【感想】TOUGH外伝 龍を継ぐ男 BATTLE.378 悪魔を超えたバケモノ
(3)(白)
今週のプレボは猿渡先生と不滅のマドンナこと女優「かたせ梨乃」さんの対談記事があるので絶対に読め…鬼龍のように。
◆前回までのあらすじ
頸動脈からの大量出血で残り2~3分の命となった悪魔王子はキラー・ジョウから追撃の心臓停止打を受けてしまう。もはや万事休すと思われたが…突然変異の心臓の力によって死の淵から覚醒して形勢逆転。キラー・ジョウのジャック・ナイフエルボーを完全に見切り、ボディブローから今までのお返しと言わんばかりの心停止打ちが炸裂する。
ホワイト・ナイト・バトル最終戦…ついに決着!!
◆勝敗は決したか…!?
悪魔王子の渾身の心停止打ち(キラーちゃんの方は心臓停止打なんだけど何が違うのん?)によってグニャリとマットに倒れ込むキラー・ジョウ。
仰向けに倒れたままピクリとも動かない様子から最悪の事態が脳裏をよぎり、観客も龍星とスタンプも…VIP席のヨシフも啞然とする(鬼龍おじさんは首を掻っ切るジェスチャーでドヤ顔…お前は何もしてないぞ)。
司会「ついに"殺試合"が決着ッ 公開殺人ッ これぞ"悪魔の所業"」
静まり返った会場に司会の声が響く。R国の国威発揚大会 - ホワイト・ナイト・バトル - の最終戦…ノールール・ノーレフリーの殺試合がついに決着。しかし、そのあまりにも凄惨な内容と結果に観客は誰一人声を上げることができなかった。
観客…全然沸いてないんスけど、いいんスかこれで。
国威発揚という面では大失敗を超えた大失敗。このあと"あの男"によってヴィクトル・グループの責任者が何人か粛清されそう。
観客もあんだけ「殺せ」コール連呼して野蛮だったのに、いざ人が死ぬとドン引きするのはある意味リアルですね。殺人ショーなんて一部のマニアしか見ませんよ(リキちゃん書き文字)。
運営がストイックに時間と労力と金と愛情をかけて築き上げた大会をよく分からん日本人と宿敵であるアメリカ人と謎のバーコード坊主の4人がグチャグチャに崩壊させるんだッ
これはもうセックス以上の快楽だッ。
◆悪魔の能力
だが、試合に勝った悪魔王子も頸動脈を切断され出血大量死寸前。あと数分でこのまま両者共倒れになると思われたが……悪魔王子は突如、両方の負傷箇所(頸動脈)に指を突っ込んだ。血流を操作するイメージと共に出血が徐々に収まっていき、頸動脈を押さえていた指を離すと……あれだけ勢いよく噴出していた血が完全に止まり、頸動脈の傷も塞がっていた。
司会「如何にして切断された血管を塞いだのか?これが"悪魔の能力"なのか?」
血液を自在にコントロールできるのか?場内はとても人間技とは思えない悪魔王子の能力に驚愕する。半信半疑だったガルシアの心臓の超常的な能力を目の当たりにし、流石にヨシフも驚きを隠せなかった。
鬼龍「"ガルシアの心臓"はまだまだ未知の可能性を秘めている」
もう人間かどうかも怪しいんだよね、怖くない?
先週、試合後は「鬼龍が手助けしてくれる」or「傷そのものが猿空間送りになる」って思っていたけどこれは予想の斜め上すぎる。
血流操作で出血を抑えるのはまだいいんだよ。メルニチェンコ戦でガルシアの心臓が覚醒すれば血流操作が可能なことが描写されてたから。でもジャック・ナイフエルボーであんだけスパッと斬れた描写がある頸動脈が塞がるのはめちゃくちゃ過ぎる。……ふうん、ガルシアの心臓が覚醒すれば瞬間的に血小板を大量生成することも造作もないというわけか。
こんなオカルト臓器を雑に処分しようとしていた米軍勿体なくない?
(悪魔王子が突然変異の心臓を持っているといつ発覚したか不明だけど)
◆ガルシアの心臓
モニター越しに悪魔王子の一連の行動を見ていた龍星とスタンプ。スタンプは龍星に対して
スタンプ「龍星 お前も同じ"ガルシアの心臓"だろ あんな芸当ができるのか?」←地味に呼び捨て…キー坊も含めて仲良くなり過ぎなんだ。
と問いかけるが
龍星「できるわけないでしょ」
あんなことできるわけがない。後天的に心臓を移植された自分と違って悪魔王子は"心臓"の能力を最大限に引き出せると返す龍星。
・熊爆殺
・ワープ
・遠隔チップ破壊(サイコキネシス)
・不可視物が見える右目
etc…
「(頸動脈を止血なんて)できるわけないでしょ」
龍星もやってることは大概なんだよなぁ……。
まぁワープはネタ寄りのこじつけ、不可視物が見えるガルシア・アイは静虎が語っただけで実際に使ってる描写がないからいいけど、グリズリーを爆殺した北斗神拳とトダーのチップを破壊したサイコキネシスはガチなんだし、フルパワー龍星も悪魔王子と遜色ないくらいバケモノだと思う。悪魔王子が回復特化、龍星が攻撃特化の心臓と考えると結構しっくりくる。
問題は悪魔のチカラ発動後の脳へのダメージだけか……悪魔王子はこのデメリットないのズルすぎる。
◆蘇生
自力で頸動脈の負傷を治した悪魔王子。そのままリングを後にすると思われたが、急に振り返りって心停止したキラー・ジョウに近づくと……ドンッ
死体となった彼の胸付近をいきなり踏みつけた。
キラー・ジョウ「あいっ」
その衝撃で停止した心臓が動き出し、九死に一生を得ることになったキラー・ジョウ。しかし、目の前に立つ悪魔王子に完全に怯え切っており、悲鳴を上げながらリングの壁際まで後ずさる。そこにはかつて、人を"倒す"ことよりも"殺す"ことを得意とする武術家と言われた男の姿はなかった。
悪魔王子はそんな様子のキラー・ジョウに興味を失ったのか、無言で今後こそリングから立ち去る。
龍星「い…生き返らせた」
スタンプ「やっぱりあいつは殺したほうがいい どんどんバケモノになっていく」
一連の流れを見ていた2人…龍星は悪魔王子がキラー・ジョウを殺さなかったことに困惑し、スタンプは日に日に強くなるガルシア11号に対して警戒心を強めた。
武術の真髄は活法にあり。
修身・護身にある。
たとえ相手がどんなに悪人でも殺すなかれ。
泥の中に咲く清廉な蓮のように…
非情な世界に身を置いても清らかな心を持て。
悪魔王子…キラー・ジョウの命を奪ったお前をワシは認めn……ってアレ!?
た…大変だあっ、キラーちゃんが…キラーちゃんが生き返ったあッ!
(正直めちゃくちゃ嬉しい。キラーちゃん地味に気に入ってたから)
まさか悪魔王子がキラーちゃんを生き返らせるとは……。
猿渡先生、普段はアクセル全開で愚弄とか社会風刺しまくるのにメイン・キャラが一線を超えるのだけはブレーキかけてきますね。
実は前回の感想に対するコメントに「生かして地獄を味わわせる」パターンもありえるかなって書いたけど、マジでそうなってビックリしましたよ。
相手を生かしておいて死よりも恐ろしい恐怖を植え付けて苦しめ続けるのは鬼龍リスペクト味を感じる。"生殺与奪の権は我にあり"ってね。
もう格付けは済んだことだし、キラーちゃんはこれから一生悪魔王子に怯え続ける人生なんだ……敗者の悲哀を感じますね(あと生え際の悲哀も感じますね)。
まっ、幻魔刷り込まれたビッグ・ハンドやメルニチェンコよりはマシですよ(2人とも可哀想だよね…半笑)。
◆戦争の行方
~VIP席~
ホワイト・ナイト・バトルは元々R国対NATOの格闘技(代理)戦争であったが、蓋を開けてみれば西側の圧倒的勝利で終わった今大会。鬼龍はヨシフに対して、この様子じゃU国侵攻も"あの男"の5期目の治政も大会同様危ういものになるかもな…と挑発する。
ヨシフ「我々に敗北はない 豊富な天然資源 忍耐強い人的資源がある限り戦争継続できる 」
しかし、第三試合の裏で語っていたヨシフの主張は変わらず、R国は勝つまで戦争続行可能だと言い張る。そんなヨシフを見て、たとえR国が優勢になってもNATO側がより戦力を増強する…不毛な消耗戦になるだけだと呆れた様子の鬼龍だが…。
一応、西側の圧倒的勝利扱いでいいんスかね?
オープニングファイト(第一試合)とメイン・キャラの試合以外はスキップされたから詳細は不明だが分かってる範囲で言うと
・第一試合:名前不明(R国)VSイギリス人(西側)
R国勝利
・第三試合:サーシャ・ポベトキン(R国)VS長岡龍星(西側)
西側勝利
・第八試合:ルスラン・グラドビッチ(R国)VS宮沢熹一(西側)
西側勝利
・第九試合:ユーリ・パヴリュチェンコ(R国)VSスタンプ・ハウアー(西側)
無効試合
・第十試合:キラー・ジョウ(無所属)VS悪魔王子(無所属)
悪魔王子の勝利
↑スペシャルマッチだから扱いが分からん
西側:2勝1敗(無効試合1)
R国:1勝2敗(無効試合1)
これ描写されていない第二、第四~七試合で西側選手が頑張りまくったんスかね?それか英雄ルスラン(笑)をブッ倒したポイントが高いのか……謎だ。
◆世界最終戦争
仮に劣勢になったとしても、R国は6500発という米国を超える核兵器を保有しており、いつでも戦術に組み込むことを想定して演習をしている。その気になればいつでも勝利を掴むことが可能だと、とても正気とは思えない考えを口にするヨシフ。
鬼龍「あの男に核のスイッチを押す覚悟があるとは思えない」
ヨシフ「あの男ができなかったら私がやるッ」
世界最終戦争も厭わない
Q. ホワイト・ナイト・バトル編が終わったら何が始まるんです?
A. 第三次世界大戦だ
(一応)格闘漫画なのに最終戦争が起きそうになってるの狂ってるよね。
只の格闘家が国家間の争いにどうしろって言うんだ…。
流石にヨシフおじさん(と"あの男")の凶行を鬼龍と灘御一行が止める流れだと考えられるが、この後どうストーリーを舵取りするのやら。
キラー・ジョウ戦で悪魔王子が龍を継ぐ男(者?)について言及してたけど、この流れだと高校鉄拳伝やTOUGHみたいに最終章でタイマンで闘って勝ち負け決める展開に持っていけそうに感じない。
そもそも最終章の舞台が日本になるかも怪しい。
核兵器6500発のとこで出てきた奴これだよね↓
◆鬼龍の思惑
ヨシフ「R国の勝利と発展と尊厳のためならいつでも核のスイッチを押してやる」
鬼龍「やはりあの男よりヨシフ お前が一番危ない奴だ」
脅迫や威嚇のためではなく、いざとなれば躊躇なく核のスイッチを押す覚悟を持ったヨシフに対し、最も危険な男はお前だと敵意をあらわにする鬼龍。
対立する2人…ヨシフの次なる行動は?そして鬼龍の思惑とは?
鬼龍おじさん、ついさっき"あの男"が傀儡でヨシフが真の黒幕って知ったはずなのに「やはり…」って物言いは無理あるっス。
真相を知った時にめっちゃ「なにっ」って驚いてたやん。こ…これもまた最初から全て知っていたってパターンなんスか?(メタ的には展開の都合に合わせて鬼龍のいう事がコロコロ変わるから突っ込んでもしゃーないけど)
ヨシフおじさんもR国がヤバくなったら核のスイッチを押して世界も巻き添えにするというイカレ具合。
ヨシフおじ「嫌だ 落ちぶれたR国を見るくらいならミサイルのスイッチを押すんだ…終末が深まるんだ」←何を言ってるこのバカは?そもそも原因は無謀な侵攻のせいなんだよね、自業自得じゃない?
次話はこのままヨシフと鬼龍が押っ始めるのか?
それとも"あの男"登場で話が大きく動くのか?
約半年にわたるホワイト・ナイト・バトル編の終了…そして新章開始でワクワクしてきますね。
◆鬼龍の思惑は…!? ← 龍を継ぐ男の条件である"あの男"討伐ミッションは結局どうなるのん?
次号、闘いは終わり…!? ←終わりじゃない、これから始まるんだ。
◆まとめ
悪魔→バケモノ→龍。
↑イマココ
ついに終わったのォ ホワイト・ナイト・バトル。←ですねぇ
約半年、塩試合あり猿展開あり名勝負あり…始まる前は今更表の格闘家と闘っても盛り上がらないだろって思ってたけど結構面白かったですね。試合自体はユーリVSスタンプが一番良かったと思う。どっちが勝つか予想できなかったし、この大会唯一のクリーンでフェアな試合だったから。
ただ、試合が終わると途端に社会風刺や政治・戦争・愚弄展開が戻ってきてこれからどうなるんだろうと不安になります。
残りで消化すべきイベントは
・悪魔王子VSスタンプ
・ヨシフとの対決
・"あの男"(←これに関しては着地点が分からん)
・ボリスの復讐
ぐらいか…。
ボリスの妻とお腹の子を奪った爆破事件を指示したのはヨシフおじさんの仕業って展開になってボリスが引導を渡す展開になりそう。鬼龍がヨシフを追い詰めたところで「ボリス、仇は目の前にいるぞ」って感じで。
悪魔王子とスタンプに関してはスタンプの骨折をどう扱うのかが肝ですね。描写的に折れてるのは確実だから、米軍が作った義足かサポーターのようなもので闘えるようにするんやろか?
取り敢えず猿空間へ消えた熹一と龍星はもうやれることがないのですぐに帰国したらよいと考えられる。
◆余談
龍を継ぐ男 31巻 6月19日発売予定。
表紙は龍星。
もう大きな修正箇所ないと思うので31巻に関しては修正箇所のまとめはやらないと思います。
◆次号予告
次のプレボNo.27は6月17日月曜日です。
合併号…糞。
出典:猿渡哲也『TOUGH外伝 龍を継ぐ男』第378話