田こぴ

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パチンコ好きの両親のもとに生まれて

うちの両親はパチンコ好きであった。 幼い頃は私もよくパチンコ屋へ通った。もちろん打つためではない。店内放送で両親を呼び出してもらうためだ。 お腹がすいたとか誰かから電話がかかってきたとか、なにか用事ができたら呼び出しに行った。 呼び出された親に話しかけると大抵耳の遠い老人のようなジェスチャーをされた。親の耳には耳栓がわりのパチンコ玉が詰まっており、店内のBGMも大音量であるから、話しかけるには大声を出す必要があった。 勝った日には小遣いがもらえた。負けた日には何もなかっ

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    • 兄が着ていたピンクのワンピース

      中学生の時、家に帰ると、四つ上の兄がピンクのワンピースを着ていた。 ショッキングピンクにチェックの柄物で、白い襟のついた膝まであるシロモノだった。それを見た母親は激怒と困惑で金切り声をあげた。 兄は、これは女物ではないこと、ファッションの一環であること、わからないやつにはわからないセンスだということを述べて弁解したが、母親には通じなかった。 もちろん私も意味がわからなかった。兄は重度のファッションオタクであった。 兄が夜間高校に通っていたころ、兄の彼女はピエロの靴を履

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      • 父とポテトとマークツー

        父親をはじめて情けなく思ったのは、小さい頃、私の歯が折れたときだった。 その日、父は私を誘ってドライブへ行った。晴れた日曜日だった。 私はまだ車が珍しい年頃で、助手席でじっとしていなかった。ウィンドウを開けたり閉めたり、シートベルトを思うさま引っ張ってみたり、目につくものすべてに我が力を試して遊んだ。父はそれを諌めつつ運転を楽しんでいた。 突然、車内に私の大泣き声が響き渡った。 シートのリクライニングで遊んでいた私は、背もたれに真正面から向き合い、思い切り、リクライニ

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