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賃貸アパートの自宅に電気窯DMT-01を設置しました

私は陶芸大好きな主婦Naoです。
これまでは陶芸教室に通って作品を作っていました。2021年3月に自宅に電動ろくろを設置し、成型は自宅、素焼き以降は教室で行うスタイルを取っていました。
2021年11月、ついに自宅に家庭向けの100Vの電気窯を設置し、成型~本焼きまでの全工程を自宅で作業できるようになりました!

お世話になった陶芸教室も退会しました。電動ろくろを買ったときに先生に「すぐ窯が欲しくなるんじゃないかな」と言われて、内心「(先生が引退するまで窯を買うつもりはないけどな😅)」と思ったのですが、さすが先生ですね。半年後に買うことになるとは思っていませんでした。

この記事では、電気窯の購入の理由、窯の選定、窯の購入先、設置方法、素焼きの詳細、本焼きの詳細について、細かく説明しています。ご興味のある項目をご覧ください。

ところで、私は大学時代は陶芸部に所属していたので、自分たちで電気窯を使って作品を焼成していました。陶芸教室に通っていて焼成作業の経験がない方が窯の購入を検討している場合、教室の先生に本焼きのやり方を教えてもらってから購入されることをおすすめします。説明書を読んだだけで窯を運転するのは危険だと思います。

■電気窯の購入の理由

電気窯を購入するに至った理由は2つあります。1つは教室の費用がかなり負担になっていたためです。もう1つは教室で本焼きをするとしばしば銅で汚れてしまっていたからです。

1つめの費用について、購入検討時に細かく計算しました。

▼自宅陶芸の費用見積もり

窯購入計画.PNG

エクセルで計算してみた実際の費用計画です。
今の支出の項目について、過去6カ月の平均で、私はおよそ月に2万円も陶芸教室に使っていました😂(貯金を切り崩して🤑)私はminneで作品を販売しているのですが、私が販売したい価格だと、月謝と電車賃を考えると赤字になる、ということもこの時別途計算して発覚しました😂
初期投資費用の項目について、電気窯が約33万円、それ以外にも釉薬や粘土なども含めて約36万円ほどの初期投資が必要になる見込みでした。
ランニングコストの項目について、家で陶芸する場合に窯以外で年間にかかる費用をざっくり見積もってみました。ちなみに私が買った窯の説明書いわく、1回の焼成にかかる電気代は素焼き約200円、本焼き約400円だそうです。
このまま陶芸教室に通い続ける場合と、家に窯を買って陶芸する場合で、どちらが得が考えてみたところ、
  年間費用(現在):¥235,080
- 年間費用(今後):¥52,200
⇒       差額:¥182,880

初期投資を除くと年間約18万円浮く見込みです。
初期投資をこの差額で割ると、約1.95年(約23.4カ月)となり、これから2年以上陶芸教室に通い続けるなら、今窯を買って家で陶芸をする方が得だということが分かりました。もちろん私は2年以上陶芸をするつもりです!
窯を買ったら高いから損だとばかり思っていたのですが、計算してみると目からウロコでした。

窯を買った理由のもう1つ、銅飛びについて、釉薬(特に織部など緑の釉薬)に含まれる銅は、気化温度が他の金属より低く、本焼きすると気体になって他の作品にも付着してしまいます。なので、色の薄い作品を銅を含む釉薬の隣に置いて本焼きすると、銅で汚れで青くなってしまいます。私が通っていた陶芸教室では、生徒が何の釉薬を掛けたか管理されておらず、しばしば作品が不本意に青くなってしまいました。
「共同で使ってる窯だから我慢するのが当たり前だ」と先輩の生徒さんに嫌味を言われつつ、銅飛び嫌だな~と5年間思っていました。陶芸部のときも、元勤務先の教室も、何の釉薬が掛かっているか管理して、銅飛びや釉薬垂れがないように窯入れしていたので、銅飛びしないように管理して欲しいという思いがありましたが、文句があるなら自分で窯を買うしかないですね。

▼銅飛びがショック過ぎて窯を買うに至った作品

銅飛び


■窯の選定

一般的に電気窯というと200Vの電圧が必要で、自宅に設置する場合は電気工事が必要になります。しかし、家庭の100Vの電圧でもOKな100V電気窯もあります。コンセントにプラグを指せば良いだけなので、オーブンレンジの超進化版みたいなイメージです。
私は100V電気窯の中で、炉内サイズが最も広い、日本電産シンポ(株)のDMT-01という機種を選びました。陶芸ショップ.COMでは現在334,400 円で販売されています。
この機種を選んだ1番の理由は他社製品も含めた100V窯の中で、炉内サイズが最も広い( 幅270×奥270×高300mm)ためです。シンポ社の100V窯はPetit(プティ)という機種もありますが、こちらは炉内サイズがφ240×高200と小さく、お茶碗2つ程しか本焼きできなさそうでした。
また、焼成中の温度を自動で制御してくれるマイコンが付いています。つまりスタートしたら終わるまで何もしなくてOKです。電気窯はマイコン付きの機種がメジャーだと思いますが、マイコンなしで手動で温度管理をしないといけない安価な機種もあるみたいなので注意が必要です⚠

■窯の購入先

窯は電動ろくろを買ったときと同じ、大阪の草葉善兵衛商店さんで購入しました。
窯の扱いや見積もりをしに直接店舗まで行きました。もちろん電話注文もOKです。たまたまですが、私の欲しい機種だけは店舗に展示用の商品が置いてありました。(それだけ人気の商品みたいですね)実際に見てみると、思ったより大きく、運転中の音もそれなりにブーンというファンの音がすることが分かりました。アパートなのであまり大きな音がすると近所迷惑なので気にしていました。(家に置いてみると、炊飯器の運転中の音みたいな感じでした)運転方法や電熱線の交換など、気になっていたことをいろいろ聞けました😊
ネットで窯を購入するのも良いかと思いますが、何か不具合があったときに近所の陶芸用品店の方が頼りやすいです。あと、林寧彦さんの本の「陶芸は生きがいになる」に、窯を買ったけど運送屋さんは家の前までもってきてくれる契約だったから設置してもらえなくて困った、というエピソードを読んでいたので、なんとなく通販やネットで買うのは遠慮したくなりました。

また、サービスで来てくれたので声を大にして言えませんが、事前に電圧を測りに自宅に来て下さいました。家庭用コンセントの電圧は100V以上普通あるみたいなのですが、建物が古い場合は98Vとか、100Vに満たない場合があるそうです。100Vに満たないと、本焼きのときに最高温度まで上がるのに時間が掛かったり、温度が上がりきらずエラー終了してしまうことがあるそうです。100Vないかも、と思われる場合は事前に確認された方が良いと思います。

あとは以前に電動ろくろを購入していたので、ネットで他店で購入するよりもお安くしてもらえました😆自宅で陶芸をする方はお世話になるお店を決めておいた方が良くして頂けて良いかもしれないですね。

■設置方法

購入前にチェックが必要なのは、ドアの大きさです。DMT-01の場合、外寸が幅600×奥565×高720mm、重量64.5kgです。うちの場合、横幅がちょっとギリギリでした。
うちはアパートの2階でエレベーターはなしです。窯は約65kgなのでお店の方が2人で運んで下さったのですが、めちゃくちゃ大変そうでした。事前に設置場所をきちっと用意しておかないと、後から上下に移動するのは大変です。水平に移動する分にはタイヤが付いているので、(やったことはないですが)そんなに大変ではなさそうです。

窯は床に直接置いても大丈夫です。が、ファンにホコリが付くので掃除しやすいように高さがある方が良いと、店員さんからアドバイスをもらいました。
私は100均で買った板をのこぎりで半分にしたものをまず床に敷き、その上にハーフのブロックを置き、窯を置いています。板は床への傷防止です。壁からは20cmぐらいは離してます。
ハーフにしたのはコーナンから持って帰るときに軽かったからで、長いものの方が窯を前に引き出したりできて便利そうです。電熱線を張り替えるときは後ろから開けるそうなので、前に動かせるような場所に設置した方が良いようです。
また、運転中は粘土から硫黄などを含んだガスが発生することがあるので換気が必要です。窓のある部屋に設置した方が良いのと、換気しないとガスが原因で火災報知器が作動することもあると教えてもらいました。

▼設置した電気窯

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▼窯の設置面(動画より抜粋)

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■試運転

運転する前に必ず説明書を一通り読みましょう。窯の中の湿気を飛ばすために400℃の試運転が必要だと書いてありました。
運転はとても簡単です。プログラム(運転のコース)はA基本コースとB自作コースがあって、だいたいはA基本コースで事足ります。それ以外はB自作コースにプログラムして運転することもできます。
試運転は1番の400℃なので、A→1→スタート、の3つを押して終わりです。
ちなみに、説明書にありましたが、窯をあけるときは感電の恐れがあるので必ず電源を切ってからにしましょう。店員さんいわく、敏感な人は電源を入れたまま電熱線に触るとピリピリするらしいです。使わないときはコンセントも抜いておきましょう。

▼運転画面拡大

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■素焼きの詳細

素焼きについてはこちらの動画でも紹介しています。

DMT-01には24cmの正方形の棚板が2枚と、6cmと12cmの支柱が4本ずつ付いてきます。素焼きだと2~3段ぐらい棚を組むと思います。

▼素焼き窯詰め

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DMT-01は電子レンジと同じで、扉を開けたままだと運転ができないそうです。(やってみたことないのでわからないんですが😅)
追記2022/12/10 扉を開けたままでも運転できます。が、消防法的に良くない運転方法になるので扉を開けたまま運転するのは推奨できないとメーカー問い合わせで伺いました。
なので、焼成前のあぶりはできません。あぶりとは、焼成前に低温(200℃とか)で扉を開けたまま加熱し、作品中の水分を完全に追い出す工程です。水分が残ったまま焼成すると、水分が作品から抜ける速度よりも水の膨張速度が速くて、作品が破裂してしまいます。電熱線に破片が飛んだら断線しかねないので窯にも被害が及びます。
そこでDMT-01では素焼き・本焼きの前に0番の200℃の乾燥プログラムを運転します。こちらは200℃まで5時間かけてゆっくり温度を上昇させるプログラムです。

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乾燥プログラムが終わってから素焼きを始めます。全プログラム共通で、120℃まで冷めたらプログラムエンドとなります。120度まで冷めるのに半日かかります。私は160℃ぐらいなら開けて良いかなと思ってるのですが、それでも8時間ぐらいかかると思います。
素焼きは700℃の2番のプログラムです。ちなみに800℃は上絵付けのプログラムだそうです。

▼素焼き前

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上の写真は重ねて焼けないものが多かったですが、それでも結構入っています。大きめの急須2つ、くみ出し茶碗2つ、マグカップ2つ、20cmのリム皿4枚、長辺25cmの角皿1枚です。

▼素焼き後

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素焼きは窯から出せるまでだいたい24時間、丸一日かかります。420分かけて560℃まで、90分かけて700℃まで、700℃を10分キープ、というプログラムです。
夜間の方が電気代が安そうなので(実際のところどうなのかまだよくわかってません😅)、朝乾燥を始めて、夕方に素焼きを始める、というのが良さそうな気がします。窯はずっと加熱されているわけではなく、最初の方は加熱したり止めたりを繰り返して、急に温度が上がらないようになっています。温度が上がってくると、加熱状態の時間が長くなるので、高温に加熱しているときに電気をたくさん使います。

化繊混の軍手だと、作品が熱いときにちょっと繊維が溶けてくっついた気がしたんだけど、気のせいかな…?😅陶芸部のときは革手袋をしていました。

▼素焼き窯出し

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■本焼きの詳細

本焼きについてはこちらの動画でも紹介しています。

DMT-01に付属している棚板と支柱では物足りなかったので、私は追加でいろいろ購入しました。追加で購入したものは、現在、棚板4枚(家に計6枚あります)、7.5cmの支柱3本(支柱は3本の方が安定すると思うので3本で組んでます)、2×2.5×3cmのサイコロ支柱を12個、2×2.5×4cmのサイコロ支柱を3個、1×4×4cmの支柱を3個です。
薄いお皿をたくさん作られる方は棚板とサイコロを買い足した方が1度の本焼きでパンパンに窯詰めできます。高さ3cmの棚だと、炉内の高さは27cmなので、棚板を6枚使って6段組めると思われます。この棚板は1枚3000円弱です。

▼本焼き窯詰め

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本焼きも意外と結構容量があって、上の写真だと分かりにくいですが、1段目には蕎麦猪口6つと取手付きのカップが1つ入っています。丸いお皿は直径15cm以上だと1枚しか置けないと思います。
大きな電気窯に比べるともちろん小さいので、窯の大きさを考えながら計画的に作陶すれば無駄なく本焼きできます😀(高さのあるものはまとめて作る、とか、小皿は2枚入るサイズで作る、とか)

本焼きも0番の乾燥コースで乾燥してから本焼きします。私は釉掛け後すぐに窯詰めしましたが、ちゃんと乾燥コースを運転すれば問題なく本焼きできました。

▼本焼き前の乾燥終了

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本焼きはいつも1230℃で焼いています。店員さんいわく、もっと高温のプログラムもあるけど、100Vだとせいぜい1240℃ぐらいまでが限界、とのことでした。高温で磁器を焼きたい方などは窯屋さんと相談した方がいいと思います。
1230℃のプログラムは、210分かけて560℃、220分かけて1050℃、180分かけて1230℃、1230℃を20分キープし、120℃まで下がったらプログラム終了です。先日の本焼きでは、36時間後に126℃で窯を開けました。終わるまでだいたい40時間近くかかります。

▼本焼き窯出し

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参考に、DMT-01で焼成した作品と、粘土・釉薬の購入元のURLを貼っておきます。ちなみに陶芸.comさんと陶芸ショップ.コムさんはヤフーショッピングと楽天市場にもお店があるので、ポイントを貯めている方はそちらがお得です。(以下のURLはヤフーショッピングを貼っています)

▼カップ&ソーサー 白信楽土・マットブラック

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白信楽土(草葉善兵衛商店):
https://www.zenbee.com/index.php?pid=159182773

マットブラック(カネアツ釉薬):
https://www.kaneatsu.com/item/matbraku1/


▼蕎麦猪口 白信楽土・黒化粧・半自作の黄瀬戸釉・飴釉(口元)

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自作の黄瀬戸釉(石灰釉100gに乳鉢で溶いた酸化鉄2g(外割2%)を添加)
石灰釉(草葉善兵衛商店):
https://www.zenbee.com/?pid=159160621

飴釉(草葉善兵衛商店):
https://www.zenbee.com/?pid=159086446

酸化鉄(陶芸.com):
https://store.shopping.yahoo.co.jp/e-gazai-tougei/728157.html

▼急須 赤土5号・マットホワイト

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赤土5号(陶芸ショップ.コム):
https://store.shopping.yahoo.co.jp/tougeishop/t0302005.html?sc_i=shp_pc_search_itemlist_shsrg_title

マットホワイト(カネアツ釉薬):
https://www.kaneatsu.com/item/mathowaito1/


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