口裂け女はいなかった。

私が小学3年生の頃

口裂け女

が華々しくデビューしました。
6年生の女の子が、

雨の日にマスクをつけた赤いレインコートの女の人が立っててね…
「どうしたんですか?」
って声をかけると
「私きれい?」
って聞いてくるの…
「きれいです。」
って応えるとその女の人は
「こーれーでーもー?」
ってマスクを外すの。
その人の口は耳まで裂けててね…驚いて逃げると手にナイフを持って追っかけてくるんだよ…

という、今でこそ定番の禍々しい口裂け女の逸話を、100メートルを6秒で走るとかべっこう飴に弱いとか口裂け女の実在を強化するエピソードとともに語り、低学年たちは恐怖に打ち震えておりました。
次第に口裂け女の話は学校中に広がりました。
その現象が私の学校だけではなく、日本中の小学校でおきているとテレビで知りました。

テレビも言ってんだから本当じゃん!
日本中で言われてるし本当じゃん!
もう、絶対いるんじゃん!

当時の私たちは、毎日毎日すれ違う女性をみんな口裂け女と疑い怯えながら登下校し、あの家に住む人が口裂け女かもしれないと家々に怯え、外で遊ぶこともままならなくなっていました。

夏休みが終わった頃、先生が一枚の新聞切り抜きを持ってきました。
その新聞記事はある人のインタビュー記事で

口裂け女は私が描いた架空の存在だ

という旨が書いてありました。
その人が書いた口裂け女の設定画もありました(その絵が怖すぎてすぐに剥がされた(笑)。

口裂け女はいなかった…。

しかし、なぜこんなにも口裂け女は広まったのでしょうか。

それは当時の小学生の口コミネットワークの変化とメディアが取り上げたことが原因ではないかと思います。

当時、中学受験などの需要が増え、塾に通う子が多くなりました。
それにより違う学校の子同士での情報交換が開花した頃だったのでしょう。
そうした過程で子どもたちの間に広まったものをオカルトブームの頃でもあり、怖い話は視聴率が高かったことからメディアが取り上げた…それで子どもたちは真実だと思い益々加速する…そんな感じだったのではないでしょうか。

これは昭和の出来事、昔の話です。

でも令和の今、本当に昔話と片付けられることでしょうか。

口コミネットワークがインターネットになりかわり、子供達のみならず大人たちも繋がりが多方面に広がり、

拡散性が高くなっています。

メディアも同じです。
インターネットの放送局やYouTubeやインスタで個人が配信するなどで、

出力される情報が増えています。

多くの情報と口コミネットワーク、それらが鬼滅の刃のようにいい意味で作用する場合もありますが、陰謀論や炎上など悪い意味で作用してしまってもいます。

でもここまで膨大に広がった情報化社会の中で、その中から情報を精査するのは難しい。
簡単にもはや見極めろと言える状況でもないでしょう。

じゃあ身を守るにはどうしたら良いのか?

それは

いろいろな意見を拒絶せずに聞き、自分の経験、体験の中で培った感覚に照らし合わせ見直す

ことだと思います。

そうすることで、自分も振り回されずに済むし、デマを拡散してしまったり、人を傷つけてしまったりすることも減らしていけると思います。

サポートは峠工房の維持運営費となります! 受け皿のなかった重度障害者の生活・学習・就労訓練から始まり半世紀、近年は増加傾向にあり、対応が追いついていない軽度発達障害、また選択肢の少ない身体障害の人達も住み慣れた地域で生きていけるような自立を支援をしています。よろしくお願いします。