまくってやるぞ、って

そんな気持ちでいっぱい。


「今日の夢、伍樹出てきた。」

「へぇー。」

「夢に登場しちゃうとか

私、よっぽど伍樹で
頭いっぱいなんだなー、」


チラッと伍樹を見たら

少し笑って頷く。


「一緒だね。

俺も穂乃花ちゃんで
頭いっぱい。」


…きゅん。


じゃなくてっ!!

私がトキメいてどうするっ!!


対抗するようにそのまま

ジーッと伍樹を見つめる。


くらえ、上目遣い攻撃っ!!


しかし伍樹は私を見て

またも楽しそうに笑う。


「キスする??」

「はっ?!し、しないよっ!!
いま、朝だしっ!!

みんな見てる、じゃん!!」

「うん、冗談だけど。」


サラッとそう言われて
恥ずかしさ倍増。


ドキドキが早くなってるのが

自分でもわかる。


すると下を向いた私に

ニコニコしたまま聞いてくる。


「あ、したかった??」

「し、したくないよっ」

「え??したくないの??」

「し、…な、なに言ってるの?!」


「ははっ、照れてる。」


ドキドキが最高潮に達したころ。


私の手を握って、指を絡ませて、

ちょっとだけ私を引き寄せる。


この程度では普通動じない。

でも、ほら、なんか。


伍樹だから。


「…照れてないよっ!!」

「あ、そっか。

その割には否定するの遅かったね。」


そう笑ってから

うん、となぜか小さく頷く。



「穂乃花ちゃんて、

本当に可愛いよね。」



あぁ、今日も朝から

貴方に完敗。



カレの迎撃を受ける毎日







**


今朝も穂乃花ちゃんは気合い十分で

俺をトキメかせようとする。


大丈夫、大丈夫。

ちゃんとトキメいてるよ。


だから俺にも

トキメいてほしいだけ。






2012.02.04
hakuseiサマ
迎撃

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