【感想】TOUGH外伝 龍を継ぐ男 BATTLE.347 人生最高の記憶
皆さんの人生最高の記憶って何ですか?
私は特にこれといったものが思い出せないので、精髄破滅拳を食らった場合は只々激痛に苦しむだけだと考えられる。
◆前回までのあらすじ
熹一が灘の奥義『精髄破滅拳』をボリスに放った。かつて自身が会得できず、その継承を龍星に託した技であったが…一体何故!? 幻魔を超える苦しみから地獄の至幸感を与えることで相手の戦意を喪失させる秘拳の力で、ついにこの戦いに決着が付くのか?
◆真なる精髄破滅拳
龍星「熹一さんも"精髄破滅拳"を打てるのか?」
熹一「(ワシを誰やと思うとんねん あの宮沢熹一やで)」
精髄破滅拳を熹一が放ったことに驚愕する龍星。実は熹一も「龍星にできることはワシにもできるはず」と裏で黙々と修行を続けていた。
熹一「(古臭いと笑われるかもしれんが限界のその先は"努力"と"根性"で成し遂げる どないな優秀な遺伝子も甘やかせば素質は目減りする)」
滝を前に金時の教えを思い出しながら基本を徹底的反復練習し、波動(エネルギー)を拳で爆発させて滝水に大穴を開け、ついに龍星と同じく真なる精髄破滅拳を会得した熹一。
げに恐ろしきは日下部の血。精髄破滅拳の会得にガルシアの心臓なんていらんかったんや。前回までは金時と同じく不完全版かと思いきや、地獄の至幸感を味わわせる真の精髄破滅拳を打つとは…専売特許を奪われた龍星に悲しき現在。でもいつ修行を?
リカルド戦で龍星が精髄破滅拳を完成させたように見えるけど、その後なんですかね?それかエリア52の修行段階である程度は完成はしていたのかな?おあつらえ向きに滝まであるしエリア52って便利なステージっスね。
◆人生最高の記憶
鬼龍「まさか"熹一"までもが"精髄破滅拳"を会得しようとしてたとはな」
熹一の精髄破滅拳に驚きの声をあげる鬼龍と、それに対して複雑な表情を浮かべる悪魔王子。
そして、精髄破滅拳の波動によって大脳辺縁系の機能が低下し、人生最高の記憶が蘇るボリス(あー何言ってるか分かんねぇよ)。
~精髄破滅拳による過去パート~
あの悲劇が起きる前のエレーナはバレリーナを目指しており、ボリスは踊っている彼女を見るのが好きで常日頃からそのバレエ教室に足しげく通っていた。しかし、ある日 エレーナはバレエを辞めると言い始める。
驚くボリスに対してエレーナは体重が50キロ以上になると無理だからと理由を話す。減量がキツいのかとボリスが問うが、実はエレーナはボリスの子供を身籠っていた…もう一人の身体ではなかったのだ。
ボリス「エレーナすごいじゃないか ありがとうッ」
エレーナ「ちょっ…ちょっとボリス あなたは低体温なんだから赤ちゃんが風邪ひいちゃう」
自身が父親になることに歓喜し、思わず彼女に抱き着くが、エレーナはボリスの低体温による赤ちゃんへの影響を心配する。
ううん どういうことだ?ボリスの体質はハイパーボーンで、低温でなければ骨の成長が抑制されないというものだったはずのに、低体温が特異体質みたいな言い方になっとる。この時からFSBが開発した特殊ボディスーツと投薬をしていたなら説明は付くが…まっ ええか。
そんなことより現在のボリスが無表情のゾンビなのに対して回想のボリスは表情豊かでコミカルだからギャップが凄い。"あの男"がいなければマジで幸せだったのになぁ…なんか泣けてきた。
ボリス「嬉しくて死にそうだよ」
エレーナ「いや 死ぬなよ」
あとココの乗りツッコミすこ。エレーナって結構愉快な性格してますね。タフに出てくるメスブタの中でもトップクラスにいい女なんだ。
◆"あの男"の悪夢
熹一「囚人のお前でも楽しいことぐらいあったやろ 思い出して気持ちよくオネンネタイムや」
精髄破滅拳の刷り込みで勝利を確信する熹一。このまま戦意を喪失してボリスは気を失うと思われたが…
最高の記憶の中 エレーナの顔が徐々に"あの男"の顔に変わっていく
ボリスにとって幸せだった頃の記憶を上書きするほど、自身のすべてを奪った"あの男"への復讐心が強かった。悪夢によって覚醒し、熹一に対して鉄塊の頭突き(ヘッドバット)で反撃する。
不覚にもエレーナの顔が〇ー〇〇大統領に変化していくのシュールすぎて笑ったんだよね。猿先生、もう〇ー〇〇大統領の愚弄はやめなされ…やめなされ…。
でも哀しいね…ボリスにとってはもう"あの男"に対する復讐が全てなんだ。リカルドは母の愛を思い出して救われたけど、ボリスは愛そのものを無慈悲に奪われたんだよね。精髄破滅拳の効能が完全に逆効果になってしまった。幻魔と違って見せるビジョンが相手次第なのも考えモンすわ(今回はボリスの精神力が異常なだけだけど)。
ついでに「幻魔を超える苦痛」→「地獄の至幸感」のプロセスが荼毘に付していきなり人生最高の記憶が溢れ出たんスけど、いいんスかこれで。
◆まとめ
キー坊が真・精髄破滅拳をコソ練で会得していたけど、やっぱ天才っスね。そして素質に驕らず、ひたむきに努力する姿もカッコいい、タフ界のショウヘイ=オオタニなんだ。
でも、やはりボリスの異常な精神力の強さの前では精髄破滅拳は逆効果だったか~。一気に賞味期限切れ感の出た秘拳に哀しき現在。使いもんにならなくなるの早すぎなんだよ え──っ。
今回で禁断の"キー坊がなんかする→ボリスに効かない"3度打ちなんでそろそろ決着でええで。
あとは復讐者になる前のボリスはマジで良い奴だから何とか報われて欲しいですね。ガチ(本気)でね。
出典:猿渡哲也『TOUGH外伝 龍を継ぐ男』第347話