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照れ屋もここまでくると病気


伊達先輩と桜先輩は私の恩人だ。

あの日、襲われて、途方に暮れる私を助けてくれた。


二人がいなかったら、

助けてくれたのが
二人じゃなかったら、


私はもっと辛くて、もっと悲しい気持ちになってただろうなって思う。


だから今度は私が恩返しする番なんだっ!!


「…映画のチケット??」

「はいっ。
色々あって、手に入りました!!」


お父さんの友達が、その映画の音楽監督で
無料で譲ってもらったのを
更にお父さんから譲ってもらった。


そしてそのチケットを私は伊達先輩に譲る。


「あっ‼︎しかもっ!!

この映画はもしや、桜先輩が
見たいと言っていた映画では?!」


うーん…我ながら、演技下手だな…。


「…スズちゃんまで、
俺のことバカにしてんのか??」

「ち、違いますよっ!!
私は一刻も早く先輩達には
幸せになってほしくて!!

野上先輩は今一つ
こういうことに疎いですし、

流星先輩は空回りするし

美波先輩はむしろ、
一人で盛り上がってしまうタイプなので、


あの三人の応援は
アテにならないのでは、と-」


途中まで言ってハッとした。


悪口みたくなっちゃった…!!


しかし、伊達先輩はそんな私を見て
優しく笑ってくれる。


「ありがとな。
本当、その通り。」


そしてハァ、と
ため息をつく伊達先輩に
私は改めて聞くことにした。


「…野暮なことを言っても良いですか。」

「ダメ。」


「お二人は両思いだと

互いに分かっているのに

どうして告白しないんですか。」


伊達先輩の白い肌が一気に赤くなる。


…意外と分かりやすい人だ。

さすが流星先輩の友達。


「俺いま、ダメって言わなかった??」

「だって!!

先輩たち、二人とも
好きって分かってるのに!!

自覚しあってるのに!!


あとは好きって言うだけですよ?!」


「だけじゃねんだよ!!
これが大変なんだよ!!」


大きな声を出されて
さすがにビックリしてしまい、
伊達先輩も気まずそうに私から目を逸らす。


「…まぁ、映画くらいは、誘う、けど。」

「じゃあその時に、」


告白したらどうですかって

言おうと思ったんだけど。


頭を抱えて悩む伊達先輩を見たら

さすがにそれはハードル高いかって


なんか、上から目線になってしまった。



照れ屋もここまで
くると病気







**


そして二年経った今でも

伊達先輩が桜先輩を
映画に誘えたがどうかは


私にはよく分からない。






2011.09.15
確かに恋だったサマ 

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