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炎節

ミーンミンミンミン。

蝉の声が僕の身体を焼いている。

暑い、熱い。
東京の夏は、多分沖縄よりもずっと熱い。
コンクリートが熱気を押し上げ街路樹の蝉はそれを応援するかのようだ。

これ以上熱くなったら、もう人は東京では生きていけないと本気で思う。


でも今日だけは暑さも許せてしまう。
彼女がやってくるのだ。


沖縄の夏はきっともっとカラッとして、風も良く吹き抜けて、彼女は毎日を心地良く過ごしてきただろう。
東京の暑さにびっくりして、嫌になって帰ったりしないかな。
僕はそんな事を思いながら、駅までの道を歩く。



空港までの距離がもどかしいようで、でもどこか会ってしまうのが勿体ないような気持ち。
会ったらまた別れが来てしまう。
会えると分かっている今が、一番幸せなのかもしれない。



ミンミンミンミン。
蝉が鳴く。
熱いのは夏なのか東京なのか僕なのか蝉なのか。
最早もう分からない。
だって今日は彼女がくるんだ。



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